6-4 ドリームドリームドリーム④
次の日、朝になったが、あまりよくねむれなかった。すると、外から大きな声がする。窓を開けてみると、
「おはよーっ!」
なんと、オービスが来ていた。どうやら、向かいの家がオービスの家だったようだ。なんという立地になってるんだ。こういうことも、ドリームメーカーの設定になっているんだろう。
いや、それにしても、下の道路で待っているオービスの姿だ。この季節、少し寒くなってきたので、そこまでモコモコではないのだが、通学だというのに、ちょっとおしゃれな赤いハーフコートに、ピンクのマフラーをしていて、また、なんなんだ、あのマフラーの巻き方は!可愛すぎる!結局、あのハーフコートとの組み合わせのせいなのだな。朝から、いったい、どうなっているんだ、朝から、癒されすぎて、いやあ、ちょっと、言葉にならないぞ。それにしても、もう40代になった私が、こんな気持ちは、久しぶりだ。いったいどうしたのか。
そのまま、みていると、おおおおおおおっ!
笑顔で手を振ってるぞ。なんだって!可愛さが、さらに10倍は、きたな。こんな気持ちで、一緒に学校までは、とてももちそうもない。
「おー、じゃなくて、帯須さん、先に行っててくれないか。ちょっと、トイレに行くから。」
「いやよ、待ってる!」
「どうか、頼むよ。どうしたら、先に行ってくれる?」
「そうね、じゃあ、今から、私のこと、下の名前で呼んでくれたら、今日は、先に行くわ。」
「下の名前?なんだっけ?」
「もう!梨奈よ!り、な、!そうね、バツとして、今日も可愛いよ、梨奈、って言ってね。」
な、なんなんだ、いったい。今のプンっとなった顔が、また、なんであんなに可愛いんだ。それにしても、可愛いとか、言うのか、きついなあ。
「梨奈、今日も可愛いよ!」
だめだ、今日は、学校を休もう。
午前中は、ちょっと休んで、昨日の空き地へと散歩に出かけた。すると、誰かが後をつけてくる。なんとか、まいたあと、その人物の真後ろに回った。
「いったい、誰だ!」
すると、そこには、16才になった龍崎玲子がいた。
「龍崎玲子!」
「どうして、こんなところにいるんだ。おお、君は、プログラムじゃないな。何の用でここにきているんだ。」
「実は、このモデルを襲う計画ね、私も、もう1台のドリームメーカーで、夢の中に入って見学しているのよ。そして、最後に刺すのを見届けるまでね。」
「なんてことだ。そんなことまでするなんて。言っておくが、私は、オービスを好きになったり、交際を申し込んだり、まして、振られたりもしない。だから、もう目覚めさせてくれないか。もう、こんなことは、やめた方がいい。」
「おあいにくさま。今回は、いつもと違う、一つおまけがあるのよ。あなたが振られなくても、オービスに対する、オービスの可愛い評価値ね。これが、数値が90に達した時点で、あなたは起き上がって、オービスを刺しにいくのよ。
「それなら、心配ないさ。私の年齢を知ってるだろう。もう、40過ぎているんだよ。あんな小娘なんかに、動揺すると思うか。」
「そうね。あなた、まだ、気づいてないの。それとも、気づいていないふりしているのかしら。あなた、鏡で自分の顔を見たでしょう。
あなた、今、40すぎのあなたでありながら、半分16才のあなたでもあるのよ。その半分は、ドリームメーカーの16才の時の心も合わせて、持っているのよ。そして、この夢を見ているあなたも、この夢が長引いていくと、そのうち、少しずつその少年の心の支配がだんだん強くなってくる。その、16才の少年が、あの、最高美少女のオービスの魅力ある可愛い攻撃を、果たして、どこまで耐えられるかしら。」
「君は、私のことを、よく知らないようだね。いつでも、冷静沈着で、どんな時でも、決して、その状況に呑まれたり、動揺したりしない。だからこそ、いつでも正当な判断や評価ができるんだ。だからこそ、美人のジャッジとして世界最高峰とまで言われる所以なんだ。それが、たった1人の少女の魅力なんかに動揺してどうする。こんな勝負は、火を見るよりも明らかだろう。」
「それは、今までの美人に対する評価の場合に限るわね。ところが、今回だけは、そう簡単にはいかないわよ。まず、もう一度言うけど、あなたが、半分16才の純粋な少年であるということ、そして、オービスも同じく16才の少女よ、それも最高美少女の16才で、おまけに、今から、あなただけに積極的に魅力を全力でぶつけてくるのよ。ドリームメーカーで、そうプログラムしてあるからね。
そして、それには、敵意も悪意もない、甘酸っぱい攻撃をね。あの子の攻撃に勝てる男子なんて、いると思う?それから、言っておくけど、あなたのオービスに対する可愛さの評価の数値が、90を超えたら、目が覚めて、本物を刺しに行くって言ったけど、今、ここにある、心の状態を測定することができる測定機があって、今の状態を分析してみると、可愛さ評価の数値が、もうすでに80まで上がっているからね。
今朝、赤いハーフコートを着て、手を振っていたのをみて、ここまで、だいぶ数値が上がってしまったようね。オービスの攻撃は、まだまだこれからよ。だいぶ面白いことになってきたわね。覚悟することね。私もとくと拝見させてもらうことにするわ。」
「そんなことには、ならないし、絶対に、させないぞ。絶対に阻止してみせる。究極の美貌追求研究所UBPRI所長の名にかけても!」




