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カラーコート  作者: 真紗
15/73

お好み焼き×コウネ=入部の味

仕事トラブルでこの時間、寝ないと倒れてしまいそうなので、とりあえず一本、あげます寝ます。


気まづく終わった会話なんか無かったかのように空には、雲一つなく、初夏を思わせるような強い日差しが降り注いでいた。

ドッジボールの見学を終えたばかりの私達は、二人で並んで歩いていた。

体育館を出てから、ずっと無言だったが、その沈黙は決して重苦しいものではなかった。ただ、

今日一日でたくさんのことを感じ、考え、頭の中で整理している時間だった。

あのお喋りなお調子者の健太が静かなのだ、きっと健太もそうなのだろう。

ぽつり、と先に口を開いたのは健太だった。


「なぁ美桜、お前はどうするんだ?」

「どうするって、何が?」

「ドッジボール部、入るか…だよ」

「私は入りたい」と即答した。

「だって、晴翔が私達を信じてくれたように、私達も晴翔を信じて、一緒にやりたいもん」

その言葉に、健太は照れくさそうに頭をかいた。

「だよな…俺もそう思ってたんだ。でも、どうやって親に話そうかなって…」

健太は視線を足元に落とし、小石を蹴りながら続けた。

「俺、何故かドッジボールが苦手でさ、絶対心配されると思うんだ。それに、今まで習い事やりたいなんて言った事ないのに、急に『ドッジボール部に入る』なんて言ったら、反対はされないだろうけど、間違いなく色々言われるだろうし、、、」

「私もだよ。うちは両親2人とも、運動はそんなに得意じゃないし。ましてや、ドッジボールなんて、危ないからって体育の授業以外で今までやらせてもらえなかったし…」

二人の間に、再び沈黙が訪れる。ドッジボール部に入りたい、やってみたいという想いは固まったものの、それを両親に伝えるとなると少し躊躇ってしまう私達がいた。

私は、立ち止まって深呼吸を1度した。

そして

「ウジウジしない、悪い方に考えてしまいそうな時、そんな時は、」

「「お腹いっぱいお好み焼きを食べる」」

私と健太の声が重なる。

健太は顔を上げ、空を見上げている。強い日差しが、健太と私の顔をまっすぐに照らす。


「よし、決めた!今日、晴翔のおばあちゃん家のお好み焼き屋さんに連れて行ってもらおう!みんなでお好み焼きを食べながら話してみよう!」

私は覚悟を決めて言った

健太は、少し不安そうな顔をしながらも、「俺もそうする。もしもの時は、お互い助け合おうな!」と言っていた、自分ではああ言っているが、健太のコミユニケーション能力は指折りだ、助けてもらうのは私になるかもしれない。

そうと決まれば善は急げ、私達はそれぞれの家路を急ぐ事にした。


~side晴翔~

「まだ身体が痛い…」

昨日の事が原因なのは分かるが、いくらなんでも普通こんなに痛くなるか?

普段からあまり体を動かしていないとはいえ、僕はたいして動いていないのにプルプルしていた脚を擦りながら誓う、

「もう少しだけ外で遊ぼう…」

辺りも徐々に暗くなり始めた夕暮れ時、

誰もいない部屋で1人ごちているとお腹が大きな音を立てて鳴った。

「そしてたいして動いていないのにお腹は空くと、、、」

今日は殆どの時間をベッドの上で過ごしているにも関わらず、お腹が空くのは、人体の不思議だと思う。

「筋肉痛には豚玉Wとコウネだな、」

完全食として完成されたお好み焼きと、コウネを食べるのだコレで治らないものは無いね!!

そうと決まれば即行動、

昨日のキャッチで、全身が筋肉痛になって先程まで苦しんでいた晴翔、おばあちゃん家にお好み焼きを食べに行くと決めた途端そそくさとベッドから降りさっさと着替え始める。

お前動けるやないかい!!

きっとさっきまでの晴翔を見ている人が居れば、そう思ったに違いない。

そうこうしてるうちに着替え終わった晴翔はそろそろ料理を始めるであろう母親を説得する為に部屋を出ていった。


母親並びに父親の説得に成功した僕は山岡屋の前に来ていた、

「晴翔、もう身体は大丈夫なの?」

お母さんは少し心配そうに聞いてくるが僕は「平気、流石に朝よりは楽になったよ。」

と答えながらソースのいい匂いが漂う店の中に足を踏み入れていく。

すると僕が見慣れた人達が座敷の方に座って居るのが目に入った、

「美桜、それに健太も、今日は家族でお好み焼き食べに来てくれたの?」と聞くと

2人とも「あぁ」「えぇ」と答えてくれるそして「「もう身体は大丈夫なの?か?」」

と美桜と健太は、僕の方に来て、心配そうに声をかてくれた。

「まだ少し痛いけど、もう大丈夫だよ心配してくれてありがとう」

僕はは、少しだけ気恥ずかしくて、小さい声でそう言った。

美桜と健太の両親にも挨拶をして「一緒に食べて良いか?」と聞くと快くOKしてくれたので3人で並んで仲良く座る、少し座る時まだプルプルしていると。

健太の父親が、そんな僕の姿を見て、「おいおい、晴翔。そんなに無理するなよ」と優しく声をかけてくれた。

お好み焼きを待っている間他愛無い話をしていると美桜が突然両親に向き直り話し始めた。

「あのね、お父さん、お母さん。今日、私と健太、ドッジボールの練習を見学に行ったじゃない?。それで、私、ドッジボール部に入りたいんだ」

そんな事を美桜は、力強く両親に訴えた。健太も、美桜の言葉に続いて、両親へと話始める。

「俺も、ドッジボールをやりたい!少し苦手では有るけど、それでもやってみたい!」

両親は、二人の真剣な表情を見て、静かに考えていた。

その時、おばあちゃんが、熱々のお好み焼きをテーブルに並べた。

「さァ、焼けたよ。熱いから気をつけながら食べてね。」

美桜、健太、僕の前に手際よくお好み焼きを並べて行き、ばあちゃんは焼いている鉄板の方へ戻って行く、待って、2人ともお好み焼き小さくない?えっ?俺いつも言ってるよね?Wを食えって。

そんな僕の雰囲気を感じたのか2人は「とりあえず食べよっか?」と慌てて言い始めた、

まぁいい、、、大事な話の途中みたいだし、お好み焼きのサイズと夕食の因果関係の話はまた今度にしよう。そう固く決意して

座敷の自分たちの鉄板付きのテーブルの前に並べられたお好み焼きを、三人で頬張った。

「うまっ…!」

僕は、お好み焼きを一口食べ、そう笑った。

その笑顔を見て、両親も笑っている、そして僕に「晴翔もドッジボールやりたいのか?」

と聞いてきた、僕はお好み焼きモードだった事も有り非常に軽くそしてシンプルに「うん、入って頑張りたい」とだけ答えて目の前の小山を端から徐々に食べ進める作業に戻る。

そんな様子を見ていた健太と美桜の家族も先程までの少しピリっとした空気は霧散して

「わかったよ。そこまで言うなら、3人の好きにしなさい。ただし、怪我には気をつけてね」

美桜の父親が、少し照れくさそうに言った。

「お父さん、お母さんありがとう!」

美桜は、両親に深々と頭を下げた。

健太の父親も、「俺たちも、お前たちのことを信じてるからな」と、優しく言った。

「ありがとう…」

健太は、そう言って、お好み焼きを頬張った。だから健太お好み焼き小さくない?ムード台無しだよ?なんでWじゃ無いのよ?ねぇ?そんな事を思っていた。

僕は、一心不乱にお好み焼き食べ進める。

「やっぱり、筋肉痛には豚玉Wこれにコウネを食べれば完璧だね」

そんな事事を言っていると、2人はやれやれ、と言った感じて笑っていた、だけど2人ともいい笑顔だったそして勿論僕も、

きっと今日食べたお好み焼きの味を僕達は忘れないだろう、それはこれから始まるドッジボールへの期待と少しの不安が入り交じった、そんな味だった。

さぁ覚悟は決まった、後は動くだけだ、そんな決意をしつつ、届いたコウネに舌鼓をうつのだった。

コウネ刺し、、、好きだったけど食べられるお店がほぼ無くなってしまいました、、、

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