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カラーコート  作者: 真紗
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公園×違和感=きっかけは突然に

さぁようやく少しドッジボールを出せそう、

実際に書いてみるとめちゃくちゃ大変だと感じます。

おばあちゃんのお好み焼き屋「山岡屋」に入ると、香ばしいソースの匂いが僕たち3人を包み込んだ。


「晴翔おかえり! みんなも来てくれて嬉しいねぇ」

おばあちゃんはにこやかに迎えてくれる。

「ただいま、ばぁちゃん! 豚玉W3つ!」

元気いっぱいに僕は、おばあちゃんに注文した。美桜と健太は顔を見合わせて笑う。何が可笑しい?、

おばあちゃんの豚玉Wは広島、いや日本最強のお好み焼きだぞ。


「晴翔、俺達はそんなに食べられない」

健太が呆れた声で言う、

「あはは、私も流石に無理かな、すいません、私はハーフでお願いします。」

美桜も苦笑い気味にハーフへの変更をばぁちゃんに頼んでた。

なんて事だ、、、本来ならトリプル位食べないと満足出来ない豚玉を、、、世も末なのかもしれない。

僕が愕然としている中、呆れながら手際よくおばあちゃんは僕達のお好み焼きを作り始めた。


熱々の鉄板の上で、キャベツが甘い香りを放ち、豚バラ肉がジュージューと音を立てる。僕たちはその様子を眺めながら、たわいもない話に花を咲かせた。

「そういえばさ、晴翔って、俺が給食のパンを落としそうになった時とか、ボールが急に飛んで来た時とか、反射的に手が出てない?」

健太がふと思い出したように言った。

「ん?、そうか?」

そう言われてもいまいちピンとこない。

「そうだよ! この間、体育館で先生がお手本で打ったアタックのボールを、晴翔が反射的にキャッチして先生がビックリしてたよ」

美桜も同意するように頷いた。

「いや、あれはたまたまだったって…」

僕は否定するが、美桜と健太は割と真剣に言ってくる。

「だけど、晴翔ってバレー自体は苦手だよな」

「健太!」

健太がそう言うと、美桜がすかさず健太をたしなめながら、肘で小突いた。

「あ、ごめんごめん! でもさ、苦手な競技はあっても、キャッチは上手いってことだよな!」

健太のフォローに、僕はまた少しだけ胸が軽くなるのを感じた。

熱々のお好み焼きを3人で頬張り、大満足で「山本屋」を後にした僕たちは、一度家に帰ってから、近くの公園で遊ぶことにした。


公園には、数人でドッジボールをしている中学生達がいた。遠巻きに眺めていてもわかるほど球は速く、音がしているんじゃ無いかと疑いたくなるほど、凄い回転をしているように見える。


「すごいな…」

僕は思わず呟いた。

「ハルト、もう少し近くで見るか?」

健太が僕に提案してくれるが、僕は首を横に振る。

「大丈夫この距離で十分だよ」

そう言うと僕は又中学生のお兄さん達に視線を戻す。

(あんな風にボールを投げられたら楽しいんだろうな、、、)

そんなふうに思ってると顔に出ていたのか、

はたまた口に出ていたのかは分からないが、

美桜が僕の隣に寄り添って、そっと言った。

「大丈夫だよ、晴翔。いつか晴翔だってあんな風に投げられるようになるよ」

美桜の優しさに、僕たちは少しムズ痒い感じがしながらしばらくブランコ等で3人で遊んだ


しばらく遊んで少し疲れた頃、健太はトイレに行ってくると言いトイレの方へと行ったので、美桜と2人で近くのベンチに座って休む、まだ中学生達はドッジボールを続けている、と言うか先程よりより速く、そしてより激しくなっているように見える。

「なんか私達の知ってるドッジボールとは違うね」

「ね、全然違うよね」

美桜の言う事は最もだと思った、僕達が普段、校庭等でしているドッジボールと比べると味方へのパスも、相手へボールをぶつける時も、一つ一つの動作が全て早く正確だ、

僕はまた、中学生達を眺めることにした。


(どうやったらあんなとんでもない回転の球になるんだ?)

お昼ご飯を食べた後という事もあり、のんびりと眺めながらそんな事を考えていた。


その時、一人のお兄さんが投げたボールが、滑ってしまったのか勢いよく僕たちのいる方向へ飛んできた。

「「危ない!」」

トイレの方から戻って来た健太と、ボールを投げたお兄さんの大きな声が重なる、美桜は突然の事に固まってしまい動けていない。


美桜が危ない!

そう思った時、僕は咄嗟に美桜の前に、身体をなんとか滑り込ませる、ボールは予想通り、いや予想よりも鋭い風切り音を出しながらこちらに向かってくる。

僕はこの時、体育の授業で先生のボールをたまたまキャッチした時の事を思い出していた。


たまたまそれてしまったアタックを胸辺りでキャッチ出来たが、、、苦しいし、痛い、、、

「山本!すまん!大丈夫か?って凄いな、、、俺のアタックを、、、」


痛みでうずくまっている僕を心配して背中をさすりながら先生は続ける。

「いいか?山本、ボールを取る時、胸の所でキャッチしようとると、取れない事の方が多いし、今みたいに痛い、」

本当にすまないと、再度言いながら先生は続ける。


「ボールをキャッチする時はお腹の辺りでボールを包み込むようにキャッチしてみろ、」

でも、その前に危ないと思ったら、避けても大丈夫だからな、本当にすまない、と先生は続けた


時間ににして数秒、そんな事を思っていた僕にボールが迫ってくる、

(お腹の辺りで包み込む!!)

その瞬間、お腹には想像以上の衝撃を一瞬感じた、

衝撃に驚いていると、なんとかボールは僕の腕の中にしっかりと収まっていた。


「晴翔!大丈夫か?」

「晴翔!!」

2人が慌てて僕に声をかけて来る、

「なっなんとか、」と返すのが僕は精一杯だった。

「ごめん!大丈夫??」

ボールを投げたお兄さんが慌てて駆け寄って僕を心配そうに見つめる。

「すまない、球がそれてしまった」

非常に申し訳なさそうに謝るお兄さんに僕は大丈夫ですと答えて、ボールを返す。


「やっぱり公園は危ないから辞めておこう」と別のお姉さんが言っている、

「あぁ」とお兄さんは言ってお兄さんは立ち上がる、

「本当にごめんね、だけど君、よく俺の球取ったね、自慢していいと思う」

お兄がそう言って立ち去っていく。


「晴翔本当に平気か?」

「大丈夫?」

2人が心配しているのをよそに、僕は身体の芯に残る衝撃に、お兄さん達をただ見つめることしかできなかった。


豚玉Wで足りない時は2枚食べましょう!!

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