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冬に向けて

しばらくたって、季節は秋になった。以前は夏といえど森の中で、しかも地球温暖化などという科学技術の進歩の代償とは無縁の世界なので割と涼しい、しいて言えば湿度が低く夏の太陽のみが暑いヨーロッパのような気候というのが分かったのだが、夏にはシグレが少し離れた街に行って生存報告をしに行っていた。


この魔の森、本来はもっと手前で観測所があるのだが、それは実質二次防衛ラインのようで、一次防衛ラインとも呼べるこの家は夏...地球温暖化の進んだ日本に換算すると9月半ば程度の暑さの感覚のころには報告に言っていた。4000年以上生きるグレン(妹を誑かすゴミ)曰く「実際は7月半ばぐらい」らしいが、俺はこの世界初めての一年なのでわかる筈も無く。ついでに言えば、「ちょっとどんな様子か見てきたい」と言ってグレンも出払って、帰ってくるまでの数日はアリシャが俺の世話をしていた。


「ヤッフー!」

「よぅし、イア、そのまま飛んでしまえ!」

「しゃー!フライ!うぉぉぉ!」

「おー!ようやった、イア!今日はブォンディの切り落としだ!」

「ッシャアァ!」


その時、俺達は森で遊んでいた。龍王らしいアリシャの監視のもと、俺は様々な魔術を覚えた。飛行可能になるフライ、風の壁を創るウィンド・ウォール、壁を歩く特殊技能ウォールランなどなど...その性向度によって食事が変わった。まあ最低でもベアの肉は確実で、たまにヴォンディと呼ばれる猪鹿鳥という花札の手にありそうな謎生命体が現れるので、ソイツの肉が振る舞われることもあった。


結果魔術の制御は非常に上達し、しかも魔力識閾が広がったことにより魔力総量は莫大に増加した。

どうやら前のヤベ魔術で俺の魔力限界は底なしに等しいほど増加したらしく、今も増える気配も減る気配すらも分からないほど多い。

そして二人が帰ってきて、俺が浮遊しながら自由に動くことに驚いた二人がアリシャを問い詰めて...まあ、「二人はずいぶんと仲良くなったようで」と厭味ったらしく言うと二人揃って赤面したので「ずいぶんお楽しみでしたこと」と厭味ったらしく言ってやったらグレンがミスリル製の指輪を見せつけてきて、思わず中指を立てて其のところから光線を放ちかけた。


ちなみに、アリシャ本人は母親の記憶などは無いらしく、シグレを母とすることも別に構わないそう。ただ、「あまり声を聴かせるのはイアの生育上よろしくないから、控えるとか私たちが寝た後にするとか、そう言った対策ヨロ」と言って俺を連れて寝室に向かった。抱き枕にされた気分ェ...。

その夜、俺達が眠っていない間に聞こえてきたので俺達の寝室は別の場所になりましたとさ。



冒頭に戻るが、家族になったと言えどその関係は一部狂っている。

俺とシグレは実質的な親子であり、アリシャも俺の事を恐らくは弟とみているんだろうが、グレンに対してはどうしてもゆずを誑かそうとするゴミムシにしか見えない。グレンの方も、俺を悪友か何かだと思っているようで。ただ、それとシグレがグレンに対しては初恋の相手と一緒になった純情乙女といった反応をグレンに見せているぐらいで、狂ったそれを除けば普通の家族といえるだろう。


最近は木を刈る事で冬越しのための薪集めを始めた。俺は殆ど戦力外といえど、この中では最大の魔力量と魔力保持総量を誇っている。つまるところ、俺は浮遊と遠視によって索敵すると同時に身体強化の20重がけによって牽引している大量の丸太の運搬を担っていると言うわけだ。俺の身体には三人に対応している音声を鳴らすベルのような物が胴体の特製服に付けられており、そのベルで回収を依頼されると言う感じだ。対地対空防御としては常に結界を保持しているので、風によって気絶することもない素晴らしさ。


4時間ほどして、相当数の丸太を回収した俺除く三人は悠々と帰っているが、俺は三人に先駆けて帰投させてもらっている。まあ、三人にとって丸太の一本二本は誤差の範囲の重量なのだろう。

家の裏にある薪割り場に大量の丸太を置くと、身体にかかる非常に重い荷重は無くなった。丸太は5Ⅿ級ばかりが80本ほど、重量は下手したら数トンに及ぶだろうか。だが、俺からこの役割を買って出たのでDVとかいう事は無い。


「おお、お帰り。じゃあ、こっからは俺達が割っていくからそこらへんで魔物でも狩ってきてくれ」

適当な支持を俺に出すグレンだが、実際あれだけの重量を誇る丸太を運んできた俺を更に酷使させると言うのは中々鬼の所業だ。そんな俺の視線を感じたか「...まあ、できればでいいが」と付け足したグレンだが、グレンに見せているのは一種の幻影魔術で実際の俺は既に魔物を狩り始めていたりする。


今日の収穫は大量のボアと一部ベアぐらいだった。この時期に数を減らすことによって本能的な危機感から生殖能力を物理的に向上させて個体数を変動させないようにさせる...とかいうのはシグレの言だが、実際のところどれだけの魔獣がいるのか分からないためどれだけ狩ってもいいだろう...とは言わないが、相当狩っても減らないのではないだろうかと思っている。

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