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カラーコート  作者: 真紗
16/72

夜×過去の回想=吉報はコーヒと共に

300pvも頂いたのに流石に練習作品だからといって更新しないのも違うな、と思ったので遅いですが投下、こんな読みにくい作品を読んで下さってありがとうございます。

仕事がちょいと忙しくなってきたので1日1回になるかもしれません、ご容赦ください。

~side山本~

夜も更け、夕食やお風呂を済ませた私は、自室で鍼灸に関する新しい専門書を読んでいた。鍼灸師として開業して随分と経つが、知識の更新は怠らないようにしている。

(もう一度あの時のようになったら、次は立ち上がれないだろうしな…)

ふと、マウンド上でのあの悪夢が脳裏に蘇る。完璧に打ち取ったと思ったあの球。今思えば、あの時の慢心が事故につながってしまったのだと分かるが、当時はそんなことを考える余裕はなかった。結局、あの1件で私は引退。野球一筋だった私にとって、それは青天の霹靂だった。幼い息子と妻を路頭に迷わせるわけにはいかない。そう思い、必死に何かできることを探した。

結局、妻の地元であるここ広島にお世話になることになった。幸い、現役時代から贅沢をするような性格ではなく、妻に財布を任せていたので、生活はなんとかなった。それから4年、死に物狂いで勉強し、私は鍼灸師の資格を取り、今に至る。

悪い方へと考えてしまいそうになる頭を「過去のことだ」と首を振り、私は再び本に目を落とした。一段落した頃、妻が淹れてくれた温かいコーヒーを手に、一息つく。そして、今日のドッジボールの練習での反省点や改善点を忘れないよう、PCを起動して入力し始めた。

(思えば、ただの保護者から随分と遠くに来てしまったな)

私はひとりごちる。鍼灸師として働き始めてようやく安定してきた頃、息子の優吾が突然「ドッジボールをやりたい」と言い出した。私は当然、公園でするドッジボールだと思い、「じゃあ、公園に行くか?」と聞いたが、「違う」と言われ、戸惑ったのを昨日のことのように覚えている。そして、出会った競技としてのドッジボール。私が知っている公園や学校の昼休みにするドッジボールとは、もはや別のスポーツと言っても過言ではないほど激しいものだった。結局、優吾はドッジボール部に入り、親子で二人三脚の日々が始まった。そして4年後の夏、優吾は憧れのカラーコートに立ってみせた。


カラーコート


年に2回、春と夏に開催されるドッジボールの全国大会のこと。全国大会以外でこのコートでプレーすることはない。小学生ドッジボーラー憧れの舞台だ。

そんな大舞台に、広島代表として立った息子を見て、私は心から感動した。その後すぐに私は指導者として誘われ、現在に至る。指導者になって早3年弱、いまだに選手たちをカラーコートに立たせてあげられていない。

「今年こそは…」

ドッジボールのことを考えていたからだろうか、思わずそんな言葉が口から漏れた。今年の6年生は入部者が多かった年で、12人しっかりメンバーが揃っている。小学生の学年差は、大人たちの比ではない。それほどまでに成長期の子供の成長速度は速い。何より12人全員のモチベーションも高く、先日隣県で行われた大会では優勝を果たすこともできた。

(彼らのポテンシャルを100%引き出してあげられれば、必ず行けるはず)

そう思いながらも、あるチームの彼のことが私の心に一抹の不安をよぎらせる。(今までプロ野球選手を含め、色々な選手を見てきたが、その中でも彼の才能は突出している…)野球など比較的メジャーなスポーツであれば、小学生でもプロユースなど上のステージが用意されているから、そちらに行けばいい。しかし、ドッジボールはマイナーな競技だ。日本代表はあるが、プロというものはない。故に、あのような怪物が普通に地域のチームにいたりする。

(それもまた運命か…)

偉く大それた考えだと、少し自嘲気味に笑っていると、部専用の携帯が震えた。(ん?メッセージか?)考えていたことを一旦脇に置き、私はメッセージの内容を確認する。確認した後、私は自室で静かにガッツポーズをした。先程まで考えていた一抹の不安なんて消し飛ぶほど嬉しいメッセージだった。画面には**「体験入部について」**というタイトルが踊っていた。


コーヒーはブラック派、疲れた時はMAXコーヒー、異論は認める。

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