5-5 無敵のモデル アイリスの秘密⑤
アイリスが去って、静まり返った会場。ため息をつく実務。図類も、呆然としている。
すると、実務が、口を開いた。
「図類さん、もういいわよ、大丈夫。それから、会場の皆さん!もう起きても大丈夫よ。」
その掛け声で、倒れていた人たちは、次々と起き上がった。
すると、図類も笑いながら、実務の方に駆け寄って、
「どうだい。なかなかの演技だったろう。アイリスは、すっかり騙されたな。まさか、フランスから連絡した時から、このために仕組んでいたなんて、思わないだろうな。しかし、最後に、金を払わなくていいと確認できてよかったよ。実は、俺はあれが1番心配だったんだよ。」
「図類さん、今回は、本当にありがとう。すべてうまくいったのは、図類さんのおかげよ。」
すると、陰から見ていたコスメが顔をだす。
「そうね。昔は、うちの事務所にいたこともあるし、悪いこともされたけど、心を入れ替えるって言うから、フランスでのモデル事務所立ち上げに協力してあげて、今ではけっこう忙しいらしいじゃない。」
「もう悪かった頃のことは忘れてくれよ。名前だって、ずるい、じゃなくて、ずるくない、に変えたいくらいなんだからさ。今回のことは、コスメにモデル事務所立ち上げにはとても世話になったご恩返しだ。また、なんかあったら、いつでも呼んでくれよ。」
すると、実務から、
「アイリスも、自分では、悪いことは絶対にしていない、って言ってたけど、これで罪を犯したと思ってるから、これですべて解決したわ。もう、2度とあのガスは使わないと思う。」
「しかし、実務さん、あなた、よくこんなこと考えたわね。映画のエキストラ200人用意するって言うから、何かと思ったけど、こんなドッキリみたいなこと。」
「ここまでやらないと、アイリスはだませなかったのよ。あっ、ソフィーも、ありがとう。そのリングもらうわね。」
ソフィーから、最後のビダーリングを受け取ると、
「これで、アイリスのビダーリングは全部処分するわ。」
すると、会場にいるエキストラたちに、声をかける実務。
「皆さん、今日は、ありがとうございました。とても良いシーンが撮れました。もしかしたら、このシーンが採用されるかもしれません。ちょっとそれは、監督次第なので、わかりませんが。」
すると、なんと本物の監督がでてきて、
「皆さん、お疲れ様でした。これは、採用されるかわかりませんが、とても記念になるいい経験だったと思います。今日は、ありがとうございました。」
すると、エキストラたちは、拍手して、退場していった。
すると、監督から、
「やあ、コスメ、じゃなくて、社長さん、今日は、楽しい体験をさせてもらって楽しかったよ。また、いいモデルを紹介して下さいね。じゃあ、また。」
なんと、最後まで、映画撮影風の設定でエキストラを使っていたのだった。
これで、すべてが終わったのであった。
そして、モデルラボに戻っていくコスメと実務。
すると、コスメから、
「さあて、これでアイリスのことは、無事に終わったので、改めて、実務さん、あなたの話しを聞きたいのよ。」
「えっ、どういうことですか?」
「だめよ、ごまかしても。あなた、美人に見えるガスとか、ガスがでるネックレスとか、どう考えても日本じゃ、ありえないことばかりで、あなたは、いったい誰なの、いったいどこからきたの?それに、今回のこのシナリオは、見事すぎるわ。あなた、これだけのことを考えて、構成した企画力とか、ただものじゃないわね。別に、あなたは、悪いことをしたわけじゃないんだから、責めているんじゃないの。ただ、あなたのこと、本当のことを知りたいのよ。正直に、すべて話してくれないかしら。」
「そうね。実は、このことは、何も話さずに、このまま日本で一生生きていこうと思っていたのだけれど、とうとう話さなければならない時がきたのかしらね。私の本名は、エテリア・フローラル・レオニール。」




