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エブリデイ・オブ・魔国  作者: 盗賊
魔国Dark Side
52/66

魔国Dark Side  スナイパー⑨

 …~…~…

妹「ねぇ」

青年「ん?」

妹「どうしてお兄さんは笑ってるの?」

青年「それはね、自分の顔を隠すためだよ」

妹「どうしてお兄さんは泣いてるの?」

青年「それはね、辛いからだよ」

妹「どうしてお兄さんはお面被ってるの?」

青年「それはね、自分が傷つかないためさ。でも、あんまり意味ないかな」

妹「どうして?」

青年「君もいつかこうなるよ」

妹「なんで?」

青年「僕もね、最初は人殺すの怖かったよ」

妹「本当?」

青年「僕もね、元は売られて買われたんだよ」

妹「同じだね」

青年「うん。そうだね」

妹「じゃぁ、お兄さんは私の未来かな?」

青年「どうだろうね」

妹「教えて」

青年「知りたい?」

妹「うん」

青年「じゃぁ、教えてあげる」

妹「聞きたい」

青年「僕は君みたいに出て行ったりしなかった。外じゃ生きていけないことなんてわかってたからね」

妹「なんだ、同じじゃない」

青年「そうだね。僕は君みたいに無計画に飛び出す勇気なんて持ってなかった」

妹「褒めてないよね?」

青年「褒めてるよ? 無茶できるのは若い特権だ」

妹「……やっぱおz」

青年「え? なんか言った?」

妹「ごめんなさいなんでもないです話進めてください」

青年「わかったよ。……僕は自分から出て行かなかった。親に捨てられた。捕まった。売られた。嫌な扱い受けたよ。オトコなのにオンナみたいに、とかね」

妹「?」

青年「わからなくてもいいよ。わからない方がいいよ」

妹「なんで?」

青年「……おっきくなったら教えてあげる。それまで僕と君、両方生きてたら、だけど」

妹「生きるよ。生きてよ。私そのために銃とらされたんでしょ?」

青年「そうだね。できるだけ頑張ろうか」

妹「約束してよ」

青年「魔族の大半はできない約束なんてしないよ」

妹「そうなの?」

青年「約束は守らせる。単なる口約束だと思っても、相手はそう思っていないかもしれない。気を付けてね。うっかり口すべらすとどこまでもいい自己解釈するやつもいるからね」

妹「わかった。気を付ける」

青年「これは約束」

妹「がんばる」

青年「まぁ、いいか。それでね、僕は、買われたの、ボスに」

妹「あの偉そうで怖い人?」

青年「そうそう。本当怖いよ。下っ端だったら目線合わせただけで殴られたり、運悪ければ殺されることもあるからね」

妹「なんておーぼー」

青年「ふふっ、そう、そうなんだよ。でもね、僕にとっては命の恩人かな」

妹「あれが?」

青年「そんなこと言わないで。人間って、魔族嫌いも多いけど、あの人は魔族人間妖精、差別も区別もしなかった」

妹「それだけ聞くといいやつっぽいけど、どれもヒトとして見てなかったってオチじゃないよね?」

青年「すごいね、分かるんだ」

妹「……」

青年「あの人にとって、自分以外は道具だよ。あ、もしくはゴミ」

妹「さいてー」

青年「そうかもしれないけど、僕はあの人に買われて、いい扱いにかわったよ。あのまま、商品のままだったら僕は最悪の死に方したと思う。いや、今もろくな死に方はしないだろうけど」

妹「私はお兄さんがいなかったらミンチだったよ」

青年「それじゃぁ、君にとって僕が、僕にとってのボスかな?」

妹「お兄さんあいつより何倍もましだよ。変態だけど」ぼそっ

青年「最後にとってもいらない言葉が聞こえたけど気のせいだよね」

妹「そうじゃない?」

青年「でも、嬉しいね。僕の方がいいなんて」

妹「ましであっていいとは言ってないよお兄さん。もうぼけg」

青年「年寄り扱いしないでよね! まだぴっちぴちだよ!」

妹(それが年寄りくさい……)

青年「まぁ、ともかくね、ボスに拾われた僕は、同じ時期に買われたやつらより優秀だったんだよね」

妹(自分で言うのか……若干ドヤ顔なのがまた腹立つ……)

青年「普通に買われたやつらはね、まず使えるかどうか、区別するの。全員集めて、戦わせるんだ」

妹「それって、同期の人たちで、戦うってこと?」

青年「そう。そこで半分になったら、終了。その半分の奴で、使えそうなやつはキープ。運よく何にもならなかったやつはゴミ」

妹「……戦うって、殺し合いじゃないよね?」

青年「うん。違うよ」

妹「よかった……」

青年「でもね、武器は本物だよ。でね、初めてそんなの持ったようなやつばっかりでしょ? そうそうすぐには殺せない・戦わない」

妹「そうだね」

青年「だから、勝ったらちゃんとヒトとして扱ってやる、負けたら家畜のえさにする。そう言えば面白いほどみんな必死になるんだよね」

妹「悪趣味。なんでそんな楽しそうに言ってるの?」

青年「自分も必死だった。滑稽なほどだよ。しばらくして大きくなって余裕がある時に見たら、本当、虫みたいで馬鹿らしかった」

妹「その人たちは本気なのに」

青年「うん、知ってる。けどね、手を抜けば楽だよ。楽に死ねる。負けた人たちは、勝った人たちに殺されるんだ。ほら、早く殺せ? そうしたら試験は終了。はれてヒトの仲間入りだ」

妹「おぇ……」

青年「初めて人を殺すから、変なところにあたるけど、運が良ければすぐ死ねる。手本として、プロの暗殺者に殺されるやつもいる。そっちは本当一瞬だ」

妹「救いがないじゃない」

青年「ないよ。当たり前。こんなところにまで落ちてるんだよ? 救いの光なんて届かない、底辺のゴミ溜めだよ?」

妹「……」

青年「ヒトの仲間入りしても、それからは殺しの訓練。だんだん心は擦り減っていく」

妹「よくそれで命の恩人とか言えるね。憎んで憎んで、死ぬほど憎んでも足りなくない?」

青年「そう、なんだよ、そうなんだけどね……僕はもともと歪んでたのかもしれないね……」

妹「?」

青年「こほん……いつからか、感情が麻痺してきた。そうだ、って、自分で感じたことはないけれど、よくよく考えるとおかしいんだよね。笑うことしかできなくなってた」

妹「なんでそこで笑ってるの? 普通無表情とかじゃないの?」

青年「だよね。なんでだろう? 考えてみようか。人生楽しい方がいいじゃない? 笑ってればなんかいいことあるのかな? 楽しいって思いこんだ方が楽だからかな? どうしてだろう?」

妹「いや、こっちに聞かれても……」

青年「でもね、何でもいいよ。そう決めて、自分でそういうお面作って被せておいて。そうしたら、そうしたら、いつか馴染んで取れなくなるよ。素敵な仮面」

妹「不気味」

青年「そうかな? 本当に?」

妹「……」

青年「感情が見えなくなる。相手に弱みが見えなくなる。感情を押し込められる。痛む心を無視できる。仮面をかぶって演じてみれば、悪いことしてるのが僕じゃない別の誰かに変われるよ」

妹「かわれる? かわれてないよ?」

青年「そう思い込もう。僕の心は一歩離れたところから、客観的に物事を見るんだ。体を動かしているのはボスの命令と、それに従おうって思う一部の心だけ」

妹「たじゅうじんかく、みたい?」

青年「ある意味ではそうかもしれない」

妹「だから口調まで変わるの?」

青年「そっちの方が楽だよ。自分と自分じゃない誰か、はっきりできるだろう?」

妹「はっきりしないよ。どっちもお兄さんだよ」

青年「でも別々な方が楽だ」

妹「そういうもの?」

青年「そう。だからね、君も、辛いなら逃げちゃえばいい。心を分けて、痛いの全部押し付けちゃえばいい」

妹「無理だよ。どれも私だよ」

青年「でも苦しいよ」

妹「うん。辛いね」

青年「……ごめんね、って謝るのは簡単だけど、謝れないから言わないでおくね。その代り頑張ってって言おうかな」

妹「無責任な応援だね」

青年「でも、それくらいしか言えないや」

妹「無責任」

青年「うん。それが僕だよ。……じゃ、代わりに先輩から嬉しい助言でも」

妹「嬉しい助言?」

青年「傷つきたくないなら、仮面はとっても助かるよ。でもね、最初に言ったけど、あんまり意味ないんだ、これ」

妹「じゃぁどうして外さないの?」

青年「意味はないけどちゃんとしたお守りなんだ」

妹「気休め?」

青年「そうともいうのかな。でも、もう外せない。ここにいる人たちって、皆あんまり表情変えないんだ。どうしてかわかる?」

妹「分からない」

青年「心がね、壊れちゃうんだ。すり減って、無くなったりもする。それを認めたくない人は、こうして仮面をかぶって僕は大丈夫ってふるまう。他はもうそんな気力も残ってない」

妹「じゃぁ、お兄さんの心は壊れたの?」

青年「どうだろう。でも、すり減ってるのは確かかな」

妹「心ってなんだろう?」

青年「難しい質問だね。僕にはわからない。けど、けどね、大事なものだよ。無いと空っぽになっちゃう」

妹「そうだね。空っぽ」

青年「もしさ、そうだね、僕から君が解放されたとして、僕みたいな顔の人に会ったら絶対近づいちゃだめだよ? 心が壊れちゃってるかもしれないから。危ないよ。幸せに生きたいなら」

妹「どうしてそんな話するの? 解放があるの?」

青年「どうだろう。あぁ、じゃあ、約束してあげる。君が一人前になって、まず最初に僕の依頼を受けてもらおうかな。で、それが無事に達成されたら、君を解放してあげる」

妹「本当?」

青年「約束。ほら、小指だして」

妹「……変なところ子供だよね、お兄さんって」

青年「なんだよぉ、もう! じゃあ約束しなくていいの?」

妹「約束するよ! ゆーびきーりげんまーん」

青年「うそついたらこーろす♪ ゆびきーった」

妹「……歌詞が直接的だね……」

青年「針千本って数えるのめんどくさそうだしね」

妹「そこ?」

青年「ついでに針千本なのか、ハリセンボンなのか謎だしね」

妹「え、ハリセンボン!?」

青年「歌で音程も微妙にあるから、どっちが正解かなんてわからないよね」

妹「……」

青年「まぁ、とにかく約束したよ。その代り、ちゃんと依頼果たさないとダメだからね?」

妹「うん。約束ね!」

 …~…~…

青年「僕みたいな顔の人に会ったら絶対近づいちゃだめだよ?」

ス「え、それってきc((ry」

   ナ『なんも隠れてませんし、そんなこといったら……』

騎「え、呼んだぁ~?」

ス「Σ(○△○|||)!?」

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