プロローグⅡ
「申し訳ありませんでしたぁ〜!」
私は何を見せられているんだ……。
確か私はあのときトラックに轢かれて…気付いたら友人達と何も無い、それでいて何処か神々しい場所で眼が覚めたんだ。
そしたら金髪の美しい女性(暫定女神)が現れていきなり綺麗な土下座を披露したと思えば先の台詞である。
何かテンプレな臭いが……友人達も同じ意見な様で、胡散臭いモノを見るような眼で暫定女神を見ている。
「えと……いきなり謝られても状況がわからないのですが……」
とりあえず代表して暫定女神に話しかける。
「そのですね……ちょっと手が滑って死ぬ予定の無い御三方を死なせてしまいまして……」
身体を起こし、人差し指を突き合わせながらそう言う女神に
「なんともテンプレな……」
と之布岐が呟く。同感だ。
「それで……ですね……お、お詫びと言っては何ですが……」
そこで言葉を途切れさせ息を吸い、覚悟を決めた様な顔をする女神。
「異世界に行ってみる気はありませんか!?今ならお好きな力もつけちゃいます!」
う〜んやはりテンプレ……しかし好きな力か……そうだな……。
「なら私達がやっていたMMORPGのキャラで転生って出来ますかね?」
「おぉ〜ナイスアイディア」
「いいんじゃね?」
よし、2人の賛成も得た。あとは我らが女神様だが…
「あぁ……それなら楽でいいですね!」
それでいいのか女神様。
……けど何か残念度が増してきてないか……?まぁいいか……あ、そうだ。
「私、こいつらよりかなり後に始めたせいで2人より弱いのですよ。だから……ね?ちょっと便宜を──」
「わかりました!あなたが持っているキャラクター全ての能力を追加しておきますね。ついでにいつでもマイルームを呼び出せるようにもしちゃいます♪」
おおう……太っ腹だな……。
「ちょっ、俺達は!?」
「理不尽……主人公補正かな?」
主人公って……之布岐……ラノベじゃないんだから……まぁ状況はラノベそのものだけど……。
「あっ、もう自由に出来る容量いっぱいなんですよ〜。ごめんね?」
手を合わせ、てへぺろとばかりに謝る女神に
「おーぼーだー」
「ぬあぁぁぁぁ!お前だけずるい〜!」
ハクノは肩を掴んで前後に振ってくる。あたまガクガクしゅりゅの〜
〜閑話休題〜
その後ハクノを落ち着けたり女神の愚痴などを聞いたりと雑談していると、不意に女神が天井?を見上げ
「名残惜しいですがそろそろ時間の様ですね。」
椅子から立ち上がりながらそう言った。
「もう時間か……」
「でも楽しいひと時だったよ」
「せやな」
話しながら私達も椅子から立ち上がる。
「さて、ではアイテムバックや倉庫の中身そのままでいつでも何処でも使用出来る様にしときました。死ににくくしましたし、目的のセカイの言語も全て扱える様に身体を創りました。これで不自由は無いでしょう」
至れり尽くせりだな。本当に。
「ありがとう。女神様」
「ありがとー」
「感謝……」
思い思いに感謝の気持ちを伝える。
「最後に二つだけ、お願いがあります。一つは銃やそれに準ずる兵器などを見つけたらなるべく破壊して欲しいのです」
「……理由は聞いても?」
「ごめんなさい、今は理由を言うことができません。ですが、お願いします。都合のいいことを言っているのは理解しています。ですが──」
「別にいいですよ。ちょとした興味で聞いただけですし、断る理由もありません」
申し訳なさそうな顔で語る女神の言葉を遮って「お願い」を聞く。辛気臭いのは好きじゃないからな。
「それで、二つ目は?」
「はい。実はあなた方が行くセカイで異世界人を召喚し奴隷の様に扱う、という例がありまして……御三方にはそのような事が起こらない様に対処して頂きたいのです。時間はかかっても構いません。何せあなた方の時間は無限に等しいのですから」
「成程……わかりまし──」
「わかりましたー!」
それまで黙っていたハクノが私の台詞を遮って返事をする。そして之布岐もどうやら賛成の様だ。
「まぁそういうことで」
「ふふっ、ええ、ありがとうございます。ではそろそろあちらのセカイに送りますね。では、良い一生を」
女神がそう言ったあたりで私達の身体が透け始める。
笑顔で手を振る女神に私達3人も振り返す。
そして視界が白に染まった時、私の意識は途切れた。
そして、女神1人になったその空間で女神は呟いた。
「あの3人とても楽しそうでしたね……そうだ!少しイタズラしちゃいますか♪」
楽しそうな女神の声は何も無い空間に溶けて消えていった。
感謝やご指摘待ってます。