表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/174

3ー7【果てなき心痛7】



◇果てなき心痛7◇アイシア視点


 ミーティアの家、名目上クロスヴァーデン家と呼ぶけれど、その屋敷に入ってから、あたしは凄くリラックスしていた。


「今日はどうした?門番が(せき)を切るように慌てて走ってきて、逆にこちらが慌てたぞ?」


「あはは、すみません。ミーティアに会いたくて」


 ジルさんは「あー」と苦笑いを見せる。

 この様子だと、やっぱり。


「あの話、ミーティアはしてますか?」


「いや、一度も聞けていないぞ。わたしもジェイルも、他の皆もな……お嬢さ――いや、会長は自分からも触れないし、どう扱ったらいいかがなぁ……わたしが問いたい」


「で、ですよねぇ」


 片腕でもあるジルさんでも聞けていないんだ……こ、これは聞きにくい。

 ミーティアがいるという部屋へ向かっているのだけど、その最中にジルさんには色々聞いた。


 やはりミーティアは、あの件について触れていない。

 それに合わせるように、ジルさんもジェイルさんも、それ以外の部下やメイドさんたちも聞けていないようだった。

 そんな状況で、あたしが聞ける!?いや、無理だよぉ……


「さ、着いたぞアイシア。ここが奥様……マリータ・クロスヴァーデンの部屋だ。会長……オルディアナ様、いやアイシア・ロクッサ殿をお連れしました」


 ミーティアのお母さんのお部屋前で、ジルさんはウインクをしてそう言う。

 ありがたい。女神としてではなく、友人として訪れたことを強調してくれたんだ。


「どうぞ、開いているわ」


 部屋からミーティアの声が。

 な、なんだか緊張する。これじゃあ門番さんの事を言えないわ。

 ガチャリ――とジルさんが扉を開ける。どうぞと手を差し出され、あたしは入室。


「……突然の訪問、ごめんなさい。オルディアナ――いえ、アイシアと申します」


 背筋を伸ばし、きちんと礼をする。

 こ、これは礼儀だから。難しいのよね……女神のルール。


「アイシア、ようこそ我が家へ。驚いたわ……」


「ようこそおいで下さいました……ミーティアの母、マリータ・クロスヴァーデンと申します。この様な姿を晒し、申し訳ございません……」


 ミーティアは笑顔で、お母さんは緊張気味に。

 あたしは慌てて。


「い、いえ!お気になさらず、あたしも今日は、友人として来ていますので」


 お身体が悪いのに、無理はさせられない。


「本当は、私がアイシアを迎えればそれでよかったんだけどね……お母様がどうしてもって言うから」


 あー……あたしに挨拶を、って事だったんだね。

 無理をさせてしまったかも。だったら、話はやっぱり外で。


「そうでしたか、ご無理をさせてしまいましたね……それじゃあミーティア。お母様がゆっくり休めるように」


「ええ。挨拶を聞いてくれてありがとう、アイシア……客室を用意してあるから、そちらに」


 ミーティアはお母さんの背を擦りながら、優しく笑顔を向ける。


「オルディアナ様……(わたくし)のような者へのご配慮、痛み入ります」


 ゆっくりと頭を下げて、マリータさんは横になった。

 ジルさんが残るらしいから、大丈夫よね……あたしは、ミーティアに話さないと。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ