ある道化師は過去を振り返る
フクロウビトは空を飛ぶ。
まだ彼が生前で、ただのフクロウビトの宮廷魔術士として生きていた時の話。
難攻不落のダンジョンに己の才能や実力を試したくて挑み、そこで伝説の魔術王と出会って師事をした。
弟子となり、魔術を極めた後に師と別れ母国の神獣王国に帰った彼は実力を評価され宮廷魔術士に。
それからは、忙しくても楽しい日々を送り、ある日……彼の元に7歳の小さな姫が訪れた。
王女レイナは、可憐で好奇心旺盛すぎて家庭教師も良く手を焼いている。
「この時間はまだマナー講義の時間では?」
「私はリユースの魔術が見たい!!」
「ふふ、ならちゃんと姫がマナー講座をやってから見せますよ?」
「本当か!?なら約束だ!!」
「はい、約束です」
リユースは、小さなレイナの後ろ姿を見送る。
翌日は、運命の悲劇が起き、正気を失ったリユースはレイナの約束を守れなかった。
今も後悔している。
フクロウビトは過去を悲しむ。