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旧い歴史の民

<>内は日本語でしゃべってます。

「...へぇ。じゃあ、これはこのがきんちょがやった事ってことで良いの?」

「多分?俺が時魔術を使って時空間を考慮せず、過去へ遡って現在へ過去のものを転移させる魔術を使ったから...」

俺がそう言うと、女性は瞬時に俺の肩をがっちりつかんで、鼻息荒く「本当に!?本当にそんな事できたの!?」と早口にまくしたてた。俺が驚いている最中、もう一度詰め寄ろうとしたが頭を強くシグレにぶたれていた。


「...私がいたのは、ヴァルカ暦8年だったと思う。少なくとも、最後にヴァルカリアで確認したのはその年代だった」

「ヴァルカ暦?ヴァルカリア?」

俺が疑問を呈すると、シグレが「ヴァルカ暦って言うのは、今から4000と7年前に元年を迎えた、黒龍王ヴェフロールの討伐を祝して制定された年号の事だよ。それと、ヴァルカリアって言うのは当時の都市、もしくはそれを中心とした帝政国家の名称だね」と補足をくれた。


「というか、二人の関係はどんななんだ?俺はそれが知りたいんだが」

そう言うと、二人は口をそろえて「「キーパーソンがいないので答えたくない」」とごねた。なので、俺は唸ったのだが...

「待たせたな(キリッ 」

と、窓を蹴り割って男が乱入したことにより二人は慌て...そして、瞬時に男を捕縛した。


「...これが、さっき言っていたキーの人って事か?」

「そう。私の父親で、暴走状態にあった黒龍王ヴェフロールを倒し、そこにいる聖霊王ヴァングファン...シグレと人の身で契約を課した聖龍王、グレン=ヴァルホリア」

「それは本当か?」

それを二人に問うと、シグレは「この憎たらしい若作り顔は間違いない」と肯定。


そしてグレンと呼ばれた方は「若作りは酷くね?」とあたかも傷付きましたと言うようなゼスチャーはしたものの、その後に「ああ。俺がグレンだ。...<そして、異世界転生人でもある。あー、カーディナルオンラインベータ版やりたかったなー>」

「!?」

...飛んでもねえ爆弾じゃねえか。


「<...あんた、日本人か>」

俺が少し戸惑いつつも、未だ数日しか初使用から経過していないリィンレイズ語ではなく使い慣れた日本語で問いかけると、グレンは少し驚きつつもうなずいていった。

「<ああ。というか、お前もカーディナルオンラインベータ版で反応したってことは、仲間だな?そうだよなー、やっぱりやりたかったよな!>」

此処に、男と男の誓いはなった。地元の、しかもゲーマー仲間。きっと、日本に居れば最高に仲良くなれただろう。


「...まあ、そこの二人はさておき。「おいおい、さておくなよ。夜這いしてきたこと、言ってやるか?」あれは人間になれるためだったと何度も言っただろう!?それに、人の遺伝子を宿しておいた方が吾の受肉も楽で聖霊としての顕現も長く居られるのだから致し方あるまい!?」

「<...さておかれた事実はともかく、|シグレが夜這いしてきたと言う事実について詳しくたのむ」

「ああ、あれは忘れもしない、4000と1年前...「語らんでええわー!?」

シグレの羞恥に塗れた顔は、恐らくもう見られないと思った。確かに、推しを虐めるコメントは一体感があったなー、と、昔を懐かしんでみた。虚しくて泣きかけたのでやめた。



「...で。イアが魔力覚醒状態になって、それでアリシャを呼んだと」

「ああ。それで、まあ今に至る」

「省き過ぎだけど、大体そうなるね。...って、アリシャおねむ?ぼくの肩だったら貸すよ?」

「...ん、ありがと...。」

「ッだァ!?いつの間にヴァンパイアになってたの!?」

「...違う。聖霊力の回復...。」

「こっわ!?」


アリシャと呼ばれた黒髪の女性と、シグレがわちゃわちゃ言いながらも二階の寝室に上がり。俺達は、日本語で談話を始めることにした。

「<...それで。一応聞いておくが、名前を教えてくれないか?>」

するとグレンは、「<おいおい。今更それを聞くのか?...まあ、イアは分からんで当然か...。精神を読めないだろうしなあ...。>」などと語って、その後にキリッとどこかで見た事のあるポーズをとり...。

「<錦戸紅蓮、シスコンさ!>おぶぇっ」

「<テメェェェェェェェェエエエェッ!消え腐レァヤァアアアアァアァアァァァッッ!!>」

全力で、殴り飛ばした。


「<ッてぇっ!?おい、お前身長も筋肉もろくにねえのになんでそんな...>」

「<ッるせぇくそ害悪羽虫がァァァあッ!俺の柚にイロ掛けやがって、手前のせいでカーオン入らなかったら108回殺すからなあぁぁァァァッッ!?>」

「っるさい!せっかくアリシャがぼくの聖霊力吸って寝かけてたのに、これで起きたらどうしてくれんだよ!」

...俺は何も悪くねえ!


次の日。

「シグレ、何とか機嫌を戻してくれないか?」

「ふんッ!グレンなんて知らない!」

「...イアァァッッ」

「ふんっ。ざまあみろ。粉かけた報いだ」

食卓には、何とか機嫌を取ろうとするグレンとそれを裁くシグレ、そしてアリシャが年の離れた俺に「...はい、どうぞ」と肉を薄切りにしたものを食わせると言う、さながら両親がもめている最中の家族の食事...に思えてしまったのは、秘密だ。

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