2-12 復活のエミリア
そこで、エミリアは、1つの決断をしたのです。すると、数日後、株式会社ウニコロの本社を訪れていました。
「おはようございます。私は、エミリアと申します。社長さんにお会いしたいのですが、申し訳ありませんが、アポはとっておりませんが、モデルのエミリアが今、お会いしたいと受付に来ていると、社長さんに伝えて頂けますか。もちろん、できなくてもけっこうです。とりあえず、その旨、お伝え下さい。」
エミリアは、これと全く同じことをしていた自分を思い出していた。あの時の、高飛車な自分が今までは恥ずかしくなった。今のような気持ちであったなら、モデルとしてもっと好かれたかもしれない。
すると、
「エミリアさま、社長がお会いするそうです。こちらの者がご案内致しますので、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
久しぶりの社長室に案内されて、何だか緊張しているエミリア、
「社長、エミリアさまをお連れしました。」
こちらに視線を送ってきた社長は、この上ないほどの驚きの表情で、エミリアを迎えた。
「おー!なんてことだ。急に引退してしまって、本当に驚いたよ。だけど、今、ここに来てくれて、その何倍も驚いているよ。ありがとう。それにしても、君は、変わらずきれいだなあ。」
「実は、私、今日は、2つお伝えしたいことがありまして、お伺いしました。1つ目は、以前お世話になりましたオービスとの対決のことですが、あんなにお世話になって、社長さんには大してご恩返しもできずに、失礼な態度ばかりでした。それに、モデルラボにも社長さんに行ってほしいだなんて、わがままがすぎました。本当に申し訳ありません。」
「なんだあ、そんなことかい。私は、何も気にしてないから、大丈夫だよ。むしろ、大ファンの君から、頼まれてうれしかったくらいだよ。そんなこと気にしないでくれよ。」
「ありがとうございます。それから、もう1つは、今から1カ月限定で、ウニコロさんの専属モデルとしてお願いしたいのですが、いかがですか。以前、CMのお話しが立ち切れになっていたので、今回は、たったひと月ですが、限定復活ということで、ぜひ今回、お役に立てればと思っているのですが、いかがでしょうか。」
「本当ですか。こんなにうれしいことはないよ。これから、ひと月は、君がうちのためだけに、メディアに乗るのだな。なんか奇跡のようだよー。ありがとう。」
こんなに喜んでくれるなんて、今までは、本当に失礼なことばかりだったのに、ごめんなさい、社長さん、そして、本当に、本当に、ありがとう。うっかりあふれてしまった涙を拭くと、
「それで、ウニコロさんで今度行われるミラクルビューティーコンテストですが、私も出させて頂きますが、それまでの間は、匿名で参加させて頂いているので、どうかそのまま当日まで迎えられるようにお願いします。」
と、いうわけで、ここまで、エミリアは、コスメに書いた手紙で近況を伝えた。そして、その手紙の最後に、エミリアから、コスメにお願いがあったのです。
それは、その1か月間限定ですが、モデルラボに登録させてほしいというのです。それが、自分にとっても、管理を任せられることと、モデルラボにも、話題になってほしいとの申し出であったのです。
手紙を読んで、驚き、そして、喜ぶコスメ。
「当たり前よ。いたければ、1か月でも2か月でも、好きなだけいてもらってもかまわないわ。もお、ずーっといなさいよお。」
ウニコロとの契約の1か月間、いきなりのエミリア復活で、メディアは、騒然。モデルランキング50にも、トップに上り詰めて、CMもその他の広告もエミリアの圧倒的な露出度で、ウニコロも売り上げは、これまでの2倍以上に記録した。
そんな、ひと月があっという間に過ぎ去って、いよいよ、ミラクルビューティーコンテストまで、あと2週間とせまっていた。エミリアは、瞳をカフェに誘った。ここは、モデルたちの中では有名な、カフェ スリム。ここは、そのネーミングだけではなく、食事メニューもデザートメニューもとてもバライティに富んでいて、それなのに、カロリーが5分の1から、10分の1というダイエットカフェなのである。その理由から、いつも、半数は、モデルの客で、一般客で推しのモデルに会いたければ、ここに来る、とまで言われた、そんなファッション業界では、有名なお店なのです。
今日は、灯はエミリアになって、モデルのことが好きな瞳に、サプライズでここに連れてきたのです。
「うわあ、すごい。すごいきれいでカッコいいお店ね。もう、ほんと、感激よ。それに、お客さんの半分が、モデルで、私、なんだか場違いな感じだわ。」
瞳の驚きように、エミリアはうれしかった。
「そんなことないわよ。大丈夫。」
「そういえば、エミリア。この1か月間の活躍は、すばらしかったわ。あなたに現役の間に会えなくて残念だったけど、今、期間限定だけど、復活して、会えるどころか、こうしてお茶までできて、ファンとしては、もう最高よ。本当に感激よ、ありがとう。」
それから、瞳には、もう一つサプライズがあるのです。
「実はね、瞳。私ね、2週間後の、ミラクルビューティーコンテストに出場するのよ。」
「えっ、うそ?あれに、でるの?信じられない。ええっ、ほんとうに?」
あまりの驚きに感極まっている瞳。あまりの衝撃に泣き出してしまう瞳。
「驚くとは思ったけど、これまで隠してきた甲斐があったわ。」
そして、コーヒーを飲むエミリア。すると、急に、
「えっ、こ、これ、な、何か入って、、、。」
そう言うと、倒れるエミリア。
「キャー!!!」
倒れるエミリアをみて、卒倒する瞳。周りのモデルたちも、騒然となり、瞳は、震えていて、その場から、動けない。モデルの1人が救急車を呼んだようだ。まもなく、到着した救急車。救急隊員たちは、エミリアの意識を確かめるが、朦朧としてはいるが、かろうじて意識はあるようだ。しかし、どうも身体は動きにくそうで、たんかで救急車に乗せられて、すぐに発進する。一方で、かなり取り乱している瞳。警察もやってきて、何人も、カフェに入ってくる。その場で、いる客は、全員足止めとなった。エミリアが座っていた椅子の向かいにいた瞳に、警察の1人が、何があったのか事情を聞くが、とりみだして泣きながら、
「エミリア、、エミリア、、、伝えないと、伝えないと、、、。」
警察との会話になっていない。聞くことには、全く答えられず、
「伝えないと、伝えないと、、、。」
同じことを繰り返すばかりで、警察に、とても答えられる状態ではない。仕方なく、周囲のモデルたちに事情をきくと、その中の1人が証言をした。
「そこの泣いてる人と話しをしていたら、急にエミリアが倒れたんです。それまで、普通に2人で話していたのに。」
「突然倒れたんですね。何か、気になることはありましたか。」
「いいえ、とくには、ないですね。ただコーヒーを飲みながら話していただけです。」
「今、あなたは、倒れた人の名前を知っていましたね。どうして知っているんですか。」
「このカフェは、モデルたちに有名なカフェで、私もモデルをやっていますが、プロのモデルもたくさんくるんです。それで、今日は、モデルのエミリアが、そこで泣いてる人と2人でお茶してました。」
「それで、話しているうちに、突然倒れたのですね。」
「そう、突然でした。」
すると、コーヒーカップに目が行った。
「このコーヒーだな。調べてみよう。」
周囲のモデルたちにも、事情をきいて、指紋をとったり、現場の人たちに、住所や名前などを聞き、現場を調べて、2時間後に帰っていった。とりあえず、エミリアと一緒にいた瞳は、警察に連れて行かれて、事情聴取されるが、泣いてばかりいて、普通の会話ができない。
時々、何か話す時は、
「伝えないと、伝えないと、、、」
と、繰り返すばかりであった。何をきいても、精神的に普通ではなく、会話にならないので、とりあえず、彼女からの事情聴取は、後にして、瞳もエミリアの病院に行くことになった。




