4-4 オービスの危機
そして、ある時、やはり、グラビア撮影の仕事で、オービスが控え室に入った。すると、それに近い現場で、やはり同じ時間に撮影をしているステラと、偶然会った。
「あら、ステラ、今日は、グラビア?」
「あっ、オービスもグラビア?珍しいわね。」
偶然、現場近くで会った2人は、うれしそうに話して、別れた。そして、オービスが着替え始めると、オービスは、何か違和感を感じた。それは、確かに、この部屋で何かが起こっていると。
とにかく、気にしないで、やり過ごそうとも、思ったが、その違和感は強くなる一方であり、たった今、この部屋にいるのは自分だけなので、その違和感は自分に向けられているものだと感じた。そして、心を落ち着けて、冷静になってみると、自分自身の中から、何かが引きづりだされるような感覚が起こり始めた。すると、自分の周りを包んでいるオーラが吸い込まれているように感じたのである。
そして、それは、よく見ると、目の前のテーブルの上に置いてあるものに向かって、引き込まれているように感じる。そこで、オービスは全てを悟った。これまでの、モデルたちが、気力がなくなったり、オーラがないとか、よく言われていたのは、気のせいでもなければ、体調不良などでもない。その原因は、オービスの前にある机の上にある。
この感覚は、他のモデルたちには、決してわからない。それゆえに、知らないうちに、オーラを吸い取られていたの違いない。しかし、この、オービスがまとっているオーラは、そこらのトップモデルなどであろうと、足元にも及ばない。うちに秘めているオーラは、とんでもない質と量なので、とても簡単には吸いつくせないのである。
しかも、その、プリンセスの血によって、さらに、秘めたるオーラをまとうことすらできるのであった。そして、オーラを吸い取られることに対して、オービスは、あえてオーラを、大量に放出するに至った。そして、ほどなくすると、その、目の前にある緑色の石は、オーラのエネルギーが、許容範囲を超えてしまい、とうとう、砕けてしまった。そして、砕けた石は、湯気が上がっていた。
その日の撮影を終えて、控え室に戻ると、やはり数人のモデルたちが、体力の減退や、気力の喪失感などを訴えていた。そして、しばらくして、ステラも戻ってきて、やはり脱力感を訴えていた。
「あら、ステラ、あなた大丈夫?私ねえ。さっき、着替えている時、なんか違和感を感じて、よく見たら、変な石が置いてあって、オーラが吸い取られるところだったのよ。最近の、モデルたちが、原因不明でやられていたのは、そのせいなのよ。」
「そうだったの。やっぱり、私もさっき、急に体力が落ちてきてしまって、あれは、そういうことだったのね。」
しかし、控え室にあった石のかけらは、既に片付けられていた。そして、その事件は、なりをひそめていた。
その後、オービスは、控え室に入る度に、精神集中をしている。それは、あの石があるかどうかを調べるためであった。それは、意識を集中して、あの石にこもっているオーラを感じるとることで、石を探していたのである。それは、モデルたちが出入りする場所があると、必ず行なって、あの石を探していた。
しかし、日にちが過ぎていっても、もう事件は起こらない。オービスの精神集中にも反応はなかった。たぶん、あの石はオーラの吸収する限度を超えて砕けてしまったので、もう使えなくなったのかも知れない。ということは、もうこれで、大丈夫なのだろうかと、オービスは思っていたのだが、1つとても気になったことがあった。
それは、ステラのオーラがあの事件に遭遇して以来、少なくなっているのだが、それがとても不自然なのである。相対してみると、たしかに以前よりもオーラを感じないのだが、本人の中ではそれほどの減退は見られない。もっと言うなら、あえてオーラを抑え込んでいるように感じられるのである。だとするならば、わざと被害者を装っているとしか考えられないのである。
その後、1週間して、オービスは、ステラに話しがあると呼び出した。
「ステラ、もう、はっきりと聞くけど、あの緑の石をしかけたの、あなたでしょ。」
驚くステラ、しかし、すぐに観念して、深く頭を下げた。
「ご、ごめんなさい。しかけたのは、私よ。だけど、どうしてわかったの。私、あれから、あなたと会う時は、必ずオーラを抑えていて、オーラが減っていたようにしていたから、あなたには気づかれないと思っていたのに。」
「私には、オーラが少ないのか、抑えているのかはわかるわ。だけど、もう1つ。あなたは、コトールルミナス人なんでしょ。こんなふうに、オーラを抑えたりできるのは、コトールルミナス人しかいないわ。日本人には、そんなことできないもの。」
「それがわかるあなたも、日本人じゃないわね。」
「私は、母がコトールルミナス人なのよ。だから、それができるんだと思うわ。あなた、私にしかけただけなら、自分がトップになりたくて、しかける理由にもなるけど、これまでは、もっと下のランクのモデルたちにもしかけて、どんな意味があったの。しかも、元々オーラすらないモデルたちまで、偽の訴えで、オーラがなくなったとか、業界は、今、めちゃくちゃよ。いったい、何が目的なの。」
「ごめんなさい。私は、モデルとして、トップであることなんて、そんなことはどうでもよかったのよ。元々、私は、モデルになんて、なりたくなかったのよ。」




