2.俺は変態じゃないぞ
うーん。子供が意味のわからない言葉を発して、俺から距離を置こうとしている。しかし、ここは近隣の村の住人すら近づくことのできない危険な森の中だ。いま、俺から少しでも離れることは得策ではない。
そこで、俺はとりあえず、この子供を”捕まえる”ことにしてみた!うむ!
このAランク冒険者は、この状況でおそらく一番良くないであろう方法を、良かれと思って選択してしまう。そういうところが、彼が変わり者と言われてしまう所以であった。
「捕獲!!」との発声後に、
彼は、彼のことをショタコン変態だと思っている子供に向かって飛びかかったのであった。。。
まぁ、皆さんが予想しているだろう結果になりますよね。もちろん、その子供は眼の前に迫ってきたショタコン変態(仮)に対して、叫びました。
「きゃあああああああ!!!変態に捕まえられるぅ!あっちにいけ!あっちにいけって!!」
もちろん、そんな言葉は彼には届きません。良かれと思ってやっていますからね。そして、無事(?)捕まえられてしまったボロボロの子供。どうやら、子供は恐ろしすぎて失神してしまったようだ。しかし、彼はそうは思っていない。
あれ?この子供、白目を剥いて、何も言ってこなくなったな。(真実は、ただ失神して言えないだけだが)しかし、子供がおとなしいと保護しやすく都合がいいと前向きに捉えていた。
さぁ、この子供を保護し、とりあえず一番近い村に降りなくては!子供を布に包んで、、、うむ。どうしようか。なにゆえ、俺は子供と関わらずに生きてきた故、どうやって持っておりればいいのかわからない。色々と考えた末に、担いで行くことにした!!(何故!?)
そうして、失神した子供は布に巻かれて、変態(?)に担がれて危険な森を下ることになった。だが、この森は冒険者しか入ることができないくらい深い森である。5日かけて下ることになる。
つまりは、このなんとも噛み合わない2人の生活が始まるということだ!
果たして、彼らの出会いはどう作用していくのだろうか。
***
俺は、子供を担ぎながら周囲を警戒しながら移動を始めた。この深い森を抜けるためには、食料や水、他には寝床も必要だ。なぜなら、5日間もかけて移動するからだ。
今のところ、食料は荷物の中に、干し肉や乾燥させた果物がいくつかあるし、水は川で汲んだ水が水筒いっぱいにある。なので、とりあえずこの子供がまたうるさくなる前までに、どこか寝床にピッタリな場所を見つけたい。
どこかいい所はないか移動していたら、崖沿いに小さな洞窟があった。洞窟内に敵がいないか確認しながら、慎重に進むと動物が生活した形跡もなく安全であることがわかった。今日は小さい子供もいるし、ここを宿としよう。ここにたどり着いた頃には夕方になっておりあたりも暗くなってきていた。
そろそろ、子供も目を覚ますであろうと思った俺は、先にテントを張って寝床を準備していく。小型のテントを貼り終えたら、子供を中に入れた。こんなに危険な場所だってのに、子供はすやすやと眠っていた。
そんな子供を見ていたら、俺のお腹がなっていることに気づいた。子供も目を冷ましたら、ご飯をたべるだろうと思い、夜ご飯を準備していく。
うむ。材料は干し肉と移動中に採取したきのこを使って、簡単なスープを作る。子供の身体を見る限り、しばらくちゃんとしたご飯を食べれていないだろう。俺は、子供の食べるものなんてわからないが、とにかく何かたべさせてやらねば。あとは、りんごも採取してあるから、食べさせてやろう。
そうして、俺が準備している間に、バッと飛び起きる気配がした。そして、飛び出してきて、、
「きゃあああああ!ショタ変態に誘拐されてるーーー!!!」
はぁ、ちょうどよいタイミングで目が覚めたな。もう少しで料理も完成する。
おっと、その前に子供を捕まえてっと、と捕まえたら子供を宙ぶらりんと持ち上げて、教えてやる。
「いいか。子供。さっきからしょた、?変態だか、意味のわからん言葉を言っているが、俺はしょた、?変態ではないぞ。俺は、Aランク冒険者である!」
相変わらず、変な男である。それ以上に子供にいうべきことがあるだろうに、たとえば、俺は保護しようとしているだけだ、とかね。
もちろん、子供の反応は「へ???どういうこと??」とあっけにとられている。
子供は混乱して、とりあえずもう一回叫んでおこうと、
「きゃああああああああ!!ショタ変態ではないぞっていうAランク冒険者がいるーーー!!」
いいことじゃないか。