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【第一章:絶体絶“命令”都市】 ー幕間ー
仄暗い空間に、男の声が響いていた。
「──あァ、問題ない……あの“ガキ”はこの神殿の地下に閉じ込めてる……」
誰かと話しているような口振りではあるが、しかし男の周りには誰も居なかった。
玉座のような、大きな石造りの腰掛けにだらりと身体を預け、宙空を見ながら声を発していた。
「アー……大丈夫だよ……ヤツの“お友達”は“命令”で俺の手の内だァ……あァ、全て上手くいってる……」
そこまで言って、男は身を起こした。
「あァ……“アンタ”の言う通りだったよ……あの“ガキ”と“お友達”……本当に来やがった──」
男の繰り言は、空虚な響きで続く。
「あァ、そうだなァ……あとはあの“ガキ”を殺す……だけだァ──」
男は玉座から立ち上がり、ニヤリと笑った。
「まァ見てなよ……“ディレクタス”……楽しい“配信”の始まりだァ──」
そう虚空に向けて言い放った男は、高笑いと共に暗がりへと消えて行った──