7-2 未知の国からの招待②
こうして、コスメからもらったメールに驚く灯だが、しばらく考えたのち、引き受けることにした。そのかわり、このあと、灯から2週間ほど時間がほしいと言われ、コスメは高木には承諾を伝える。
そして、いよいよ、出発の日。行くメンバーは、オービスと、エミリア、コスメに、事務所のバイオレットとリリアナの5人。オービスは、安定の美貌を放ち、久しぶりのエミリアは、その美しさは、やはり2週間かけてテコ入れをし直し、見事に復活を感じさせた。そして、バイオレットとリリアナの2人も、かなりの進化を見せ、かなり期待がもたれた。
フランスの国際空港に迎えにきたフランソワ高木。
「小染さん、ご無沙汰しております。この度は、お忙しい中、おいで頂きまして、ありがとうございます。それでは、早速、研究所にご案内致します。」
研究所の車に乗り込み、パリ郊外にある、BPRI 究極の美貌追求研究所へ。
そして、研究所では、これから一週間に渡り、モデルたち4人は研究に協力することになった。所長から、美についての研究と、そもそも美とは何か、人間に与える影響などについて話しを聞き、人間にとっての、その重要性を深く知ることとなった。
この研究所では、世界中の多くの国々で美人と認められた人たちのデータが集められて、研究がなされている。そして、その美人とは、顔の作りなど、その見た目だけのことに限らず、その人の内面や心の動きが顔や仕草などの、見た目に反映されることで、その美しさの印象は変わってくる。つまり、同じ美人顔であっても、その人の心境や、体調や、また別の意味での心の状態がとても大きな影響を与える。その人間の、写真から、もしも判断するということになれば、その人物の最高の表情を捕えた写真を用いて、2人、それを、それぞれに用意すれば、あるいは、心情も変わらずに公平な美人度の比較が、あるいはできるかもしれない。しかし、その写真をみる人間によっては、必ず、この女性には、この写真よりも良い表情がある、とか、この写真は、この人ではない、などとまたもや、好みという壁が立ちはだかるのである。だから、その、2人を比べるためには、多くの動く映像か、あるいは、生で2人を目の前でみることが重要になってくるのである。つまり、単純ではないということであり、この、女性の美、ということだけでも研究所ができてしまったことの理由でもあった。
さて、アテルナ共和国に招待された一行たちが、その前に訪れた、フランソワ高木の研究所、UBPRI究極の美貌追求研究所の中における、研究の一端を見学させてもらうこととなった。
まずは、簡単に、誰もが、その女性の美人度を測定できる機器、美人評価値の測定器が、この研究所の、最初に開発された商品の製造過程を、一行は、見学した。
フランソワ高木が、大学時代に、美の研究を始めた際に、とにかく研究には多額の資金が必要であり、今後、もしも研究所を設けることになれば、それは、資金を集める手段となるものを先に開発することが、第一であると考えた。そこで、学生の頃から、開発を始めて、卒業前に、その完成をみたものが、美人度測定機、であった。
この機械は、自身の研究の深さからみれば、まだまだ簡易的なものではあるのだが、女性の顔を、美術的観点から判断をした時に、その顔のパーツのバランスや、パーツの大きさに、それぞれのパーツの比率と、顔の大きさにおけるバランスなどを読み取って、一般的に、人が美しいと感じる、その感覚に沿った印象から、美人度を100を最高点とし、それに対する、完璧度を不足する点をマイナスにして歳出していく方式により、結果として、最終的に美人度の採点をしていくという機械である。それから、肌の状態を分析して、肌年齢の確定と、その分析結果の状態から、その特定した肌年齢の改善をするための方法を提示することも行ない、美人度をアップさせるための様々な方法を提案していく。この装置を、学生時代に完成させて、1台が200万の単価にもかかわらず、世界的に、数万台を売り上げていき、何回もその性能はバージョンアップをしていて、今でも売れ続けている。
ファッション業界での真剣な判断材料としての使われ方や、エンタメにおける、話題作りの道具としてまで、様々な方面から、様々な使われ方をしているベストセラー商品であり、この研究所の最大の資金源となっている。ちなみに、聖美少女女学園に入学の際に、その美人評価値を測定に使用されていることが、この機械が最も有名になったことの理由の1つである。
その、測定機を初めて見た一行は、皆、興味深々であった。特に、コスメなどは、もうその機械から、なかなか離れない。
「これ1つ、事務所にほしいわ。所属するモデルたちを測ってみたいわ。どうなるかしらね。所長さん、私、測定してもらってもいいかしら。」
そう、コスメは、決して自分は美人とは言いがたいという自覚がありながらも、自分の仕事柄、どうしても試せずにはいられなかった。
「ええ、別にかまわないですよ。今、すぐにここでやりますか。」
「えっ、いいんですか。嬉しいけど、なんか緊張するわ。」
オービスやエミリアは、ちょっと笑っている。
「この測定機は、実は、測定結果が、たくさんのデータが出てきますが、それは簡単に説明できるものもあれば、難しいものもたくさんあるのですが、ここでは、評価値の数値のみを伝えることにしておきますね。じゃあ、いきますよ。こちらに顔を向けて下さい。」
すると、コスメの顔に、うっすらと青い光が放出される。
「うわあ、なんだか、顔が気持ちいいわ。何なのこれ。」
「今、測定中なんですが、その光は、測定する光であると同時に、顔全体をマッサージして、顔から、身体をリラックスさせているんです。そして、心を落ち着かせて、最高の状態から、顔を測定しているんです。もう、ちょっと待って下さいね。」
「大丈夫よ。とにかく、気持ちよくて、いつまでも、このままでも大丈夫です。なんて気持ちいいの。」
すると、ピーーーッ、という、静かで長い終了音がすると、
「はい、終了です。今、計算中ですよ。えーと、はい、結果が出ましたよ。」
「ええ、私、いくつですか、美人評価値。」
すると、高木は、ちょっとだけ、困ったような表情をとりつくろいながら、
「あっ、はい、えーと。」
「えっ、いくつですか。」
オービスやエミリアも、気になって、機械にしがみつく。
「あっ、はい、えーと、68ですね。おおっ、実に、一般的には、平均値です。すごいですね。」
フランソワ高木は、実に、言い方が下手であった。一般的でも、平均的でも、すごいわけではない。実は、ぜんぜんすごくはなかった。すると、高木は、追加で発言をする。
「いやあ、社長さん、初めてですよね。初めてで、68は、高得点ですよ、やはり、モデル事務所の社長さんは、違うなあ。いや、ほんと。」
またもや、わけのわからないほめ方で、実は、ほめてはいない。
それに、オービスやエミリアは、そのことに、すぐに気づいていて、そのあと、言葉が見当たらない。初めてで、高得点、の意味はわからない。何回でも同じではないのだろうか。
すると、オービスが、
「あたしも、やりたい。」
高木は、驚き、
「一応、このモデルたちは、基本のレベルがぜんぜん違うので、高品質設定にしますね。」
「???どういうこと?」
「これは、高品質レベル設定にすると、簡単に言うと、採点が厳しくなってしまうんですよ。たとえば、さっきの社長さんの時は、標準設定で測定しましたが、今度、モデルたちで測定する時は、高品質レベル設定にすると、判断が厳しくなって平均値が、大幅に下がります。」
それなのに、、、、それなのに、オービスが測定すると、
「お、お、お、お、おーっと、93だあ、すごい。さすが、オービスですねえ。」
すると、エミリアも、あたしも、やるう、と言い出して、
「ええっ、、、、。やっぱり、さすが、91ですねえ。だって、2人共、高品質設定ですからね。」
「じゃ、私も、それでやってみたいわ。」
と、コスメ。
「いや、やめた方がいい。」
皆で説得するも言うことをきかないコスメ、
すると、仕方なく、測定する所長、
「、、、それで、結果はいくつですか。」
あまり、言いたくない顔の所長。
「早くして下さい。」
「これって、私が読みあげなければいけませんか?」
皆、何も言えない。だが、社長から、
「大丈夫です。言って下さい。かなり、低いのは、わかってますから。だって、高品質設定でしょ。だから、私なら低くなるのは、当たり前ですもの、大丈夫ですよ。」
本当かな、と皆、疑心暗鬼の表情。すると、真剣な表情の所長、
「もう、やけです、私が発表します。その美人評価値は、えー、、、、、17です。」
えーーーーーーーーーっ。
全員、だまったまま、言い出せないでいると、意を決したかのように、コスメが沈黙を破って、
「あ、今、私、測定中、へんな顔、しちゃったわね、失敗、失敗、、、。」
すると、オービス、すかさず、
「そ、そうね、そうだったわよ。」
すると、間髪入れずに、所長が、
「いいえ、コスメさんは、へんな顔じゃなかったです。私がちゃんと見てました。」
すると、すかさず、所長の太ももを、思い切りつねるオービス、すると、それで気づいたのか、所長が、
「いいえ。だ、大丈夫です。コスメさんは、コスメさんは、、、へんな顔です。だ、だけど、ラッキー7の7が入っていて、すばらしいじゃないですか。」
さらに、言い間違いをして、また、追加した変なフォロー。墓穴を掘る所長。皆、これで帰りたい気持ちになったが、しかし、1番帰りたいのは、コスメであった。チーーーーンっ、、、、。




