魔国Dark Side スナイパー⑪
ナ『さて、約束の場所に来ると、青年の姿は見えません』
妹「なに? 急いできたのに! まだ来てないの!?」
ナ『予定外のドタバタがビル内であったらしく、いつもより人の出入りが激しかったため、何回も見つかりかけ、超絶ぶち切れナウです』
?「あらあら、そんなに怒ってどうしたの?」
ナ『品のよさそうな女性が話しかけてきました』
妹「いえ、ちょっと待ち合わせしてる人がいないもので!!」
?「くすっ、それは大変ねぇ」
妹「ええ本当に!!」
?「……」
妹「……」
?「……え、まさか本当に気が付いてないわけじゃないよね?」
妹「??」
?「え、なんだと思って話したの?」
妹「え?」
?「……僕だよ僕! 君の師匠!!」
妹「……え、お兄さん!? 師匠だったの!?」
青年「どっちも合わせてホントなんだと思ってたの!?」
妹「いや、変な人だな?」
青年「ちょ、それ酷い!! ってか、女性がこんな格好でこんなとこいるわけないでしょ!? ここなんだと思ってる!? 闇ギルドとか麻薬密売とかもう何でもアリの無法地帯だよ!? ねぇ!?」
ナ『女性の正体は青年でした……。萌黄の髪は柔らかそうなロング。今は呆れが色濃い紺色の瞳。白いシフォンのドレスと薄く色づいたスカーフ。ナチュラルメイクの清楚系小顔美人。……青年、超女顔ですね。全く違和感ありません。くびれもしっかりあります。む、胸も……?』
青年「あぁ、やっぱりどこかで教育完全まちが……って、どこ見てるのどこを!?」
妹「腰と胸」
青年「正直だね!?」
妹「なんで、あんで胸があるのぉおおお!?」
青年「ちょ、あんま、ねぇ!? ずれるからやめてくれない!? 僕男だからね!? 作り物に決まってるよ!?」
妹「こっちは身長すら伸びないのにぃぃぃいいいい!!」
青年「きいてー!?」(成長期に食事抜かせたりするのダメだったかな……)
妹「今何考えてたぁぁぁぁあああ!?」
青年「ま、まだ! まだ大丈夫! きっとこれから伸びるよ!! う、うん!! 成長期ってまだあるよね!!」
妹「今一番成長しそうな時なのに伸びてないよぉぉぉおおおお!?」
青年「ちょ、落ち着こう!? いったん落ち着いてみようか!?」
ナ『青年の必死な叫びは無視され、そのうち疲れた少女が諦めるまで続きました』
妹「ぜぇ、はぁ……」
青年「も~、服おろしたてだったんだよぉ? よれよれじゃ~ん」
妹「元からしわ加工でしょう!」
青年「それもそっか!」
妹「~~~~~!!」
青年「いい? これから表の町に行くから、今からする約束は絶対守ってね?」
妹「その前にその服装の説明してくれない?」(女顔の男敵)
ナ『少女に敵認定された瞬間でした……』
妹(本物の女より可愛いって何? 綺麗って何? しかも最初声まで綺麗だったよ? 美人なお姉さんだったよ? どっちかというとお姉さま、って感じだったよ? あれ? お兄さんって本当に男だよね? うん。それは知ってるよ? けどね、喉仏とか元からなかったっけ? 今完全見えないんだけど? くっ、すらっとしやがって、このやろーこちとら成長期から見放されてるっていうのに……!!!!!!!!!!!!)
青年「えっと、せつm……待って! 殺気ダダ漏れ!! 暗殺者としてダメとか言う前に僕にそんなの向けないでよ!?」
妹「あ、ごめん。心に正直なもので……」
青年「なにそれ!? 僕なんかしたかな!? 心当たりはあるけど今まさに殺されるようなのはないよ!? ってか、逆に出せって言ったときはなんで出せないのかな!?」
妹「んー、ある意味存在自が……あ、そっか、次からお兄さん思い出せばできるよきっと!!」
青年「ひど!?」
妹「いいから説明してよ。今のままじゃただの女装変態お兄さんなんだけど」
青年「僕は君がわからない! 何? 思春期!? お兄さん嫌いな年頃!?」
妹「いや、わかんないし。あとそれお父さんでしょ? あ、むしろおz」
青年「説明ね!! だから、これから街に買い物行くの!」
妹「それと女装と何の関係が?」
青年「いい? 今日は僕たち仲良し姉妹って設定だからね?」
妹「え」
青年「これも訓練だから。反論は受け付けないから安心して」
妹「安心できないよ?」
青年「んーっと、妹ちゃんは動きやすい服装が好きだけど、最近女の子っぽくなってきたから、誕生日に可愛い服でも買ってあげようと思ったの。って感じ」
妹「ふーん? じゃぁ、私は可愛い服にあんまり興味なさそうな感じにしろってとこ?」
青年「そうだね。それの方がいいかな」
妹「たぶん目輝かせると思うけど」
青年「訓練だって……でも、最初の町で着替えたら、次の町で思いっきり楽しめばいいよ。それまで我慢ね」
妹「え、二つも行くの?」
青年「とりあえずね。女の子の服とかわかんないから、とりあえずそれっぽいの買って、次のとこ、大きいとこでちゃんとしたの買おうと思って」
妹「わーい!!」
青年「あと、大きな町で会わせたい人いるから、その人にも会うんだよ」
妹「……仕事?」
青年「違う違う。まぁ、気楽にいこうよ」
妹「……」
青年「女装したのはうん、さすがに歳の差が、っていうのと、女性同士の方がいろいろ便利かなって思ってね」
妹「そうなんだ?」
青年「服とか見るのにちょうどいいでしょ?」
妹「確かに」
青年「で、約束事ね。まず第一に、設定守ること」
妹「……お姉さん?」
青年「そうそう。普段の生活を匂わせることも言わないように。私たち、ただの中流階級の姉妹ですわ。おわかり? あ、ちなみに間違えるたびに帰ったらお仕置きね!」
妹「……」
青年「次に、そうだねぇ、言葉づかい、もうちょっと女の子っぽくしようか」
妹「女の子っぽく?」
青年「そうそう。語尾を~わよ、とか、~よね、とか」
妹「ど、りょくします……」
青年「ちなみにこれは継続ね。今日だけじゃないよ」
妹「……」
青年「一人称をあたし、に変えてもいいかもね。んで、最後に……」
妹「……」ごくり……
青年「他は楽しんでよ? 笑顔笑顔! せっかくのプレゼントなんだからねっ!!」
妹「……」こ、こくり!!
ナ『まずはじめの町で、最近の流行だという花柄のワンピースを買い、それに着替えて次の町へ行きました』
妹「わー。さっきとぜんぜんちがーう……」
青年「そりゃそうでしょう。ここは大都市よ? もう、田舎者丸出しはやめてよね?」
妹「でもー、わー、おおきーい」
青年「……」
妹(あ、いまのでお仕置きワンカウント……)
ナ『少女は顔を前に向けて、青年の隣をしっかり歩き始めました』
青年「ねぇ、どんなお洋服が欲しいの?」
妹「わかんない」
青年「もう、それじゃぁ決められないじゃない」
妹「しょうがないじゃないの。今までそんな服とかみたk……あんまり興味なかったんだもの……」
ナ『見たことない、と言いかけて、中流階級じゃそれはないな、と思い言い直す少女。青年は上出来、というようにうなずきました』
青年「そうねぇ、じゃぁ、とりあえずいろんなお店見て回りましょうか?」
妹「いいね!」
ナ『そうして二人はウィンドウショッピングを楽しみ? ました』
青年「いいのあった?」
妹「かわいいなって思うけど、どれがいいのか全然分かんない……わ?」
青年「ぎこちないわね……」
ナ『現在カフェで休憩中。青年はキャラメルマキアート(キャラメルの甘いシロップ追加)。少女は生クリームたっぷりのバニラフラペチーノです』
妹「お姉さま甘党ですわね!!」
青年「ちょっと怪しいわよ? そっちの生クリームこそ、私としては胸焼けがすると思うのだけれど……?」
妹「生クリームおいしいじゃ、ない!」
青年「脂肪分たっぷりだわ。太るわよ?」
妹「今全国の生クリーム好きを敵に回したわよお姉さん」
青年「今のスムーズだったわ。その調子ね。それと、しょうがないじゃない。太りやすいんだもの。気にしてるのよ?」
妹「……ほっそいお姉さんに言われても、むかつくだけだけどね!!」
青年「そういうならダイエットしなさいな。まぁ、太ってるようには見えないけれど?」
妹「そりゃおに……お姉さまに厳しい教育受けてますもの!?」
青年「酷いわ~こっちはあなたのためを思ってやっているのに……」
妹「……」しゅっ
ナ『少女は青年のカップを奪って飲みました』
妹「あまー……」
青年「ちょっと、お行儀悪いわよ?」
妹「こりゃ店員さんも引くわけね……」
青年「え、引かれてた……?」
妹「生クリームよりこっちの方が太りそうだよお姉さん?」
青年「……」
ナ『微妙な顔をして黙り込む青年でした……』




