昨日の私の大誤算
窓から差し込むまばゆい光に照らされ、目を開ける。どこかぼんやりする頭を巡らせ、壁にかけてあるカレンダーと時計を見やる。
時刻は7時。カレンダーの日付は日曜日。休日だ。何も問題ない。
大きく伸びをして、のそりと立ち上がる。もう一度体を伸ばして、キッチンへと歩いていく。惰性的に冷蔵庫を開ける。習慣になってしまったただの癖だ。
洗顔代わりに浴びた冷気で、いくらか頭がすっきりしてくる。そうして思い出した。昨日の自分から今日の自分へ書いた伝言のことを。
扉を閉める。あった。冷蔵庫の扉にマグネットで貼り付けられたメモ。朝食用に用意したスムージーの材料があるよ、忘れないでねという感じの文面だ。いかにも私らしい。
一つ下の冷凍庫を開ける。やはり昨晩のうちに仕込んでおいた材料が、ジッパー付き袋の中に入っている。
ひときわ目につくのはブルーベリー。昨日友人と行った農園で、手ずから摘み取って量り売りされたものだ。角刈りのお兄さんが、グラムを量って袋に入れた後、さらに一掴みおまけしてくれたなぁと何となく思い出す。
しばらくじっと見つめていたが、すっと扉を閉めた。
「スムージーくらいならものぐさな私でもやれるだろう」と昨日の私は高をくくっていたらしいが、甘かった。今の私は材料と牛乳をミキサーにかけることすら面倒なのだ。
謎の勝利宣言を脳内に展開しつつ、再び冷蔵庫の扉を開ける。
飲む点滴と言われるスポーツドリンクをある程度腹に収めると、私は再びベッドへと向かっていった。