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3ー6【果てなき心痛6】



◇果てなき心痛6◇アイシア視点


 護衛騎士(自称)のノウェルさんを騙し……いや、本当に居たからノーカウントとして、あたしは【イズアーレ】まで到達。

 【アセンシオンタワー】のある中央部【アルエレーネ】は一番目立つけれど、規模は四箇所で一番狭い。

 他の三箇所は、どこかが大きくなれば、そこに合わせて他の二箇所も規模を拡大すると決められているから、基本的には同じ領土となっているわ。


 その一箇所であり、帝国領である【イズアーレ】。

 女神アイズレーンから名を取った、帝国の人たちが多く生活する場所。

 そこに、ミーティアの母親であるマリータ・クロスヴァーデンさんが住む屋敷があった。


「ここだよね?」


 クラウさんの話によれば、もうミーティアは来ているはずだけど。

 門番さんが二人……屋敷の前に居た。


「あのー?」


「ん、はい……って!!え!?」


「え?は?オ、オルディアナ様ぁぁあ!?」


 二人の男性門番さんは声を上げた。

 そ、そんなに驚かないでくださいよ……あたしは、これでもただの村娘だったんですから。


「えと、ミーティアさんはいらっしゃいますか?」


「ミ、ミーティア会長ですか?はい、ご在宅です!」


「か、会長にご要件でしょうか……お、お呼びしましょうか?」


 緊張が解けそうもない門番さんは、終始表情を強張らせていた。


「あ……それじゃあ、お邪魔してもいいですか?」


「は!少々お待ちを!!」


 一人の門番さんが屋敷へ。

 残された人は、更に硬くなっていた。

 あたし……こんな風にされる程、まだまともに女神やってない気もするんだけどなぁ。


 三分後……戻ってきた門番さん。


「――オルディアナ様。どうぞこちらへ、ミーティアお嬢様に許可を頂きました!」


 満面の笑みだった。


「ど、どうも」


 ぺこりと頭を下げようとしたが、そこで思い出す。

 女神は簡単に頭を下げるな……と先輩からの言葉を。

 だから、会釈程度でいい。


 一瞬だったが、あたしは首を動かす程度にして礼をし、案内される。

 屋敷はまだ新しく、新築の香りが鼻腔をくすぐる。


 兵士の方が二十名、メイドさんが十三名。

 【コメット商会】の関係者も数名いるかな。

 それが、今のミーティアの力なんだね……あ。


「おお、これはアイシ……いやオルディアナ様ではないか」


 銀髪のエルフ。先程の露出狂のようなエルフの女王様の娘さん……つまりエルフ族の王女様。名はジルリーネ・ランドグリーズさん、もうあたしとも立派な知り合いだ。


「ジルさん、お久しぶりです。あと、普通にアイシアでいいですよ、くすぐったいです」


 今度は普通に頭を下げた。

 これはもう反射だった。慣れているから、余計にね。


「いや、流石に女神様を呼び捨てには……いや、でも、そうだな……こういった場でだけは、甘えさせてもらおうか――アイシア」


 ジルさんは笑って言ってくれる。

 嬉しい。こういう気遣いをしてくれて。


「はいっ!」


 あたしは笑顔を見せる。

 なんだか、久し振りに心から笑った気がした。


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