ホームレス、パーティーを組む。 5話
週1回通っている冒険者ギルドにはショウコも参加する事になった。
ショウコが魔術師と言う事もあり、依頼も採集系から討伐系に変わって行った。
「ショウコ、そっち行ったぞ!」
「はい。」
シュシュッと言う音と共にショウコの手から風魔術が放たれてゴブリンの首を飛ばした。
焦りながら戦っている俺に比べてショウコは落ち着いたものだ。
ギルドランクは2人共に最低のFランク。
騎士団に同行してレベル上げをしていただけあって下級の魔物なら簡単に倒してしまう。
ただ魔術を使う時は頭を集中する必要があり、一人で戦う事は難しいのだそうだ。
以前、魔物から逃げていた時はそんな状況だったのかと納得した。
ともあれ、ショウコの参加で戦力も上り、順調にレベルを上げる事が出来ている。
これまた怖いくらいに順調だ。
〇 〇 〇
レベルが上がって来ると出来る事も増える。
仕事もそうだがレベルアップによりスキルが進化した事に驚いた。
【空き缶集め】生き物以外なら何でも素材を抽出したり、原料に戻してしまうリサイクルと言った方が良いスキルになった。
朽ちた廃材すら真新しい木材に戻してしまうこの能力も正にチートだろう。
【思い出袋】ゴローの思い出の品だけでなく、考えるだけで生き物以外なんでも出てくる袋だった。
この世界に存在するマジックバックの様に多くの物を収納も出来るが入る量が無限だったりする。
これに関しては便利過ぎて使用の制限を決めた位のスキルになった。
ショウコの【医食同源】だが、食事効果なんて生易しいものではなかった。
元々レベルが20まで上がっていたのでスープに伝説の霊薬エリクサーの効果を付ける事も出来るそうだ。
そんな事が国にバレたら監禁されかねない。
隠していたのは正解だった。
天使様には感謝以外の言葉が出ないよ。
スキルについては多分新しいスキルを作ってくれたんだと思う。
名前が変だったのはわざとそうしたんだろう。
ほんとにお茶目な方だな。
それと大事なことだがこの世界に来た俺は若返っているようだ。
【状態保存(固定)】が関係しているのかもしれない。
ショウコにもそのスキルがあるのかは分からない。
他人の能力を聞くのはマナー違反だと思うからだ。
必要だと思う時に教えてくれればそれで良い。
〇 〇 〇
突然、物の値段が上がった。
特需だろうか。
戦争が始まるのかもしれない。
戦力強化を終えた王国は隣国に向けて進軍を始めた。