3ー2【果てなき心痛2】
◇果てなき心痛2◇クラウ視点
地下から一階に上がると、受付にミーティアがいた。
うわぁ……会いにくい時に。
「あらクラウ、これからルーファウスとお食事?」
青い髪を束ね、サイドテールで仕事をするミーティア。
随分と明るい。仕草も態度も、声音も明るい。
まるであの号外が無かったかのような明るさだわ……
「そ、そうね。ミーティアは……仕事みたいね」
「ご苦労さまです、ミーティア」
「ええ、ご苦労さま。仲が良いわね二人共」
「「……あ、あはは」」
刺さるのよ言葉が。
普通の言葉なのに、やけに刺さるわミーティア!
「さて、それじゃあこの物資を運んで下さい……それと、三番の商品は明日運搬開始なので、共有しておいて」
スルスルと書類にサインをして、ミーティアは営業スマイルを見せる。
部下の女性は、「は、はい」と少しだけ苦笑している。怖いんでしょうね、多分。
「ふぅ、これで午前はお終いね。私も食事にしようかしら……」
そんな言葉を聞いたからなのか、ルーファウスが私に小声で。
「ねぇクラウ、ここはミーティアも誘ったほうがいいような気がするんだけど……」
と言う。確かに、今のミーティアは少しだけ不安だけど。二人で行こうって言ったばかりなのに……もう!しょうがないわねぇ!
「……ミ、ミーティア。よかったらこれから一緒しない?」
「え?……ふふふっ、そんな顔で言われてもね」
どんな顔!?私、そんな笑っちゃうような顔してた!?
「ありがとうクラウ。でも平気だから……私、これからお母様の所に行かなきゃだし、一緒に食べるわ」
「そ、そう。なら仕方ないわね」
「ええ、それじゃあね。ルーファウス、クラウのこと、ちゃんとエスコートしなきゃ駄目よ?」
「あ、はい!」
そう笑って、ミーティアは去っていった。
こ、怖ぁぁぁぁぁ……笑顔だけど怖い。いや、逆に笑顔が怖いわよ!
「……よかったのかな、これで」
「いいんじゃない?前みたいに、精神的不安で氷を降らせるような事はないし、雪の繭に閉じ籠もる事も少なくなってる……いい、と思うわよ?」
精神の問題なのか、それとも何か、絶対的な自信があるのか。
何にせよ、私も誰も……きっとあの件をミーティアと話せていない。
誰か勇気のある人、いないかしら。
◇
屋台を回り、外のベンチに座って……ルーファウスは豚肉のシチューを、私は野菜の炒めものを食べていた訳だけど。
今……ルーファウスが詰められている。
「どうして居なくなっちゃたのですか!会議中に!!」
「そうです!まだ議題があったんですよ!?」
「もう少し自覚を持って下さい!ルー様は公国の代表……このままだと帝国に、【アルテア】での立場を逆転されちゃいます!」
【ルーガーディアン】の面々、少々焦りがあるみたいね。
でも実際、ミオとの関係が進展したのは帝国だ……それが例え、道化だったとしても。