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エブリデイ・オブ・魔国  作者: 盗賊
魔国Dark Side
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魔国Dark Side  トアル③

 ダークです! 最後らへんがとてもダークサイドです!! 子供視点、ひらがな多めになったら、カニバリズム注意!? 食人注意!! なんでもいいけど自己責任でお読みくださいませ!! あの、食べた人に悪気はないんですよ! 本当ですよ!?

 やぁやぁ、おはこんにちばんわ! 中身が暗くなりそうだから、出だしはテンションアゲアゲで行こうと思うよっ!

 さぁっ! 今回はじまりはじまり~!!


 生まれて間もない子供は、医者によって育てられた。

 謎の人物……めんどくさいから不審者でいいかな。うん。不審者はほぼ定期的にここを訪れた。けれど時々ぱったりとこなくなったりもした。

 医者は二、三年ほど前に子供を産んですぐに亡くしたという。夫はそのひと月前ほどに。その分も、子供に愛を注いで、しっかりと育てようと決意していた。

「医者、何か必要なものある?」

「ありまくりだ。圧倒的に水が足りない。あと栄養あるもの、果物とか野菜も取らないと健康上よろしくないぞ」

 医者は泣いている子供をあやしつつ、青筋を浮かべて、声を抑えめで言った。

 医者と子供には暗視の魔法を不審者がかけたので、暗闇でも別段昼間の外にいるのと変わりなく過ごせていた。

 最初の頃は不審者も、うるさい、と子供を冷たい視線で見ていたが、医者に「子供は泣くのが仕事だ」と不審者の視線にも勝る冷たさで言われたのと、さすがにここへ通っているうちに諦めたようだった。

「健康……了解。水、水……。他は?」

「連絡をよこせ。突然いなくなられると困る。特に水」

「それは……無理。仕事がある」

「なんとかしろ。じゃないと乳が出なくなる。そしたら二人そろって死、あるのみだ」

「……努力はする」

「そうしてくれ」

 人が全く来ないこの空間は、不便なようであり、便利でもあった。罪人にちょっとでも快適さなんて求められないからね。見張りがいなければ子育ても楽だったってこと。

「まだある?」

「もうすぐ離乳食が必要になるかもしれない」

「りにゅう……?」

「聞いたことくらいあるだろう?」

「……?」

「……お前が知らなかったら私はどうすればいいんだ」

 唯一の補給源が頼れないとなると、もう終わりだ。

「分かった、調べてくる」

「保存には向かないものばかりだろうから……」

「めんどくさいね」

「子育てはそういうものだ」

「了解。腐食防止の魔法も取得してくるよ」

「それだと助かる」

「じゃあね。頑張って」

 不審者は淡々と子育てを応援するだけだった。


「いいか? これはリンゴ、だ」

 不審者に腐食防止の魔法をかけてもらい、今でもつやつやしている林檎を示しつつ、目の前の子どもに言葉を教える。

「りーご?」

「り、ん、ご」

「り、ぃ、ご!」

「ダメだぞ、ちゃんと言わないと」

「ぶー」

「ほら、もう一回。り、ん、ご」

「り、ん……ご!!」

「よし、よくできた。ご褒美にこれをやろう。切るから少し待ってるんだぞ」

 そう言って林檎を賽の目にカットしていく。

「ほら」

「あー!」

「おいしいだろ? あまいだろ?」

「おーし、あまー!」

「お、い、し、い。あ、ま、い」

「お、ぃ、しぃ、あ、ま、ぃー!!」

「うむ、まぁ、及第点だな」

「?」

「及第点とか、子供に難しい」

 突然現れた不審者がボソッとつぶやいた。

「おぉ、来てたのか」

「一年もう経った? 医者、すごいね。ちゃんと育ってるじゃない。正直言って無理だと思ってた」

 子供はもう卒乳をして、ある程度固形物を食べられるようになっていた。

「失礼なやつだな」

「い、しゃぁ、だー?」

「うん? 誰かと言われても……」

「おねーさんだよ、おねーさん」

 不審者はしゃがみこんで子供と目線を合わせた。

「おねー?」

「……オネェ?」

「医者、無理やり引き伸ばした寿命、今ここで終わらせたいのかな?」

「酷いじゃないか。ただ発音と性質が少し似通って……」

「よし、今日はプレゼントもってきたのに、もって帰るよ」

「待て待て待て待て」

 不審者がプレゼントなんて気を配れたのか、と医者は思ったが、そこではない。そんなことを言ったらそれこそ見捨てられそうだった。でもそう思ってしまうほど、それほどに不審者のプレゼントは貴重品だ。

「ぷ……?」

「プ、レ、ゼ、ン、ト」

「贈り物だ」

「おくぃもの?」

「……やはり教育は難しい」

 贈り物、それだけの言葉なのにどうやって表現したものか、医者は悩んだそうだ。

「そのようだね。だから、プレゼント。これで少しは教えやすくなるんじゃないかと思って……?」

「なんだ?」

「絵本」

「わぁー!!」

 子供は目を輝かせてどこからか取り出されたカラフルな絵本に興味を示している。

「そうか、助かる」

「じゃあ、頑張って」

「そうだな」


 子供に文字や言葉を教えて、日々は過ぎ去っていく。

 温度によって季節を感じ、不審者の訪れにより日にちを知る。

 どこを見ても歪だろうが、心を狂わすことのないように、子供が狂ってしまわぬように、医者は医者の持っている全てで子供を愛した。


「医者」

「どうした不審者」

「ふしんしゃー!!」

「ちょっと、変なこと教えないでよ。それと、ちょっと今から大事なお話するから静かにしてて?」

「あい……」

「……子供にしては聞き分けがよすぎない?」

「異常だというのは理解しているらしい。で? なんだ話って」

「王が魔族相手に戦争ふっかけやがった」

「はぁ!?」

「きゅっ!?」

「大声出さないでよ。怖がっちゃうじゃんか」

「あぁ、すまない。怖くないぞ、大丈夫だ」

「ぅっ、ぅっ……」

「さらっと話すから、よく聞いといて。そしたら退散するから。……。詳しいことは割愛するけど、突然のことだったから国中大騒ぎだよ。周りの国にも被害が出てる。でね、食料があんまり手に入りづらいんだ。今あるだけ、できるだけ買ってきた。それで、私もいつ戦いに出るかわからない。だからはっきり言うけど、君たち死ぬかもしれない」

「……」

「悪い」

「いや、いい。仕方ない」

「……本当、ごめんなさい。できるだけは何とかするつもりはあるけど、私だってあまりおおっぴらに反抗できない。すまない」

「……できるだけ頑張るさ。ここまでやってきたんだからな」

「…………じゃぁ、頑張って」

「お前もな」

「……」

「ふ、しんしゃぁ」

「ん?」

「いなくなっちゃぅの?」

「……私はいなくならないよ」

「っう、あ……」

「大丈夫。じゃあ、またね」

「また! ね!!」


 食料がもうない。質は悪かったし、量は少なかったしで、二桁にやっと乗っかった、くらいの食事回数でもう底をついた。

 そんな状態でも、きっと死ぬほどお金がかかったに違いないのだ。なんだかんだで優しいと思われる不審者に、医者は感謝をした。

 さて、水ももうない。

「い、しゃ……」

 子供の声がかすれている。時間はわからないが、かなりの間水分を取っていない。医者の方はそれより長い期間、だ。

「喉が渇いたのか?」

 医者の声もかすれている。できるだけ喉が渇かないように、文字や言葉の練習も控えていたのだが……。

「うん……」

「はぁ……」

 医者はそっとナイフを取り出した。不審者が簡単な調理用に、と持ってきた小さなナイフだ。切れ味は、もうだいぶ悪くなっている。それでも肌を裂くには十分だった。

「!?」

 医者は指を傷つけて血を流した。そしてそれを子供の口へ運ぶ。

「飲め」

 この方法はあまり、というか、かなり、よろしくないので本当に最終手段だ。不審者がいつ帰ってくるかもわからないので、仕方ない。

「……」

 子供は微妙は顔をして、それでも渇きに耐えられなかったのか、指を口に含んで血を吸った。

 そうしてそれは、医者が死ぬまで行われた。つまり、医者は死ぬまで、言葉通り身を削り、子供のために尽くしたのだった。


 のど、かわいた……。

 いしゃ、うごかない……。ねてからずっと、めをさまさない。

 そういえば、ねるまえにへんなこといってたな……。

「いしゃ? ねむいの?」

「あぁ、そうだな、とても眠い」

「そうかぁ……じゃぁ、こもりうた、うたってあげるね!」

「本当にお前は歌が好きだな」

「きれい、たのしいもん! いしゃも、すきでしょ?」

「そうだな……」

「じゃぁ……!」

「待ってくれないか?」

「んー?」

「最後に、最期に一回、母と呼んでくれないか?」

「ははぁ?」

「おかあさん、って」

「おかあさん?」

「あぁ、ありがとう……」

「いしゃ、おかあさん、ってなぁに?」

「……」

「いしゃ?」

「……」

「ねたのか! いいよ! うたうたうよ!」

 あれからずっとおきてくれない。のどかわいたのに。おかあさんってなにかおしえてもらってないのに……。

 のどかわいた。

 さむい。

 さむいっていったらいしゃはいつもぎゅってしてくれたのに。そしたらあったかくなるのに。

 でもいしゃつめたいや。

 ……のど、かわいたな……。

 いしゃ、いつも、こう、して……。

 あんまりでないな……すこし、かじったらどうかな?

 あれ? おにくだ……? おなか、へったな……。

 ……

 …………

 ………………


「医者?」

 呼びかけても返事はない。

「……遅かったか」

 寿命を延ばして、もう三年になるかもしれない、そんな時だった。

「……?」

 死の匂いはした。けれど死体の匂いが少ない。

 おかしい、不審者はそう感じた。

「……誰か、いる?」

 少し目を離したすきにばれたのだろうか? 王の手の者に、見つかったのだろうか? 不審者は焦る。自分の身も危険になる。だが阻止する手もない。

「ちっ」

「……ふしんしゃ?」

「!?」

 てっきり医者がダメになったのなら、子供も一緒に死んでいたかと思っていたのに。

「あ、のね……いしゃ、ね……おきなくて、だから、でも……」

「あ……」

 医者の体が……。詳しい描写は割愛。

「そう、か……」

「あ、わるいこと、した?」

「……なんともいえないな……」

「……おこられる?」

 怒る人はもういない、そう言うことはできなかった。

「ふしんしゃ?」

「……一回、ここから出ようか」

「え?」

「少し、外を知ろう。ね?」

「うん……?」

 医者が死んで一週間ほどのことだった。




 ……僕が何をして、どうしたのか。僕は、気持ち悪いかな?

 それでも過去は変わらないし、変えようとも思ってないよ。

 僕は僕だしね……。

 以上! 今回は終了!! 長かったね! ありがとうね!!

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