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彷徨のレギンレイヴ  作者: 二上たいら
第一部 第五章 七塔都市

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第十七話 レーザー攻撃

 77同士の戦いとは究極的には背後の取り合いに尽きる。

 ミサイルを装備してきていれば話はまた違うのだが、まさか77と戦うことになるとは思わず、余計な重量になるミサイルは搭載していない。

 それは相手も同じだったようだ。

 その機影にミサイルの姿は見えない。

 なのでお互いに武器は機体の前方に発射される機関砲のみということになる。

 どれだけ77を乗りこなせているかがこの勝負の決め手になるだろう。


 レギンレイヴが俺の視界に生み出した敵機の背後への最適進路をなぞるように飛ぶ。あまりのGに視界が暗くなり、脳へ血流を送るためドレスが俺の体を強く締め付けた。

 無茶な操縦の甲斐もあって、ルルの77がやや上方の視界に現れる。

 その機体がロールし、横に向けて旋回に入る。当然、レギンレイヴの最適進路もルルの77を追いかける。機体をロールさせる一瞬の隙に呼吸をして、再び操縦桿を引き起こす。旋回中はGに耐えるのに必死で、呼吸などしていられない。

 ついにはルルの77がヘッドアップディスプレイの中に入ってくる。ガンクロスに機体を合わせて、引き金を引く。唸るような音と共に機関砲弾が発射され、ルルの77のシールドに当たって弾ける。

 かと思うと、ルルの77は急激に進路を変えて、ヘッドアップディスプレイから消える。だがレギンレイヴの最適進路に従うとあっという間にルルの77が視界に戻ってくる。


「なんで、このっ、ガキのくせにっ!」


 ルルの口調からはさっきまでの余裕が失われていた。

 なんだこの差は?

 簡単すぎる。

 77のシミュレーターの敵機のほうがよっぽど手ごわい。

 俺はさらにルルの77に機銃を浴びせかける。

 ルルの77は機体を左右に振って機銃から逃れようとするが、その動きだってレギンレイヴの予測の範囲内だ。

 ルルの77の動きははっきり言って鈍い。それに加え、レギンレイヴの予測の範囲に収まりすぎている。

 これではまるでーー、


「おまえ、パイロットスーツも無いし、人工知能の助けも借りてないな」


「なんだよ。それ! あたしが負けるわけが!」


 やはりそうだ。

 ルルには人工知能も憑いていなければ、パイロットスーツも着込んでいない。おそらくこれまではそれでも良かったのだ。77が必要になるような戦いなんてめったに無かっただろうし、77を使えば一方的に勝てたのだろうから。

 だが敵の、つまり俺の77を、自分の77と同程度と考えたのがルルの敗因だ。

 俺はルルの77へ一方的に機銃を当て続け、ついにはそのシールドがダウンした。それと同時にルルの77の右翼が吹き飛ぶ。

 そのまま一度エーテルの海に沈んでいったルルの77は、浮遊状態に切り替えたのか、エーテル海面上まで浮き上がってくる。

 どちらにしても俺のやることは決まっている。

 墜落しようが、浮いていようが、ルルの77のコックピットを撃ちぬくまでは止まれない。

 ガンクロスにルルの77を捉え、引き金を引こうとしたまさにその瞬間、ディスプレイが真っ赤に染まり警報を発した。同時に凄まじい衝撃が77を襲い、吹き飛ばされる。


(浮遊面上からのレーザー攻撃です。地形を盾にしてください)


 せっかく回復しつつあったシールドがダウンする中、俺はエーテルの海の中に飛び込むというより落下した。地表すれすれでなんとか機体を立て直し、地形に沿って飛ぶ。

 レーザー攻撃、だと!? 77には積まれていない武装だ。


(今の攻撃でレーザー艦を発見しました。77式で相手をするには力不足です)


 地形情報に敵艦の位置が表示される。

 敵艦――、フリゲートでも、巡洋艦でも、戦列艦でもなく、レーザー艦。言うまでもなく稼動状態になった浮遊遺物だろう。

 ルルが77を操っていたことから想像はついていたが、俺以外にも遺物を活性化させて利用している人々がいる。


(しかしその使い方は稚拙です。とても訓練を受けているとは思えません)


 単にこれまで訓練が必要なかっただけかも。

 俺は地面すれすれを地形の間をかすめながら、敵艦から距離を取っていく。


(77式でレーザー艦に有効な打撃を与えるためには対艦ミサイルが必要です)


 分かっている。だから今、対抗手段を考えているんじゃないか。

 そもそもこの敵、おそらく空賊の目的はなんなんだ?

 以前嘯いていたようなマリア王女殿下の保護では絶対に無い。でなければ戦列艦の甲板を掃射するようなことはしない。

 戦列艦?

 そうだ。戦列艦だ。

 レギンレイヴ、あの戦列艦の基礎に使われている浮遊遺物はなんだ?


(現物を見ていないのではっきりしたことは申し上げられませんが、駆逐艦かそれ以下の艦種だと思われます)


 俺の権限で活性化させられるか?


(まったく問題ありません)


 その手に賭けるしかないな。

 俺は機首を戦列艦に向けた。


 戦列艦にはなんとか無事な幽霊艦隊のフリゲート2隻が接舷していた。

 その甲板上に俺は強行着陸する。


「総員退艦させろ! マリア王女殿下はどうなった?」


 近くにいた士官に向けてそう命令する。


「すでにフリゲートに乗り移られました」


「分かった。急いで全員を退艦させるんだ」


 俺自身は戦列艦の内部に飛び込み、基礎である浮遊遺物が直接見えるところを探して移動する。こんなことをしている間にもレーザー艦がこちらを射程に捉えて、マリア王女殿下の乗るフリゲートに攻撃を仕掛けるかもしれない。

 俺は戦列艦の壁を壊しながらその中央部に迫った。


(これはミサイル艦です。レーザー艦相手ならば、飽和攻撃でなんとかなるでしょう)


 炸裂弾に切り替えたストッパーで戦列艦の床を爆破して、ミサイル艦の入り口を確保する。


(ミサイル艦を活性化します)


 真っ黒だった浮遊遺物が森林迷彩色に変わっていく。

 扉が開き、俺はその中に入った。

 この船を掌握するにはどうすればいい?

 金属の通路を走りながら、レギンレイヴに問う。


(艦橋へ。後はお任せください)


 視界に表示された矢印に従って艦橋へと走る。

 そしてようやく艦橋にたどり着くと、俺はレギンレイヴの指示に従って艦長席のデスクに手をついた。


(ミサイル艦のシステム掌握中です。77式とのリンク確立。ミサイル発射制御を確保しました。77式のレーダー情報を元にレーザー艦を攻撃できます)


 必要なだけ発射しろ。


(攻撃目的は対象の戦闘不能ですか? 完全破壊ですか?)


 完全破壊だ。

 迷わずに決める。

 レーザー艦に乗っているのはおそらく空賊、あの頬に刀傷のある男とその仲間たちに違いない。ここで殺せるなら殺さない手は無い。

 ついでに余裕があるならルルの77も破壊しろ。


(了解しました。攻撃対象に敵77式を含めます。攻撃開始)


 画面上には周囲の空図と、敵艦の位置情報などが映し出されている。こちらのミサイル艦から次々と発射されるミサイルが、画面上では白い点となって敵レーザー艦へと距離を詰めていく。レーザー攻撃による迎撃によってか、最初の3発が途中で消える。しかし4発目がレーザー艦に到達した。

 続いて5、6、7発目と連続してミサイルがレーザー艦に命中していく。


(最初にレーザー砲塔を集中的に狙いました。もはや迎撃は不可能です)


 21発目を発射したところでミサイル艦は攻撃を止める。

 最後の1発はルルの77に命中して消えた。


(敵艦、反応消失しました)


 戦いの終わりをレギンレイヴが告げた。

 俺は艦長席に深く腰を落とす。

 もうこれ以上敵が現れるなんてことはないよな。


(警戒中です)


 俺はレーダーをじっと見つめ、待った。

第十八話の投稿は8月2日18時となります。

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異世界転移ものの新作を始めました。
ゲーム化した現代日本と、別のゲーム世界とを行き来できるようになった主人公が女の子とイチャイチャしたり、お仕事したり、冒険したり、イチャイチャする話です。
1話1000~2000文字の気軽に読める異世界ファンタジー作品となっております。
どうぞよろしくお願いいたします。

異世界現代あっちこっち
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