9-4 マネージャー・一条麗奈④
今から、1年ほど前のこと。その一族は、ある島の山の中に進んでいくと、小さな町があり、そこで八百年以上前から暮らしていた。山の中の奥深いところにある町というと、かなり原始的な未開のようなイメージがあるだろう。しかし、そこは、その場所とは意外にも不釣り合いなほどに近代的な生活をしている社会だった。そして、何百年もの間、都会の文明に追いついていくようなレベルで広がっていった。
そこには、世界的にも、屈指の美女が住んでいるという異質な一族であり、もちろん男性も住んでいるが、女性が主導を握っており、女性は、子供を出産したあとは、夫が子育てを行ない、女性が仕事をして、家計を支えるというのが、常となっている社会である。
そして、その女性たちの仕事の中でも、特に際立っていたのが、忍びであり、くノ一である。一般的に、忍びといえば、伊賀と甲賀を指すが、それ以外にも、多くの忍者が世の中には存在し、この一族の中には、女性でありながら、忍びを生業としている女性たちがいた。
しかしながら、この女性たちは、実際に多くいたが、実は、一般的には、くノや一とひとくくりにされていたが、全く違う者たちであった。そして、その者たちの中には、その中でも、特別に優れた女性たちが、11人いて、他の者たちともかなり異なっていた。それは、そのテクニックや、使用するものなどは、科学的であったり、化学的な薬などを駆使して、時にはスパイのような活動を行なったり、戦いに加わるような活動もすることがあったことから、くノ一と同様に思われていたが、実際には、くノ一よりもハイレベルなことを行なっていて、その存在をよく知る者たちには、くノ一ではなく、琥珀の翼と名乗る、世間では稀に見る美人軍団であった。
そして、今現在でも、そのように訓練されて、世界的にも派遣され、様々な問題解決に携わる女性たちは、少なからず存在している。そんな、彼女たちのテクニックの中でも、特に優れているのは、昔から影武者と言われる存在に関することであるが、多くの者たちは、顔の似ている者、そのたたずまいや雰囲気の似ている者を、その代理として訓練して、その影武者としての立場に立たせるものが大半ではあったが、琥珀の翼に、その依頼をすると、実際に、その顔を別の人間にコピーをして移してしまうということを実際に行なうことができる。それを、移面術といい、当時、そのテクニックのことを、顔移し、ともいい、これを行なう女性たちのことを、顔盗人とも言っていたが、これは、昔ほどではないが、現在も存在していた。
それに、現在では、自身の顔に他人の顔を移すことはできるが、自分以外の2人の間で顔を移すことは、すでに行われていない。したがって、自身の変装のような使い方なのだが、これも、現在ではほとんど使われていない。その理由はというと、これを体得するには、あまりにも困難であり、必要な機会も減りつつあるためである。そして、琥珀の翼に、参入するには、その能力のレベルが、 下から、成、高、最、永、無、とあり、成のレベルと認められた段階で、初めて参入が認められる。
天元森麗奈は、6才から参入を目指していて、わずか3年で、成を体得し、その後、6年という驚異的な早さで、永を体得し、最高技の一つである移面術を目指して、4年、現在19才となった。これを体得すると、最高位の無を与えられる。メンバーの11人の中には、主理という代表の立場が1人いて、たった1人、最高位の、無のメンバーであり、その他には、上から順に、永が2人、最が2人、
高が4人、成が2人である。そして、この永の1人が、麗奈であり、このメンバーでは、彼女ともう1人の永が最年少であった。




