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9-15 マネージャー・一条麗奈15

そして、


ここで、香織は、目覚めた。


 えっ、ここは、どこ?目の前には、白い服を着た女性が覗き込んでいる。

「先生!先生!7号室の患者さん、やっと、目が覚めました。早く、来て下さい!」

すぐに、駆け寄ってきた医者らしき男性、

「よく助かったね。私がわかりますか?」

「ここは、どこですかか?私、何も覚えていないんです。私、自分の名前もわからない。」

「あれだけの事故なのに、これだけの怪我で済んだのは、本当に奇跡ですよ。何箇所も骨折はしているけれど。


 それと、一緒にバスに乗っていた、あなたの双子の妹かお姉さんは、残念ですが、助からなかったです。あなたは、1週間は、意識が戻らなかった。だけど、今意識が戻って、本当によかったです。」


「ええ?私に、双子の姉妹がいたなんて。」

「そうなんですよ。覚えていないんですね。双子って、一卵性だとよく似てるけど、ここまで似ている双子って、初めてですよ。まるで、同じ人が2人いるみたいでした。」

「私、双子だったなんて、信じられないわ。そんなにも、記憶がなくなっていたなんて。」


 医師の横にいた看護師も、泣きながら、

「でも、本当に、よかったわ。」


 そして、その後、その怪我も、普通の人の何倍もの速度で回復していき、担当医師や看護師を驚かせた。

その部屋で彼女を担当している看護師は、入院した当初から、彼女のことを気にかけていたので、2人はとても親しくなった。

「ねえ、あなた、何か少しでも覚えていることはないの。」

「そうね。とにかく、私、モデルをやりたいの。それだけは、はっきりと覚えているわ。もし名前を考えるとしたら、そうね、カタリーナっていうのが、いいわ。」

「そう、それは、あなたの顔をみれば、よくわかるわ。とても綺麗だし、それに、華があるもの。きっと向いていると思うわ。


 まあ、でも、とりあえずは、身体を治すことね。」

「ありがとう。だけど、、、。」

「なあに?どうしたの?」

「だって、私、退院したら、行くところもないし、自分の名前すらもわからないのよ。今の私には、できることなんて、何もないわ。」


すると、

「大丈夫よ。記憶は、少しずつ取り戻せばいいじゃない。そうそう、よかったら、退院したら、うちに来ない?」

「ええ、そんなことできないわ。」 

「いいのよ。私、一人暮らしだから、遠慮しないで。」


 というわけで、骨折も治り、半年のリハビリを経て、やっと退院の日を迎えることができた。そして、事故から退院までの間、警察は、色々と手掛かりを探したり、マスコミなどを通じて、身元を探したのであるが、捜索願いもでておらず、また、事故現場では、乗っていたバスも大破してしまっていて、所持品はなく、全く手掛かりのかけらも見つからないことから、警察では、このままでは、生活に支障があることを考慮して、彼女に、仮の名前をつけることとなった。このような場合には、その人の特徴であるとか、何か関わったものなどを通じて、関連したことから、名前をつけることが多いのだが、本人がモデルをやりたい、そして、その名前をカタリーナ、と名乗りたいと常々言っていたことから、、、。


「君が、記憶を失っているのに、そんなに、そのモデル名にこだわりがあったなら、それなら、そのカタリーナから、なぞって、、、。」

片野山玲子かたのやまれいこと名付けられた。そして、その、看護師、古川詩織のマンションに同居するようになった。


 「そうだわ、玲子、モデルになりたいなら、スカウトされやすい場所に行った方がいいわよ。今日、私と、渋宿しぶじゅくに行きましょう。スカウトといったら、やっぱり、渋宿しぶじゅくよ。あそこだったら、いやでもスカウトが来るわよ。」


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