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6-8 ドリームドリームドリーム⑧

そして、ある時、フランソワ高木の元にやってきた龍崎玲子。


「今日は、なんの用だ。言いたいことがあるなら、簡単に済ませてくれないか。」

「あらあら、ずいぶんと、乱暴なご挨拶ね。オービスは、ちょっと今日は、可愛い攻撃は、ちょっとストップよ。

 ところで、フランソワ高木、あなたにちょっと聞きたいことがあるのよ。今日は、あなたを、究極の美貌追求研究所の所長として、私のことをモデルとして、改めて評価してほしいのよ。お願いできるかしら。」


「何を言う。今の状況から考えれば、それどころじゃないことくらいわかるだろう。」


「そうね、それもわからないではないけれど、今の自分の状況をよく考えて言ってほしいわ。ここでの私の立場をよく理解してほしいわ。ここでは、私は何でもできることを、忘れないでちょうだい。今、ここで私からの申し出をことわったら、私、何をするかわからないわよ。やろうと思えば、たった今からでも、あなたにオービスを刺しにいかせることだって、なんだってできるのよ。今、それまでこうしているのは、ただの私のゲームを楽しんでいるだけ。わざと長く楽しんでいるだけなのよ、忘れないで。」


「そうだな。どう考えても、自分はどうしようもないくらい不利な状況のようだ。わかったよ。君を1人のモデルとして、そして、究極の美貌追求研究所の所長として、評価するよ。しかし、評価は、あくまでも評価であって、ウソはつけない。良いものは、良い、だが、ダメなものは、ダメと言うよ、それは、わかってほしい。」


「もちろん、それでいいわ。私だって、お世辞なんて言ってもらっても、うれしくもないし、何の得もないわ。正しい評価をしてもらって、これからもモデルとしてやっていかれるかどうかを知りたいのよ。」

「とりあえず、今の君は、16才の高校生だから、研究所で会った時の姿で、君の評価をする。」

「でも、覚えているの?そこで見た私の姿を。」

「それなら心配ない。私は、女性の姿を見たら、一度見ただけで決して忘れることはない。たとえ、メイクがほんの少しだけ変わっていたとしても、アイラインの太さが微妙に変わっただけでも違いを見極めることができる。そして、メイクを変えていったとしても、いつ見た顔がこうであり、その後、メイクが変わろうとも、すべての日付とその時の顔をも記憶することができる。これも、私の1つの才能と言えるだろう。

それでは、前回見た君の顔や全身の姿を思い出して、改めてみてみよう。」


「なんということ!その一度みたものをすべて思い出して、見直すことができるなんて!やはり、所長さんは、世界一の美人の目利き人よ!」


すると、ゆっくりと目を閉じるフランソワ高木。脳内の記憶の扉を開けると、龍崎玲子の記憶のページをゆっくりとめくっていく。そして、今回の自分の悪事を明かしてからの、険しく悪意のある時の表情ではなく、初対面で、優しく接していた時の笑顔の顔に焦点を当てた。


その時の、優しく笑顔混じりの様々な表情を思い起こして、再び観察をしているフランソワ高木。まるで、コンピューターに取り込んでいたかのような、その正確な記憶のデータと、そして、モデルとしての観点からの、完璧にあらゆる条件を確認していくフランソワ高木。その表情、目の動き、そのまなざしから読み取れる心の動きまでをも改めて解読していくフランソワ高木。


そこまでには、実に、10分以上に渡り、時間を費やしていった。


「なるほど。改めて、よく観察させてもらったが、モデルとして、かなり正統派の才能を持っているではないか。モデルというのは、綺麗な人というのは、いくらでもいるし、その仕事内容によって、良いとか悪いとかではなくて、この方面ではなくて、別のこの方面が向いている、などということもあり、また、その逆のように、仕事の内容の選び方を間違えると、その素材を活かしきれず、モデルとして失敗することがある。


 そして、一方で、オールマイティというか、モデルとして、くせがなく、全般的に通用する素材を持っているモデルたちがいる。世に言うトップモデルと言われるモデルたちである。彼女たちは、どんな内容にも適応できる能力を持っている。それは、くせがないということもあるが、それ以上に、その素材としての美しさが突き抜けているということである。これが向いているとか、向いていないとか、そんなことさえも、ぶっちぎりで超えるほどの美しさやオーラを持っているということなのである。そういう彼女たちのことを、言い換えるならば、正統派、ということもできるだろう。


 龍崎玲子、君は、正統派モデルとしてやっていかれることだろう。ただ、これまでは、全く売れなかったというが、そういうことは、よくあることなのだ。なぜなら、売れるために必要なことは、その生まれ持った素材や才能と、運、それから、タイミングなども大切なことだ。そして、私に言わせるならば、運も才能のうち、タイミングも。それを、その勘で引き寄せる才能なのだ。君なら、その才能は充分に持ち合わせていると判断できるので、そのための、運とタイミングもいつか引き寄せることができると、そこまでを、君の才能と合わせて評価する。


 また、君のそこまでの評価と共に、君が、今後売れるようになりたいならば、それをじゃましているものに対しても、しっかりと気づくことだ。それは、他のモデルを羨んだり、妬んだりすること。その気持ちは、君の内面から出てくる悪いエネルギーのようなものが表面に現れて、君の魅力を下げていく。それがもっとも、君が売れない理由の1つであり、そこが今まで、よりも売れるようになるための最大のポイントであると、私は判断したよ。


そして、やはり、他と全く違うレベルを目指したいとするならば、心のありかたとか心の純粋さがとても重要になってくる。それは、なによりも、瞳に現れてくるからね。純粋な瞳は、まるで宝石のようで素晴らしい。それも、オーラに非常に作用してくると思う。」


 それを聞いた龍崎玲子は、心に染み渡るその内容に感動した。あまりにも的確な判断と、それにつながる、欠点の指摘と、その克服についてのアドバイスが、決して、ただ良いとか悪いとかの評価なのではなく、言い方を変えるならば、希望を持たせて、そのやる気と才能を引き上げるような愛のあるアドバイスなのである。


 このアドバイスは、今の、個人として龍崎玲子にとってはプラスであるが、モデルとしての龍崎玲子には、まだプラスそのものではなく、これから、モデルとして、さらにプラスにしていく原動力となるものであるり、何よりも必要なものであった。


「改めて、所長さん、ありがとう。そのありがたいアドバイスに、感謝しかありません。」


すると、龍崎玲子は、しみじみと語り出した。

「今、そこに、あなたとオービスが2人でいるけれど、ここのところ、可愛さ評価値も数値があまり上がっていないようね。そこで、私も色々と考えたわ。


正直言って、今、所長さんから頂いたアドバイスによって、私、たった今、目が覚めたの。この夢という仮想空間を終わりにしたいと思う。」


すると、右手を前に出して、手のひらを上向きにして叫んだ。

「コントローラー!」

手のひらの上に、ドリームメーカーのコントローラーが現れた。


「この夢も、これで終わりにするわ。所長さんにも、オービスにも、そして、これまで多くのモデルたちや、加害者にさせられた男性たちには、本当に申し訳なかったと思う。


今、ドリームメーカーのコントローラーを使って、すべてのドリームメーカーのドリーム機能をここで停止させて、皆、現実世界に戻ることにするわ。


それで、一つ明かすと、所長さん、あなたに黙っていた、もう一つの危険な罠のことだけど、オービスが告白したあと、最後にあなたがふられたら、あなたが目覚めて、本物のオービスをナイフで刺す、というシナリオがあったけれども、それとは別に、所長さん側の方にも別の展開が用意してあったのよ。それは、あなたから、オービスからの告白を断ったら、所長さんのドリームメーカーが自動的に停止して、もう決して目覚めることはなく、脳死になるところだったのよ。」


「なんだって!そんな危険なことが設定してあったなんて、なんと恐ろしいことだ!」


「だけど、私も、もう目が覚めたわ。これで、元の現実に帰りましょう。」

「しかし、君は、なんてことを考えるんだ。しかし、そんなことにならなくて、本当によかった。これで、やっと解決になるのか。まあ、でも、君に、わかってもらえたのは、本当によかったと思う。現実に戻ったら、自首して罪を償って、今後の人生をやり直すんだ。」

「本当に、ごめんなさい。」

「よかった。わかってもらえて。君は、まだまだ若いんだ。これから、やり直せるよ。」

「そうですね。そのように願いたいです。」

2人とも、オービスも、3人で笑顔になった。


すると、龍崎玲子から、


「所長さん、私、最後に、一つだけ教えてほしいことがあって、今、オービスが、どういう表情とか仕草をしたら、個人的に1番ささるというか、その、とても可愛いと反応してしまうの?もっとも、やはり所長さんとしては、そういう意味では、鉄壁だから、そういうことって、さすがにないのかしら。」


すると、これまでの固い表情が少しゆるんだフランソワ高木、

「そんなことはないよ。私だって、あっ、もちろん、仕事上ではそういう感覚は離しておくことはできるんだけれども、個人的には、とても心に感じてしまうことはあるよ。」


「とても信じられないわ。所長さんなのに、そういう反応があるなんて。それって、どんなことですか?」


すると、フランソワ高木は、いつになく、ちょっとだけ恥ずかしそうに語った。

「まいったな。それはだね。まあ、できれば、ここだけの話しにしてほしいんだけど、それは、女性の嬉し涙かな。目が涙でうるうるしていながら、あふれる笑顔ってあるだろう。そういう時の笑顔って、普通の笑顔よりも、もっと輝いているというか、心の底から、嬉しさがあふれていて、本当に可愛いと思うんだ。嬉し涙なら、必ずというわけでもないんだけどね。やはり、本当に心の底から、嬉しさがあふれて、感極まって、そして、涙があふれる時って、本当に可愛いいと思う。」

「そういうことだったんですね。ちょっと思いがけないことでしたけど、なるほど、所長さんらしいともちょっと思いました。」


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