#1≪邂逅の歴史と激動≫
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是非最後までお付き合いください!
25××年、世界最大国家であるローズ連邦は過去に例を見ない危機に瀕していた。
事の発端は何百年も昔の話である。
______遥か前、世界は未知との邂逅を果たしてしまった。
人々は、各々の瞳に映る光景を目の当たりにし、絶句した。
古から伝わる伝説。【何処か静かな森には、吸血鬼が眠る】、と。
人々はこの伝説を基に物語を構想したり、音に乗せて軽快な歌を唄ったりした。
それが実在するものだと解ってしまう前までは。
2000年を過ぎると、ローズ連邦では様々な技術が発達した。
他国から高度な魔法技術、航空技術が伝わり、それらの最先端の技術は何時しかこの国に集うようになった。それから間もなくローズ連邦は世界の中心となった。
そしてローズ連邦は更なる発展を目指し、過疎地や森林地帯の都市開発を掲げた。
そんな最中、とある森で不可解な光景を目撃された。
人類が地を踏んでいないような森の奥深くに、小さな町と城がぽつんと佇んでいるのが発見されたのだ。慌てて政府はその地を調査すべく、ありとあらゆる分野の選りすぐりの学者や政府関係者、記者等を派遣した。
そして彼らは様々な疑問を孕むこの町の住民に接触をすることに成功した。
その中の一人であるとある政府の関係者は、こんな手記を遺している。
『深い深い森を切り抜けた先には、我々とは圧倒的に違う人類が生活を営んでいた。500年生きることが可能な上に、異常なまでの犬歯の発達。またその族は鹿の血を栄養源としていた。
私どもはその異様な光景を呆然と眺める裏で、伝説の存在であった吸血鬼の存在を裏付ける決定的な証拠をこの瞳に焼き付けられている現状を素直に受け入れてしまったのである。
それは彼らの行動一つ一つに、圧倒されるほどの神聖さを感じたからだ。
この文章を読む限りは野蛮な民族としか受け取れないだろう。無論これを記している私でさえ文脈だけで読み取ればそのように感じてしまう(中略)。
本当の神聖とは、形がないからこそ、そこに圧倒されるような神秘や敬意を感じる取ることができるのであろう。』
其の集落の人類とは、まさしく『吸血鬼』であった。
思いのほか彼らは友好的だったために、連邦は一転、吸血鬼との共存を掲げた。
しかし他国にその情報が伝われば一触即発は免れないだろうと判断した政府は「外交的な問題」という曖昧な口実をでっち上げ、鎖国政策に打って出た。
鎖国後は人類と吸血鬼の共存政策が身を結び、この邂逅の森を中心に華やかに栄えた。
そんな中当時の国王は、この都市を首都とし、こう名付けた。
【ウェイスト・バスケット】。
国王は遠く彼方の星の言語と付け加えた。国民は揃ってその響きを大変気に入るとともに、新たな都市の誕生を心から喜んだ。
そうして500年の月日が流れたある日、ローズ連邦に大激震が走る。
この国に誰かがスパイとして忍び込んだのかは解らないが、コスモス王国はローズ連邦に対し、『今のローズ連邦は過去に我々が伝承した文化や技術を私物化し、発展させたものであるため、我々はその技術を共有する権利がある。よってローズ連邦の鎖国政策の一切の放棄を求める。提案に応じなかった場合は武力を以て侵攻する。』という声明を発表したが、ローズは徹底的に対抗する姿勢を示し、コスモスに対し宣戦布告をした_______
ウェイストバスケットを象徴する巨大な城の屋上で、ローズの女王であるシアターは我が国を俯瞰し、静かにため息をついた。視認はできないが、微かに聞こえる爆撃音がそのため息をより一層重いものにする。数秒の時を経て彼女は隣に棒立つ紳士に向かって一言。
「戦争をするというあなたが勧めた提案は、本当に正しいものなのね?」
「えぇ、もちろん。シアター様は私の言うことが信じられないのですか?」
その白髪の紳士は柔らかな口調でそう答えた。
「いえ………信じるわ。」
女王の言葉に微笑んだ紳士は、彼女に一礼し、その場を後にした。
無邪気な夏の太陽と爽やかな風に包まれ独りになったシアターは口を零した。
「私は本当は、戦いたくなんてない………………。」
そんな脆い言葉はすぐさま風に吹かれ、誰にも知られず消えていった。
ウェイストバスケット(Waste basket)【訳:屑籠】
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