魔国Dark Side スナイパー⑭
あはは! 長いですね!! あれ、おかしいな……今回で最終回だと思ったのに……。まだ続きますよ!?
ナ『時刻は深夜、十一時を少し回ったころ。新年が近い冬の空気が冷たく澄んで、少女の髪を弄びます』
青年『スナイパーの利点はね、遠距離射撃だよ。だからね、できるだけ遠い方がいい』
妹「うん、ちゃんと遠いところ選んだよ。指定された場所が豆粒に……!」
青年『そうだねぇ、君のスキルや魔法があれば、見える範囲ならどこまでも届くだろう。だからね、できるだけ高いところがいいかな。遠くまで見通せる、高いところ』
妹「街一番高いビルの屋上。見晴らしいいねぇ~……街広!?」
青年『もちろん、誰も入ってこないようにするんだよ? 後逃げ道の確保ね。これ大事。しくって人が集まった時のことも考えておく』
妹「屋上のロックはしたし、証拠になりそうなものは今のところなし。逃げ道は……まずはそこの階段でしょ? あとは、窓の穴伝って降りれる。他は、まぁ、何とかなるわよね!」
青年『あぁ、サイレンサー忘れないでよ?』
妹「もちばち」
青年『それから、訓練の時、時々そのまま撃ってぶれたことあったでしょ? やっぱり君、腕に力あんまりつきにくいのかもしれないね。だから、絶対にぶれないような工夫すること。枠とかに固定できれば荷物も少なくて済むんだけどね……』
妹「枠はここないから三脚を持ってきたよ。準備オーケー」
青年『あとなんかあったかなー……あ、ハンカチとか忘れないようにね?』
妹『あんたは初めてのお使いに行く子供の母親か!!』
青年『え、せめてお父さんにして!?』
妹「……ふふっ……」
青年『はいこれ』
妹『何?』
青年『君に、戦闘服?』
妹『へ?』
青年『いろんな魔法詰め込んだ、特注だよ。もちろん、洗濯機で洗えるような布! きゃっ、なんて経済的!』
妹『……』
ナ『青年に渡されたものは、カーキ色のトレンチコートと同色のキャスケット。ついでにギターでも入りそうなバックと銃も渡されましたが、それはおまけのようなものらしいです』
青年『あぁ、銃もバックも服も、君に合わせた特注品ね。最後にこれもあげよう』
妹「さぁ、そろそろ時間ね……」
ナ『頭にかけていたサングラスを引き下げ、目線を指定された場所へ。魔法やスキルを併用し、その場所に標準を合わせてその時を待ちます』
妹「……あと三分……」
ナ『屋上の床に伏せて、姿をギリギリ隠し、じっと気配を殺します。殺気を隠し、視線をまぎれさせる……』
妹「あといち……」
……
妹「きたっ……ん? あれって……」
ナ『少女は少し考えました。でも気づかれてはおしまいです。標準をきっちり頭に合わせます。躊躇いはありました。けれどそれももう考えることはやめたのです。指はずっと引き金に。ここだと思った瞬間に引けるように。そして……』
……っ
…………
ナ『音のしない衝撃が腕を伝い、衝撃の元は男の頭へ。倒れて動かないこと、頭から血が吹き出、溜まっていくのを確認して、少女は素早く荷物をまとめて階段をそのまま静かに降りて行きました』
ナ『しばらく街をさまよって、誰もいない建物のうちの一つ、それの影に隠れ、封筒を取り出します』
妹「……ふぅ……」
ナ『中身を読んで、少女はそっとため息をつきました』
ナ『小さなビル。いえ、ビルというよりは立体駐車場のような場所。車なんてそうそう走っていないはずのこの街に、なぜこんなものがあるのでしょうか。それはさておき。壁ではなく柱のようなものに支えられたただただ広いフロア。コツコツコツと、響く足音』
妹「おにーいさん」
青年「やぁ、お嬢ちゃん。うまくいったのかな?」
妹「たぶんね」
青年「たぶん? そんな」
妹「頭撃ち抜いて血がドバドバ出てたよ。これで死んでなかったらびっくりだけど、実際に脈はかって死んでるかどうか確かめたわけじゃないからね。お兄さんは脈はかって確かめろ、なんて言ってなかったもんね」
青年「そうだね。確かめたらせっかくの狙撃が無駄になっちゃうから。……ねぇ、どうして口調元に戻したのかな?」
妹「そうだね、気分かな。初心思い出す? それより、ねぇ、どうしてお兄さん、あいつのこと殺したの?」
青年「僕が殺したわけじゃないでしょ? 殺したのは君だ」
妹「あたしは手段だよ。ただの。殺そうと意志を持って動かしたのはお兄さん。罪はお兄さんとあたしで半分こ」
青年「そうだね」
妹「もう一回聞くね? どうしてあいつ、殺したの?」
青年「暗殺者は依頼主にそんなこと聞いちゃ」
妹「あたしはお兄さんに聞いてるの。ねぇ、何で殺したの? お兄さんの、大事な命の恩人、なんでしょ?」
青年「……」
ナ『殺したのは青年が所属する、暗殺ギルドのボス。青年が、酷い扱いを受けても、それでも大切に思っていた、怖い人』
青年「ねぇ、お嬢ちゃん、それに答えてあげる。だからね、僕も教えて? なんでここに、僕の前に現れたの?」
妹「依頼主にはしっかりと報告しないと、なんでしょ?」
青年「あはは……だったら最後までやってから報告してほしかったかな……」
妹「知りたくなかったの? 知らないまま、殺してほしかったの……?」
ナ『暗殺依頼後半は、自分。青年のことだけが書かれていました。場所は自分で探せ、と』
青年「どうだろう……どうせ僕のこと書けば、君は来るだろうって思ってた。でも、そうだね、何でもいいから早く殺してほしかったかな……?」
妹「……」
青年「僕は言ったね。だから次は君の番か。なんであの人を殺したか? だっけ?」
妹「うん」
青年「わからない。憎かったから。じゃ、足りないかな?」
妹「お兄さん、気づいてる? 仮面ずれかけてるよ」
青年「え……?」
妹「声震えてる。ねぇ、もういいじゃん。そんなにボロボロでずれずれなのに、まだ仮面はいるの?」
青年「……」
妹「なきそうだよ、お兄さん」
青年「……っ、はぁ……なんか、僕の方が年上で経験豊富なのに、負けてる気分」
妹「……」
青年「そう、大事。とても大事。でもね、だから憎いの。僕頑張ったよ? ギルド内でボスの次に強く、偉くなったの。それでもね、ゴミって、そう言った。力もある。経験も積んだ。ボスを支えてきた。それなのに、それなのにね? 少し傷ついた、ハンデを負っただけで簡単に捨てられた。まだまだ戦えるし、それでもギルド内で上位に入ると思うよ? でもね、やっぱりね、あの人にはね、自分以外はゴミしかいないんだって、そう思ったの」
妹「かわいさ余って憎さ百倍?」
青年「難しい言葉知ってるね。そうそう。それだよ。大事で大切で、でも、だからね、憎いんだ。殺したいほど? ほんとは足りないけどね。あいつ、あっさり死んだでしょ? 狙撃って、だいたいそう言うものなんだけどさ、簡単だったよね? 自分が暗殺者にやられてるじゃんね。あんなに偉そうだったのに、最期は一人、無防備に、だったでしょ? ……ふざけんなよ……」
妹「……お兄さんは、あいつのこと、大好きなんだね」
青年「大好き、大好きね……別の意味考えちゃいそうだけど、そっちの意味じゃないよね? わかって言ってないよね?」
妹「?」
青年「うん、そっちの道は教えてないからね? でも一瞬焦るよ?」
妹「お兄さん、無理やり仮面戻そうとしてる?」
青年「どうかな、どうだろう。わからないや」
妹「お兄さん泣いてる」
青年「え? あ、ホントだ。僕泣けたんだね……」
妹「お兄さん心壊れてないよ。ほんの少し、動きづらいだけだよ」
青年「あはは……君に慰められる時が来るなんてね……」
妹「まだ、殺してほしい?」
青年「……」
妹「死にたいんだ? それは、あいつのせい?」
青年「そう……ともいえるし、言えないかも。僕ね、もう他の生き方わからないんだ。それしか学んでないからさ。ずっと人殺してきたの。ボスにしたがって来たの。だから捨てられたら死ぬしかなかった。でも復讐したいなって思って今まで君を育ててきた。でもそれも終わっちゃった。もう、本当に、何していいかわからない……」
妹「迷子みたいだね」
青年「そうだね。迷った。しかも帰り道も帰る場所もないときた。……やっぱ、殺して、欲しいかな……」
妹「わかった……」
青年「お願い……」
ナ『青年はそっと目を閉じる。少女は……』
………………
…………
……
ぱんっ
なんか青年のターン?
青年「いいじゃない! どうせもう出番ないんでしょ? 本編に出られないんでしょ? だったら出番もっと増やしてくれたっていいんじゃない?」
ス「いや、あんた一回本編の方にちょこっと出てたわよね? ね?」
青年「え、何のこと~?」
ス「おいこら」
作『おそらく本編で青年が出てくるとそのぶんスナイパーの出番をしっちゃかめっちゃかor出番をぶんどる』
ス「ちょっとぉ!?」
青年「あはははは! いーねー!!」
ス「やめてよ!?」
お、おそらく次回は最終回!? よ、よてーはみてー!!
ス「おい……」




