3-4 コスメの娘、アネット
そして、いよいよ、日本でのデビューをはたした。その後のアネットの人気は、うなぎ上り。業界誌モデルランキング50においても、1ヶ月でベスト20入りをしてしまう。
ある日、その日の仕事が終わって事務所に戻ってきたアネット、
「おかえりなさい、アネット。」
「ただいま帰りました。社長、ちょっと、お願いがあるんだけど、時間あるかしら。」
「まあ、どんなこと?今、話しを聞くわよ。」
「実は、私、夕方、戻ってきて、時間があったら、夕方1時間だけでもいいので、各モデルのスケジュール管理の事務処理の仕事のお手伝いをしたいの。」
「何かと思ったら、そんなこと。いいわよ。そうしたら、担当の福良葉さんに教わってやりなさい。ちょっと、待ってね。福良葉さーん。」
「なんでしょうか、社長。」
「アネットが、夕方、モデルのスケジュール管理の事務処理の手伝いをしたいって言うの。あなた、やり方とか教えてあげてちょうだい。」
「わかりました。アネット、よろしくね。」
事務処理の責任者である、福良葉希織は、若干20才だが、簿記検定1級を持ち、公認会計士の資格も持つ凄腕の事務員である。福良葉から、仕事の指導を受けて手伝うことになった。
アネットは、とても仕事熱心で、過去のモデルたちのデータやスケジュールも調べて参考にするようになっていた。そして、過去のモデルたちの中に、過去にオービスに、1対1で戦いを挑んだモデルがいたことを調べだした。だいたい、あのオービスに、真っ向勝負を挑むなんて信じられない。当時、2回勝負していて、2回ともオービスが勝っているが、2回目にかろうじて、引き分けとされたのだが、あとは、そのまま行方知らずとなり、引退同様になっている。しかし、2回ともかなりの接戦で、そこまでオービスに迫っていたくらいすごいのに、なぜ急にモデルをやめたのかが不思議であったさ。そして、それと合わせて、写真で見た顔があまりに綺麗であり、こんなに綺麗で、ましてその時はまだ若かったこともあるのに、引退が不思議でならなかった。
そのモデル、エミリアのことを調べていたが、オービスと対戦したのなら、コスメに聞いたら、何かわかるかも知らないと思い、コスメに聞いてみた。
「ママっ、じゃなくて、社長さん、」
昔、オービスと対戦したエミリアって、いま何してるか知ってる、と。すると、ああっ、あの子も綺麗な子だったわね。今は、結婚して、モデルやめたからね、という答えだった。ええっ、そうだったんだ、だけど、いくらネットで調べても、1度だけ短期間で復活したが、その後の消息はわかっていない、と、不明という情報だった。知られていない、としか出ていない。
ネットにもない情報なのに、なぜコスメは結婚してやめたと知っているのか、何か特別なつながりがあったのだろうか。
一方で、紗月は、友人の東堂リエナから、あなた、最近、肌のお手入れ始めた?と突然言われた。自慢じゃないけど、メイクとか大して興味もないので、特に気を使ったことなどないので、何もしてない、と伝えると、ふーん、と言われて、その時は終わったが、言われたことが気になって、帰宅して入浴後、熱心に鏡を見る。すると、そう言われてみると、少しそんな気がしていたのだが、まさかあの水のせいなんてことはないわよね、と思った。
東堂リエナは、モデルをやっているので、紗月の肌がカサカサだったのが、潤ってツルツルになっていたのを見逃さなかったようだ。
しかし、なんだか気になったので、試しに今日も少しだけ飲んで見よう。
今度は、スプーン数杯分程度、飲んでから、床についた。
すると、2、3日後、大学の講義の途中から、顔になんだか、とてもかゆみを覚えて、講義を終わるや否や、急いで、トイレに駆け込んだ。鏡を見ると、頬の横に、だいぶ前からあるニキビの潰れた痕が少し盛り上がったところがとてもかゆいのだった。そして、かいていると、なんと、ポロッとむけてしまった。その下からは、ピカピカの綺麗な肌が顔をだしたのだ。ええっ、なんてこと、あんなに痕が残っていたのに。どういうこと?そして、よくみると、顔のくすんでいたり、肌が黒かったり、傷んでいるような部分は、全て、指で触ると、次々と剥がれてゆく。まるで、脱皮するかのようで、正直ちょっと怖いようでもあったが、剥がれた皮膚の痕は、すべて信じられないくらい綺麗な肌に生まれ変わっている。
その後、1ヶ月のうちに、目は二重瞼になり、目は少しずつ大きくなり、鼻の形が高くシャープになり、少しずつ整ってゆく。その後も、日を追う毎に、その変化は目立つようになってきて、大学でも、バイト先でも最近、とても綺麗になったけど、何かやってるの、と、よく聞かれるようになった。
しかし、毎日のように周りの人達とは会っているので、とても整形とかではないことは明白なので、周りは、よけいに驚きだっなり、白くなっていく。さらに、飲み続けて、毎朝、顔を見るたびに新たな変化に気づいていく紗月。
ところが、ある時から、その変化というか、進化とも言える変化は、身体にも起こり始めたのである。
そして、1番身近で、彼女のことを見ている東堂リエナ。
「ねえ、紗月、あなた、最近、顔が、身体が、どんどん変わっているわ。いったい、何が起こっているの。いったい、、、、、。いったい、どうなっちゃうの。」
「私も、だいぶ、顔、変わってきちゃって、大学やめようかと思ってるのよ。」
「えっ、そうなの。」
すると、ついに、身体の変化に、身体の動きがついていかず、しばらく休むと、紗月からメールがきた。
顔がどんどん変わっているのは、この水のせいなのは、明らかなので、今やめれば、ここまでで変化は止められる。今でも充分に綺麗になったし、水は、まだ半分以上残っている。
そして、ついに、その変化にも、やっと、終わりを迎えた。それを、友人として、最初に目の当たりにしたのは、やはり東堂リエナだった。
「紗月、、、あなた、すごいわあ。信じられない。本当にあなたなの?こんなに変わるなんて、、、。あなた、怖いわあ、こんなに、変わって。これって、整形とかのレベルを遥かに超えてるわね。身体まで、ここまで変わるなんて、信じられない。」
もはや、目の前にいる紗月の姿は、東堂リエナを遥かに超える美しさであった。こんなにも、人間が変わることなんて、あるのだろうか。その顔は、美しいという一言では簡単に片付けられないレベルであり、そのぬけるような色の白さと、きめ細かな繊細な肌は、その肌だけでも、他を圧倒する。そして、以前は小柄であった紗月の身体は、全身が細くなりながら、そのバランスが変わっていき、身体と脚の比率のバランスが変化し、長身となったその姿は、その6割以上を美脚が占めているという奇跡的なバランスを手に入れた。
もはや、東堂リエナは、自分を超えた美を手にした紗月に感動していた。
「これは、もう、ただ綺麗になった、とかではないわね。あなたは、もう完全に別人になったのね。こんなに変わるなんて、私、夢をみているような気がするわ。だけど、どうして、こんなことが起こったの。」
そこで、初めて、口を開いた紗月、
「それは、私も言いたいことよ。まさか、今、夢の中じゃないわよね。自分がこんなに変わるなんて。とにかく、身長も伸びるし、体型も変わるし、洋服のサイズもどんどん変わって、変えるのが追いつかなくて、ここしばらくは大変だったけど、やっと落ち着いたようね。」
紗月は、しみじみと、鏡に映った自分の全身の姿を見ていた。友人のリエナには、色々と親友として心配してもらったりしているのだが、あの奇跡の水のことだけは話すことはできない。リエナも、長身でどんなモデルもかなわないスタイルの私を見て、ため息をついている。
「リエナ、私、モデルを始めようと思う。そうしたら、今のバイトよりは稼げると思うの。」
「紗月、あなた、今の自分の姿を理解できていないわね。今のあなたは、バイトよりも稼げるとか、とても、そんなレベルじゃないのよ。私、自分が綺麗だと思うから、モデルになったけど、今のあなたは、それどころじゃないわよ。たぶん、いつかオービスとも張り合えるくらいになれるトップモデルのレベルだと思うわ。それにしても、紗月の身体は、いったいどうして、こんなことが起きたのかしら。」
そして、とりあえず、ファッション誌の読者モデルに応募してみた。このまま、もしも、モデルになれれば、とりあえず、どうみても、リサイクルショップよりもお金がよさそうだと思ったからである。




