下校時間×幼なじみ=お好み焼き
サクサク書けば少しはレベルアップするかな?
次回位でようやくドッジボールを出せそうかな?
新しいクラスでの自己紹介という、たった数分の、しかし永遠とも感じられる時間に、僕は早くチャイム鳴ってくれ!と願うしか無かった。
「山岡君?」
言葉に詰まって黙りこくっている僕に、先生が声をかけてくる。
運動神経が悪い。人よりも体が小さい。走るのが遅い。
そんなこと、得意なこととして言えるわけがない。
みんなの前で、僕は小さく縮こまる。クラスメイトたちの視線が痛い。
なんとか「食べる事です、、、」と消え入りそうな声で謎の回答して、自己紹介という、僕にとって地獄のような時間を終える事が出来た。
初日という事も有り、早い時間に比較的軽いランドセルを背負って昇降口を出る、軽い筈のランドセルは、自己紹介で疲れた僕には何故か重く感じた。
そんな時元気な声が僕を呼んだ。
「ハルト! こっちだよー!」
幼なじみの稲村 美桜と、木下 健太が、僕に手を振って靴箱を出た所で待ってくれていた。
「ハルト自己紹介、緊張してたねー!」と、屈託のない笑顔で美桜が言う。
「ミオ違うぞ、あれは緊張していたんじゃ無くて、言葉が出てこなくて困っている時のハルトだ」
「なんだよ、ケンタ! そういうこと言うなよ!」
「まぁいいじゃんか、 それもハルトらしさだろ?」と、ケンタは笑いながら僕の肩を叩いた。
僕は照れくさくて、少しだけ俯いてしまう。
「でもさ、ハルトってUFOキャッチャー上手いじゃん?俺達が取れない奴とかも割と簡単に取ってない?あれ得意なことって言えばよかったのに、」
ケンタの言葉に、ハッとする。
UFOキャッチャー。
確かに、僕はUFOキャッチャーで、狙った景品を割と簡単に取ることができる。それは運が良いだけだと思っていたけれど、得意なこととして言えなくはなかったかもしれない。
「なんで言わ無いんだろ?って思ってたけど、 思い浮かばなかった?」
「運が良いだけの事だけど、、、得意な事とも言えなくは無いのか…」
自信無さげな返事をする僕の顔を、美桜が覗き込んだ。
「ハルトの得意なこと、きっといつか、ハルト自身が胸を張って言える日が来るよ。だから、今は焦らなくてもいいんだからね」
美桜の優しくて温かい言葉に、僕の心は少しだけ軽くなった。
3人並んで、いつもの帰り道を歩く。
おばあちゃんの作ってくれるお好み焼きのいい匂いがしてきた。
「あ、美桜、健太、学校も早く終わって給食も無かったしおばあちゃんの店で、お好み焼きでも食べていかない?お家には今から電話すればいいし」
僕の提案に、美桜とケンタは「やったー!」
と大喜びで声を上げた。
得意な事と言われたけれど、イマイチピンと来てないし自信は無いけど、僕には、こうして一緒に笑ってくれる大切な仲間がいる。
しかしUFOキャッチャー、、、ね〜、本当に運が良いだけだからな〜、“アームを取れる位置に持って行ってボタンを離す“なんて誰でも出来るだろうし、そんな事を考えてたけどソースの焼ける匂いにつられて、僕は考えるのを止めて、ばぁちゃんのお店に入っていった。
この時は僕は気付きもしなかった、この得意なことは、ドッジボールというスポーツに出会うまで、誰にも知られることはなかった。そして、僕の人生が大きく動き出すきっかけが、すぐそこまで来ていたのだ。
お好み焼きは豚玉W ふわふわ系のお好み焼きはご飯のオカズに最高です。結論お好み焼きは最強