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カラーコート  作者: 真紗
18/73

仮入部×日曜日の朝=苦手?な自己紹介

夜勤ですが休憩時間に何とか仕上げられたのであげます、今日は2本、出せたらいいなぁ、、、

母さんの準備も終わり、さあ行くぞ、と二人で玄関を出た時だった。

「ピンポーン」

タイミングよくチャイムが鳴る。母さんと顔を見合わせ、二人で戸締まりをして玄関を開けると、そこには美桜と健太、そして二人のお母さんがいた。

「おはよう」

軽く挨拶を交わし、僕たちは学校の体育館へ向かう。

いつも登校で歩いている道だけど、日曜日の朝早くということもあって、雰囲気が全然違う。犬の散歩をしている人や、ジョギングをしている人。普段は見かけない人や景色が新鮮で、なんだか気分も明るくなる。

「二人とも、よく寝られた?」

何となく尋ねてみると、美桜は「準備だけして早めに寝たよ」と、健太は「……少しは」と答えた。

美桜も健太も相変わらずで、僕はなんだか安心した。

「そういう晴翔は寝られたのか?」

「眠れたかも気になるけど、筋肉痛は大丈夫なの?」

二人に立て続けに聞かれて、僕は胸を張って答える。

「コウネまで食べたから大丈夫!もう治ってる!」

すると、二人は「相変わらずで安心した」と言って、少し呆れたような顔をした。

なんでだ?僕が食べ物の話をした時、どうして二人はいつも呆れるんだろう?

そんな他愛のない会話を続けていると、学校が近づいてきた。登校の時と同じように、学校も鳥の鳴き声が聞こえるくらい静かだ。僕たちは体育館の方へと移動していく。

体育館の前には、すでにドッジボール部の皆が集まっていた。どうやらちょうど入り口を開けるタイミングだったらしい。僕たちに気づいた6年生のお兄さんが、

「おはようございます!」

と、はきはきとした声で挨拶をしてくれた。それに続くように、他の部員たちからも次々と「おはようございます!」と挨拶が飛んでくる。

僕たちが少し気圧されていると、後ろから「おはよう」と穏やかな声が聞こえてきた。

振り返ると、山本さんがいた。

僕たちも「おはようございます!」と挨拶を返す。

「今日は来てくれてありがとう。まずは体育館に入って準備をしようか」

山本さんの言葉に、体育館の入り口が開かれた。選手たち、そして保護者の人たちが順番に入っていく。

僕たちもそれに続いて入ろうとした時、健太が感心したように声を上げた。

「晴翔、すげえな。靴が綺麗に揃えられてる」

確かに、体育館の入り口の端の方に、選手も保護者の靴も含めて、ピシッと綺麗に並べられている。

部員たちの気持ちの入り方が伝わってくるような光景に、僕たちは思わず背筋を伸ばした。

こういう細かいところから、良いチームの空気は作られていくのかもしれない。僕たちもそれに倣って、靴を揃えて上履きに履き替えてから体育館の中へと入った。


体育館に入ると、授業で見慣れた風景に少しホッとする。

選手達がボールが沢山入ったコロ付きの入れ物を倉庫から出したり、保護者の人が大きいタイマーを用具入れから出したりと慌ただしく動いていた、普段は開いていないから見られないけど、用具入れの中には過去の試合の写真やトロフィーが飾られていて、このチームの歴史を感じた。

事前に話を聞いていたのだろう、琉惺くんが僕たちに「荷物はあっちにまとめて置くから後で一緒に行こう、水筒は出してステージ上に並べておくんだ、」と教えてくれた。

言われた通りに準備を終え、選手が整列するのに合わせて僕たちも一緒に並ぶ。


前に立った山本さんは改めて皆に挨拶をした後、僕たち3人を呼んだ。

「山岡晴翔君、稲村美桜さん、木下健太君。前に出てきてくれ」

呼ばれた僕たちは、緊張しながらも前に出る。周りの視線が突き刺さるようで、心臓がバクバクする。

「さて、挨拶もしただろうからみんな知ってるとは思うけど、今日から仮入部する子達が居ます」

山本さんの言葉に、チームの皆がじっと僕たちを見つめる。

「軽く自己紹介を頼めるかな?名前だけでいいから」

この言葉に、僕は心底ホッとした。得意なことも苦手なことも言わなくていい。ただ、名前を言うだけでいいんだ。

「山岡晴翔です!」

まずは僕が声を張り上げる。少し震えてしまったけど、ちゃんと聞こえただろうか。

「稲村美桜です!」

美桜はいつもの明るい笑顔で、はっきりと自己紹介をした。

「木下健太です!」

健太は少し緊張しているようだけど、堂々としていた。

名前だけの自己紹介に安堵している僕に、山本さん…いや、山本監督がこう言った。


「ようこそ、庚午コスモドリフターズへ!」

その言葉に続いて、チーム全員が一斉に拍手をしてくれた。温かくて力強い拍手に包まれて、僕の心臓のバクバクは、少しずつ高揚感に変わっていった。

いよいよ、あの日の取れなかったボールの続きが始まるんだ、そう思う、けど今度はひとりじゃない、いつもの3人で、僕達が当たり前に過ごしていた時間にドッジボールという新しい日常が加わった。

コウネは作者も好きです、後は牛タン、でも普段は鶏胸肉、、、仕方ないね、筋肉は鶏胸肉だからね。異論は認めない。

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