妻が可愛すぎて困っている
皆さまが読んでくださったおかげで、日間ランキング入りしておりました!(2021/5/5現在)
いつもランキング圏外だったので嬉しくて、お礼に短いですが番外編を書きました。
お楽しみいただけますように。
新婚であるクラウドの悩みは、妻が可愛すぎることだ。
少し前の自分が聞いたら、無表情で理解できないと一蹴したであろう悩み。
しかし、本気で毎日「アメリア愛している!」と衝動的に叫び出しそうになるのを必死で我慢している。
そんなところ、屋敷の使用人にも、騎士団の団員にも見られたくはない。
理性が生きているうちはまだいいのだが、寝起きともなるとかなり危うい。
今、目の前にはアメリアの無防備な寝顔がある。
自分たちは晴れて夫婦となった。
当然、同じベッドで寝ている。
ふわりと鼻をかすめる甘い香りと、触れるぬくもり。
この時点で理性は虫の息だ。
(はあぁぁ……可愛すぎないか!?)
ずっとこの可愛い天使を見つめていたい。
柔らかな髪を手ですいて、頭を撫で、額にキスを落とし、アメジストの瞳が自分を捉えるまで、ずっと……。
しかし、クラウドは出仕の準備をしなければならない。
毎朝、試されているような気がする。
起きなければならないが、アメリアを愛でていたい。
「……んん、クラウドさま?」
クラウドが葛藤しているうちに、アメリアが寝ぼけまなこに目を開けた。
何よりも美しいアメジストの宝石が自分を見つめている。
「……か、かわ」
叫び出しそうになった口を慌てて抑え、クラウドは深く息を吐く。
緩み切った顔も戻し、ほどよく笑みを浮かべて、クラウドはアメリアの頭を撫でる。
「おはよう、アメリア」
「おはようございます。クラウド様」
ふわりと花がほころぶように微笑んだアメリアを見て、思わず抱きしめてしまった。
小柄なアメリアは、クラウドの腕の中にすっぽりと収まってしまう。
可愛いつむじにチュッと口づけを落とすと、アメリアが声を上げた。
「クラウド様……っ!?」
「すまない。アメリアが可愛すぎて、つい」
口では謝罪しながらも、アメリアの耳や額、まぶたにキスを落としていく。
「アメリアは砂糖菓子のように甘いな。俺は甘い物は得意ではないと思っていたのに、やはりアメリアのこととなると違うらしい」
理性の鎧をつけていない朝は心の声が出やすく、自制がきかないようだ。
しかし寝起きで天使を見れば、誰でも本音が漏れてしまうだろう。
クラウドの言葉に照れているのか、アメリアの白い肌が赤く染まっている。
「だ、駄目ですよ? そろそろお仕事の準備をしましょう?」
顔を真っ赤にしながらも、クラウドの妻として諫めようとするアメリアがまた愛おしい。
負の連鎖ならぬ愛しさの連鎖が続く。
「そうだな。働かない夫だと、アメリアに嫌われたくはないからな」
ふっと笑みを浮かべ、クラウドは今度こそ起き上がった。
騎士として、夫として、だらしないところは見せられない。
もう遅いかもしれないが、クラウドはアメリアの前ではかっこつけていたい。
「クラウド様を嫌いになることなんてありません。どうか無理はしないでくださいね」
それでもこうして、妻が可愛いことを言うものだから、クラウドは理性を引っ張りだすのに苦労するのだ。
(あぁ、本当にアメリアが可愛すぎて困る)
なんて幸せな悩みなのだろう。
誰にも相談できない、きっといつまでも消えることのない幸せすぎる悩みを抱えて、クラウドは今日も騎士団へと出勤していった。
読んでいただきありがとうございます!!
アメリアにデレデレのクラウドさん。たぶんニヤニヤしながら出勤して、ジュリアンに冷やかされるやつです。
でも毎日だと突っ込む方も大変なので、そのうち通常運転になりそうな予感ですね。
たくさんの方に読んでいただけて、いつもは圏外だったランキングにも入ることができました。
本当にありがとうございます!!
どうかこれからも応援いただけると嬉しいです。
奏舞音




