5-2 無敵のモデル アイリスの秘密②
そして、彼女の非常に特徴的なことは、彼女が現れる時、必ずラベンダーの香りがする。最近では、会場で、ラベンダーの香りがすると、彼女の登場かと連想してしまうほどであった。
しかし、メディアにあまりにも多く露出が増えているアイリスに、1つだけ、とても不思議に思われていることがあった。それは、人によって、時々、彼女の印象の内容が異なることからなのだった。
ある2人の女性は、友達同士で、生のアイリスに、たまたま遭遇した。2人は、アイリスの大ファンで、1人は、彼女の清潔なセクシーさが好きだという一方で、もう1人は、彼女の大人っぽい中のかわいらしさに心引かれるという。もちろん、アイリスは、様々な顔を持つので、人によって、いつも同じ印象ではないのだが、今回、2人が、たまたま生のアイリスに遭遇した時の印象も同じで、2人とも印象が違っていた。その時に見たアイリスの姿は、2人でそこまで変わるわけはない。だが、2人は、そんなことではどうでもいいと言う。
むしろ、彼女たちは、人それぞれで印象が変わるのも、アイリスの独特の魅力であると主張する。日増しに、ファンが増えていき、ランキングも2位のオービスとは、その差は開いていき、最早、不動の1位を築き上げた。
コスメも、オービスを超えた人気に驚くしかなかった。そして、とにかく、1度、本人を見てみたいと、やっと彼女の現場に行くことができた。すると、コスメの印象はというと、最早、これまで見たことのない異次元の美しさであった。コスメも、世の中に、こんな条件を揃えたモデルがいたなら最高だと思っていたのが、まさに、アイリスだった。
これは、もう対抗しても仕方ない。むしろ、こちらの事務所に引き入れるしかないと、思った。というのも、アイリスは、どこにも所属していない、フリーランスであったのだ。フリーランスで、ここまで上がってきているのは、業界では、奇跡に近い。それから、不思議なことに、悪いことは言われない。ネットで検索すれば、必ず悪いことを言う人は、多くはなくとも、必ずいるのだが、ここまで、絶対的に人それぞれの好みに寄り添っている魅力とはなんなのだろうかと、話題になっていた。
だが、たった1人、疑問を感じる人物がいた。それは、モデルラボに事務員でいる実務計子であった。実務は、特にモデルのことに詳しいわけでも、その業界に関わったことがあるわけでもないのだが、誰からも魅力だと評価されていることが、とても気になっていたのである。どんなに人気があっても、そのように思わない人は、世の中には必ずいるが、アイリスについては、まず見当たらない。実務は、徹底的に調べだした。
そして、ついに、直接、アイリスに会いに行く実務。
「こんにちは、アイリス。」
実務に会って驚きを隠せないアイリス。
アイリス「あ、あなた、、、。」
実務「ふふふっ、やっぱり、あなただったのね、アイリス。じゃなくて、本当の名前、ミレニス・ジャクリーン・ペネストリア、久しぶりね。私も、今のあなたの顔をみてもわからないから、正直言って、これまで確信がもてなかったけど、ラベンダーの香りでわかったわ。あなたの研究、必ずラベンダーの香りがするものね。」
アイリス「あなた、まさか、日本に来ていたなんて、私だけかと思ってたのに。と、いうか、あなた、もう私のことは、すべて忘れているはずなのに、どうして?どうして、私のことがわかるのよ。」
実務「それはね、私だって、伊達にあの立場にいたわけじゃないからね。いざという時のために、色々と準備していたからね。それから、日本にいるのは、なぜなのか、それは、よく考えたら、不思議じゃないでしょう。お互い、もうあのままいられないんだから。」
アイリス「それはそうね。あんなにつらい思いをするなら、このまま日本に住み続けたいわ。ということは、あなたも、一生このまま、日本に住み着くつもりなの。」
実務「そうね。だって、80才まで生きるしかないから、それなら、もう日本に住むしかないでしょう。」
アイリス「そうよね。お互い、こんなことになるなんて。」
実務「ところで、あなた、今、こんなことして、モデルなんかして、何やってるのよ。やっていた研究が成功したのね。」
アイリス「そういうことよ。今、目の前にいる私が、その結果よ。すごいでしょう。あなた、こんな綺麗な人、見たことある?正直な感想をどうぞ。おっと、ねたむのは、なしよ。」
実務「くやしいけど、すごいわ。あなたの才能は認めるわ。だけど、なんでこんなこと。金儲けのため?せっかくなら、もっと正しいことに使いなさいよ。」
アイリス「もちろん、ここにきてからは、仕事もないから、これでモデルでもやれば、絶対に稼げるとは思ったけど、ここまでとは思わなかったわ。今、私の人気に勝てる人なんていないからね。」
実務「悪いけど、今、すぐにやめなさいよ、こんなこと。この国にいる私には、何の力もないから、何もできなくてくやしいわ。」
アイリス「なぜやめなきゃいけないの。私は、ここでは、何も悪いことはしてないわ。というより、私は、皆を幸せにしているのよ。誰か困った人がいる?私のせいで、迷惑だと言う人がいるの?誰もいないでしょう。むしろ、私の美しさに皆、喜びを感じているのよ。」
実務「だけど、あなた、皆をだましているのよ。」
アイリス「じゃあ、聞くけど、私が誰から、お金をむりやりとった?皆、自分から私のために、自らお金を払うのよ。」
実務「お願いだから、こんなことやめて。お互い、同じことで苦労してきたじゃない。だから、結局、日本に来たんでしょ。他にも仕事はあるわよ。私が協力するから。だから、、、だから、こんなことやめて。それに、あなた、これを海外でも売り出して儲けるんじゃないでしょうね。」
アイリス「とても、残念だけど、それができないのが、これの欠点よ。最高のトップは、1人だけしかいないからね。だから、私がやったら、もう他の人はできないのよ。もういいわ。あなたからのお説教なんて聞きたくないわ。帰ってちょうだい。」
実務「あなた、、、今に、絶対、、、絶対に後悔するわよ、いや、絶対に、後悔させてみせるわ。」
アイリス「もう一度、言うわ。ここでは、私は、悪いことは、何ひとつしていない。国にいた時とは、違うのよ。誰も困っていないのよ。私がしていることは、皆を幸せにしている。それだけよ。やれるものなら、やってみなさいよ。」




