3-6 アネットと福良葉希織(ふくらばきおり)
一方、モデルラボの事務所では、夜まで急ぎの事務を仕上げたアネットは、事務所の机の引き出しを開けて、様々な書類などをみていた。すると、知らないうちに、背後に人影があり、気づいて驚き、振り返ると、そこには、福良葉 希織が立っていた。
すると、福良葉は、
「どう?何か、みつけた?」
と聞いてきた。
すると、アネットは、
「ううん、まだ、何も見つからないわ。」
2人とも何かを探している。
「そう。でも、もしも、手がかりがあったとしても、だからといって、みつかるとは限らないものね。」
「そうなのよ。あまりにも、手探りだし、本当にあるかどうかもわからない。」
「だけど、とにかく、急がないと。」
「そうね。」
2人は、そう言うと、その日、深夜まで探し続けるのだった。
それから、ひと月が過ぎて、紗月は、読者モデルとして、雑誌に載るが、とても評判で、プロのモデルになることが決定し、正式に、アンティアの名前で、友人の東堂リエナの紹介で、モデル事務所に所属することとなった。
その、同じ頃、2人の姉妹も、プロのモデルとしてデビューを果たした。
「お姉ちゃん、ここまでくれば、オービスと、現場が一緒になる日も近いわね。」
「そうよ、やっと、その目標が近づいてきたのよ。やっと、念願の日が、やってくるのよ。」
オービスとの対決に少しずつ近づいてきた。
その上、これだけの美貌の2人。それに、居酒屋でのバイトの時とは、メイクも服装も、まったく違う、その美貌を最大限まで際立たせたオシャレをした2人は、2人そろって微笑むと、美貌のステレオ二重画像の効果で、過去にない立体効果のダブルオーラの攻撃は、みている者たちの心を、強く優しく、そして、華麗に打ち砕く。心を打ち砕かれた者たちは、もう、すでに、2人の虜になっていった。
そして、モデルランキング50にも顔をだすようになり、一気に駆け上がってきたのである。
ただ、それでいても、当時のランキング1位は、やはりオービスの独走であり、アンティアと2人の姉妹、それぞれにモデル名の決まった、バイオレットとリリアナは、初回というのに、ベスト20入りという快挙であった。すると、アネットもランキング20以内に入っていて、アンティアと2人の姉妹とアネットは、デッドヒートを繰り広げていた。
そんなある日、アネットは、コスメの机の引き出しから、獅子童灯からの手紙をみつけ、灯は、美と命の水を飲み、エミリアとなっていたことがわかった。
「やったわ、イレーネ。エミリアからコスメにきた手紙をみつけたわよ。」
実は、福良葉希織は、本名を、イレーネ・エルメントスという。
「エミリアは、ここに、以前いた事務員の獅子童灯で、美と命の水を飲んで、最大の美貌を手に入れて、エミリアとしてトップモデルになっていたのよ。」
「しかし、どうやって、あの水を手に入れたのかしら。」
「この手紙の封筒に、獅子童灯の、あっ、今は結婚して二宮になってるけど、住所が書いてあるから、ここへ行ってくるわ。イレーネ、待っていてね。」
「わかったわ。それ、コピーして、コスメの引き出しに戻しておくから、そっちは、頼むわよ。」
「わかった。必ず、何かしらみつけてくるわ。」
その手紙の住所に急ぐアネット。
「それにしても、どうやってあの水を、日本人が手に入れたのかしら。」
エミリアこと、現在は、二宮灯となった、二宮家のマンションに到着した。二宮家の駐車場には、車がないので、灯の夫は留守なのだろうか。マンションのチャイムを押した。
「はーい、今、いきまーす。」
なんとも、さわやかな返事が、彼女の現在の幸せを、物語っている。しかし、自分の訪問が、それを壊さなければいいのだが、そう思いながら、でてくるのを待った。
ガチャンと、ドアが開いて、そこには、相変わらずの美貌の、旧姓 獅子童、二宮 灯がいた。
「ごめんなさい。私、モデルラボに所属している、モデルのアネットといいます。ちょっと、お話しを聞かせて頂いてもいいかしら。」
そして、実は、コトールルミナス国から、プリンセス就任までに、あの水を探しにやってきたことを、ついに明かした。
これは、実に、10ヶ月以上前にさかのぼる。




