第3話 入浴タイム
お風呂回ッ!
シキは風呂場に向かう道すがらハクノに己が作った風呂をドヤ顔で自慢していた。
「むっふっふ……楽しみにしとるがよい。何せ五右衛門風呂から露天風呂まで完備しておるからの」
「シキさんは相変わらず変なとこ拘るよね」
もっと有意義なことにお金使おうよと呆れるハクノに心外だと言いたげな顔で反論する。
「ワシにとっての有意義なことに金を使った結果じゃ。それにこの状況ではマイルームをいい感じに作ったのが功を奏したということじゃ」
「まぁそうだけどさ……」
「っと着いた様じゃな」
脱衣所に着いたシキは何の躊躇いも無く服を脱ぎ全裸になると、突然の脱衣に驚くハクノに振り返り、不思議そうな顔で急かした。
「ほれ、疾く脱がんか。もしや服を着た儘入る等と言うのではあるまいな?」
「うぅ……わかった脱ぐよ……」
シキはしぶしぶ服を脱ぎ全裸になったハクノの手を取り風呂に向かって歩を進める。
風呂に着いたシキは、なるべくシキの裸体を見ないように意識しているハクノを椅子に座らせ、湯を流し身体の隅々まで洗って往く。
ご機嫌な様子で己の身体を洗うシキに強く言う事も出来ず、ただシキの裸を見ないようにしつつ洗われるハクノ。
時々シキの手がハクノの敏感な場所に触れ、ハクノが艶っぽい声を出すが、湯に浸かるのを楽しみにしているシキは容赦なく手を動かし続ける。
しばらくして身体の隅々まで綺麗になったハクノを満足そうに眺め、自分の身体を洗おうとするシキ。
「ワシも身体を洗ってから湯船に浸かる故、お主は先に入っておれ」
「……うん」
何処か虚ろな目で浴槽に向かうハクノを眺めてから自分の身体を洗い始める。
身体を洗い終わってから浴槽に入り、ハクノの隣に腰を下ろしたシキは、はふぅ…と気持ち良さそうにため息を吐く。
濡れた髪がほんのり火照った身体に張り付きより一層色っぽくなったシキをもっと見たいと訴える目を強引に引き剥がすと、その様子を見ていたシキが問うた。
「のう……何故ワシから目を逸らす？見られて恥ずかしい身体はしておらん。答えよ、ワシの身体は見苦しいか？」
「違う違う！寧ろ綺麗で色っぽくてずっと見ていたいけど……って違うの！違わないけど違うの！ええっと……その……うぅ……」
シキの問いに手をわたわたと動かし、慌てたように弁明するハクノを見たシキは噴き出し、ころころと笑いながら謝る。
「かっかっか！いやすまぬ、冗談、冗句じゃ。ちょっとした悪戯心じゃよ」
「むぅー……」
揶揄うシキに頬を膨らませるハクノ、そしてそんなハクノを見てまた笑い出すシキ。
風呂場に少女達の声が響いていた頃、リビングでは之布岐がゴーレムメットを磨きながら誰に言うでもなく呟いた。
「ふたりとも遅いなぁ……」
之布岐の声は虚しく虚空に溶けていくのであった。
せっかくのお風呂回なのにあんまりイチャイチャしませんでしたね。
