10-3 コスメ・小染真希の秘密③
コスメスが、あの研究室で、あの悪魔の実を食べた後、彼女の周りは、全く変わっていった。その理由は、女性の美を、命よりも何よりも貴重と考える、この国の文化があったからであった。
コトールルミナス国では、一般的な女性国民であっても、他の国々で最高レベルに達して存在する美しいモデルたちの美貌が平均的なレベルである。おまけに、また、他の国々では考えられない、女性たち全員が見た目が25才までという年齢層の奇跡が、その女性国民たちの美のレベルを、さらに奇跡的に押し上げている。それは、女性国民全員が、超美人であるという信じられない状態であるにも関わらず、20才を過ぎたのち、25才までの美貌を死ぬまで完璧に保つからなのである。
つまり、女性国民は、生まれてから25才までの見た目の女性のみが存在するのである。そして、実は、その「死ぬ」という、他国や、人、あるいは、この世に生きる動物、生き物として、必ず訪れるその時は、その寿命を始め、事故や災害、病気など、周りからの影響によって命を失うことによって訪れる状態なのであるが、唯一、この、コトールルミナス国の人間だけは、死ぬという言葉が、この国における文化として、必ずしもあてはまらないとしている。
それは、この国の女性たちは、20才から25才までの容貌のまま、顔、身体、肉体の状態は朽ちることなく、変わらずに年月とともに年を越して行く。そして、その寿命は、実に短く、40才頃であり、長生きをしても43才を迎えることはほぼ不可能とさえ言われている。それが、他国の人間と違って、約40年間見た目が衰えない秘密であり、人は、普通、怪我をすると生まれ持つ自己治癒力により、ほんの少しの怪我なら、何もせずに治ってしまうが、コトールルミナス国の女性たちは、この力が格段に優れており、最初から病気などもすることなく、さらに肌や肉体の衰えなどを回避するどころか、最初からそれ以上負の状態へと進めさせないことをも、20才以降には、驚異的に働いていく。そして、もともとが、完璧な容姿で生まれたのち、それが死ぬまで保たれるということである。
そして、その国民にとって、「死ぬ」ということは、全く異なる「消える」という言葉に表現をされて、まさにその文字通り「消える」というそのものズバリの状態で、肉体は消滅していくのであった。
というわけで、母親のフェリメスが、日本に行った時から、コスメスに対する対応や反応が変化し始めて、そのつらい日々が始まってしまったのです。それは、母親のフェリメスが、養子縁組をしてくれる人を探して、日本に旅立つ日が来るまで、コスメスのつらい日々は続くのだろうか。
コスメスは、身体は回復したとはいえ、コトールルミナス国の女性国民としての容姿は、かなりの低レベルとなり、周りからは、直接の非難はなかったにしても、あの子と遊ぶと逆美人が移るとか、あの子と一緒にいるとろくなことはない、などと、直接的ではないとはいえ、いじめのような噂が広まっていて、父親のジェスは、とても心を傷めた。そして、1日も早く、コスメスの、そのかわいそうな環境が変われるようにするためにも、ジェスは、寝る間も惜しんで、そのための研究に没頭した。
一方で、日本に移った、母親のフェリメスは、日本に着いたのち、たまたま住み始めたアパートの近くに、外国人に対応するための多くの公共機関があることを知り、そこでは多くの外国語に対応できる人材を探していた。
そこで、フェリメスは、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語を、それぞれ1週間ずつかけてマスターをして、その5ヶ国語を通訳ができるレベルまでになり、その中の一部の公共機関に就職をすることができた。コトールルミナス人は、その記憶力が非常に優れており、古代より、書物がなく、遥か昔からの文化は、すべて口伝にて伝わってきたということから、代々、記憶力が特化してしまったのだという。そのことから、新しい言語であっても、1週間で完璧に話せるほどになれるのだという。それに、学者レベルの専門的なことであっても、1人でいくつもの博士号などを持っているのも、コトールルミナス人としては、割と当たり前のことなのである。
すると、半年もたたないうちに、その国でもかなり超がつくほどの美貌であったフェリメスは、モデルへとスカウトをされることになる。その美貌は、一気にモデルとしての人気を高めていき、ついには、その業界において、頂点を極めることとなった。それは、まさに、20才を超えても衰えを知らない、コトールルミナス人の女性であることが、1番の後押しでもあった。モデルとして多忙な毎日で、養子縁組のご夫婦探しもなかなか進まない状況が続いて、約1年が過ぎようとしていた。




