私の家族(いばしょ)
妹が生まれる。名前は詩音というらしい。
最初は自分が姉になる実感はこれっぽっちもなかった。まだ見える形がなかったから。
研究所の仕事の手伝いを始めて、その中身に触れて、徐々に形になっていく妹。性格や顔が決まっていき、私に似た人型のものができあがっていくのを、少し外から見ていた。
私もこの人たちの手で同じように作られ、一ノ瀬さんと双葉さんを中心に五人の研究員たちのおかげで、こうして今私がいる。
そう思うと、一から作った一ノ瀬さんと双葉さんは紛れもなく私の生みの親だ。
今まで人とは違うところに自分がいるような気がしていた。疎外感って言うんだっけ。
最初の頃はやっぱり最初だから、みんながみんな慣れないことに対しての不安があって、私のことをアンドロイドとして見ていたかもしれない。
それがなんか嫌で、私はここにいるんだぞと思うために掃除もやったし、仕事の手伝いも自分からやり始めた。
それでも何か足りない。どうなろうと私はアンドロイドで研究対象であることは変わらない。
一ノ瀬さんと双葉さんが今更そういう目で見てるとは思えないけど、自分でそう思ってしまっている以上、これは覆せない。
その最中に、詩音が完成した。水槽の中には私によく似た、でも少し小さいアンドロイドが目を閉じて浮かんでいる。
研究対象が私から詩音に変わったからとか、たぶんそういうんじゃない。
私が誰かを引っ張る立場になったからだと思う。ようやく私もここの一員になれたと思った。
足りない何かはこれだったんだ。私が全員に見られるだけじゃなく、私も誰かを見て何かしてあげたかったんだ。
妹ができて私が姉、私たちを生んだのは一ノ瀬さんと双葉さん。なら二人は私たちのお父さんとお母さんで、私たちは家族なんだ。
私と詩音がアンドロイドだということは変わらない。それを分かったうえで、私たちは家族なんだって、もうすぐ目を覚ます詩音に伝えたい。
私はお姉ちゃんになった。




