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1. シンシア会

-スクールカースト-

程度の激しさはあれど、どこのクラスにも存在する階級制度。

時に人間関係を築く上での制限となり、時にいじめを引き起こす。

スクールカースト上位の人間には、逆らえない。



長年、スクールカーストは問題視されてきた。

元々、勉強が得意である者やスポーツや芸術で優れた成績を残す者、容姿端麗な者やおしゃれな者は、褒められる経験が多く自己肯定感が高い傾向にある。その自信が彼らを「陽キャ」や「一軍」たる人物へと近づけていき、彼らの交友関係や振る舞いにも影響を及ぼす。

彼らの学生生活は非常に華やかである。もちろん当事者間での揉め事がないわけではないが、学生生活を演劇やドラマに例えるならば、彼らは主役級の役柄であろう。

授業で素晴らしい解答を示し称賛を浴びる、部活動で入賞する、体育祭のリレーで風のように走る、行事に懸命になり、心から笑い、悔しがり、最高の話のネタをたくさん持っていて(時には恋の話まで含まれる)、常に友人に囲まれている_____


一方、主役たちがみなクラスに花を添えるかというと、そうでない場合もある。主役だと思われていた人物がただの目立ちたがり屋だったという勘違いから生まれるものだが、これは自他への悪影響を及ぼす可能性が高いのである。

他者を見下し、わざと上下関係を作り出す人間。

与えられた学びの機会を存分に活用できない人間、その機会を奪う人間。

仲間外れにされることを恐れ、自分の意思を持たない人間。

偽物の主役たちは、こうしてクラスを壊し、自らも壊していく。


世間において「陽キャ」や「一軍」は、後に挙げたような偽物の主役たちを指すネガティブな意味で捉えられることが多い。

そのような背景から、本来真のリーダーたる素質が十分にあるにも関わらず、「陽キャだ」などと言われるのを恐れ、例え良いことであっても見せようとしない、他と足並みを揃える人もいる。


そこで政府は、各自治体の児童生徒に対しリーダー教育の充実を図った。

まず「リーダー」に対する肯定的な価値観を植え付け、リーダーそれぞれの能力に合った仕事を与えることで、不本意な人間が上に立つことのないように配慮したのである。


頼りになる優等生で、クラスの中心人物であり、弱者には手を差し伸べる_いわゆる、担任教諭が「欲しい」と思う生徒を、教育によって量産する。

教育された子どもたちは、学校生活を通して学んだことを活用し、リーダーとしての経験を積み重ねていく。

つまり、担任教諭にとっては「便利」で、向上心のある生徒にとっては「成長の機会」で、国にとっては「人材の質向上」といえる取り組みである。

ますます格差を生み出すのではないかという声もあったが、地方でも同等のリーダー教育が受けられる点や教育にかかる費用は国と自治体で負担するという点(増税は免れないが)は収入の少なさに悩む親にとっては魅力的であった。


国内のとある田舎、海・山・川の揃う、自然豊かなナズナ地区においても、肯定的な意見が多かった。今回は、ナズナ地区の女子小学生を指導する、「シンシア会ナズナ地区」の様子を描いていく。

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