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5-7 無敵のモデル アイリスの秘密⑦

それから、どれだけ時間が過ぎたのだろうか。


目が覚めると、2人は、病院のベッドに並んで寝ていた。目の前には、それぞれの2人の家族の顔があった。すると、家族たちは、全員、恐怖に震えるような表情で自分たちを見ていて、全員、泣きはらした表情で、私たちにかける言葉が見当たらない。


しばらくすると、家族たちは、全員、部屋をあとにして、再び、2人だけとなった。すると、2人は、具合が悪くて、身体が起こせない。すると、その部屋があまりに静かだったため、部屋の向こうから、病院の医師と家族の話し声が聞こえてきた。


「こんなことになろうとは、信じられない。聞いたことはあるが、こんなことが本当にあるなんて、、、。」


明らかに、私たち2人について話をしていた。そして、無理をしてゆっくりと、身体を起こすと、病室の横にある鏡をふと見ると、そこに恐ろしいものを見た。


自分の美人の顔が、全く失われていて、その美人でないレベルの顔は、母国としては、もはや、最低レベルに近いと言ってもいいほどになっていたのだ。しかし、その顔は、他国においては、そこまではなく、普通レベルではあるのだが、この国における美人顔のレベルがあまりにも高く、そして、もともとのハイレベルの容姿と比べてしまうと、その落差はあまりにも大きすぎたのである。


その持って生まれた美しい容姿が失われていってしまった。あの時に食べた実こそが、この国で決して食べてはいけないと言われている、禁断の木の実、逆美人の実、学名 ベリック、であった。それは、たとえば、容姿がよくない場合の表現には、世界的には、不細工であるとか、様々な悪口のような言い方があるのだが、コトールルミナス国では、そのような場合でさえも、女性の美に関する表現に対しては、直接的に悪い言葉や悪い表現を避ける習慣があり、その表現に悪い言い方をしたり、悪い言葉を用いるだけでも、自身の美しさを汚してしまうという考え方から、美しいとか美人という言葉をあえて使い、逆美人という言い方をする。つまり、容姿がよくないという時に使う、この国独特の表現である。


そして、その禁断の木の実、逆美人の実が、本当に恐ろしいのは、実は容姿が失われることだけではなく、その信じられないほどの美味しさでもあった。おそらく、コトールルミナス人が一生生きていく中で、これほどの美味しさに出会うことは決してないのである。そして、この実を間違って食べてしまった人たちの中には、あえて、容姿が、さらに、さらに失われることを知りつつも、この実を食すことから逃れられずに、一生、他人からの顔への批判を受けるという、この国の人間として最悪の状況にいることを知りつつも、それも一生に渡って食べ続け、さらに、その容姿がさらに失われて苦しみながら生き抜いた人たちも存在していた。この実が、別名で悪魔の実と言われる理由が、その逃れることのできない、その、悪魔的な美味しさにもあったのである。


そして、その実を食べることで、さらに、もう一つ、悲劇が訪れる。それは、この国で最高に価値のある美人顔が、自らの肉体やこもる生きるすべての力が注ぎ込まれて、約40年に渡る寿命の間、その美しさが生涯保たれるというのが、この国の美貌の女性としての生き方であるのだが、しかし、この実を食すと、途端に、美人顔が失われたあと、美人顔を変わらず保つために供給するはずだった力は、本人の生きるための力として舞い戻り、その寿命は、2倍の80年となり、この美人顔が最高に賞賛されるこの国で、80年間、その最低レベルの容姿のまま、生き続けなければならない。そのようになった女性には、この国の人間として、この国の国民全員からみて、もはや、その価値は何もない。美貌のない女性は、この国では、同じレベルの人間として、もう認められないのである。この国で、長く生きることよりも美貌の方が重要な国の中で、美貌が失われて2倍の寿命の80年を生きなければならないのは、まさに生き地獄のようである。その境遇となってしまった2人。

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