ムー大陸
通る知り合いがいたら、「エンブリオのもの、くっそ気持ち悪い表情してんな」と思ったかもしれないけれど
一応おれは、場所と時を考える男であり
そこはみんなが自分の書物だけで世界のストレスが100%に至っている「火の堂」の図書室だ。誰もおれの顔なんか見ない。(魔術的に見ることが難しい)
そしてすぐ、無になったおれの顔とその心に浮かんだのは、明らかに古代ギリシャより前の
なにかの幻想
「灰色の呪い」になった時の記憶だった。
言うまでも無いが、ドルイドさんの太ももが固かったり柔らかかったりした記憶と繋がっていたのだ。
あの記憶ね。
それは本当にどんな状況で、誰の視点で見た光景なのか。混ざっている。
一応「非凡の姉ちゃん」が見えて、その人は視線の家族みたい。
そして順番は曖昧だけどすげえ戦いの痕跡があって、世界が金色に満ちていて。
なんかドルイドみたいな人の言葉と、視線は、そうだな。おれは「深紅の悪魔」だった。その記憶だ。
もちろん魔術に慣れてない読者が見ると、慣れてる読者が見ても一部は「こいつ8歳の反応ではないな。冷静すぎんか?あの、叙述がおかしいんです」と思うかもしれないけれど、いちおう ここは魔術ギルドで おれはそこの特例なんだ。(その特例が多すぎるところを言われると、まあ、そうですが!)
幻想魔術なんて知ってるわ。
「幻想」は、属性を持たない様に思えるけど、なんか働くけど、「四属性ではないから禁ずる」ことにするには利便すぎる
そんな特殊な魔術のひとつである。先絵と言葉と共に、一般的な呪文と違って、「エーテルがなって欲しい目的性」ではなくて、「対象が感じて欲しいもの」の考えを、心で強く思うのが大事だ。
そして、仕草で対象の注意を引くことも。
まあとりあえずそんなファンタジアを当てると、夢みたいなものが見えたり、聞こえたり、感じたりするので、存在しない記憶が生えたり、勝手に何かを喋ったりするので、
普段「ちょっと内緒の話を聞く」とか「面倒くさい所を通る」とかに使われる術で、
もしドルイドだけが社会を運営するという謎々の理想郷、「賢者の国」くらいになると
「そういう非道徳的な術で手に入れた情報を使う事や戦闘の活用はちょっとあれだ」みたいな法律があったかもしれないけれど
まあ、現代社会は冷酷なのだ。幻想の専門もいるくらいで。
順番を並べると「火」の次に幻想の専門が来るくらいである。
おれはその授業も聞いてなくて、本も読めなくて、実はファンタジアの魔法陣も見たことがないが、
その触媒と仕組みもこれ以上詳しくないが、
騎士小説で主人公が幻想魔術にかけられて大変になろうとする所を仲間が来てくれて突破するとか
そんなシーンを読みながら、これに抵抗するためにはどうするべきか?偽りの記憶と自分のものの区分はどうするべきか?などをいっぱい考えたので、先も言った「深海の記憶」も普通に推測しながら思っているのだ。
ふん。
果たして、それがムー大陸なんだろうか。
そう、ドルイドさんとどの話をどんな感じでやったか、ちょっと曖昧であるが(彼女の破綻した会話は、聞く人にめっちゃ「どこ喋ってたっけ」にする、「眠いな」にする面妖な特性があるのだ。というか、それはいつもおれが聞いてる言葉なのに、おれがそんな評価を他人に下る時が来るとは。相当のものだ)
「賢者の国」の話はあったという事で
「ドルイドの国」の話と、「深紅の悪魔の記憶」と「人ではない体」と「エーテルを直接吸収してた」などを見てたな。
うん。
あれだ。おれの記憶は「ムー大陸のものと、ムー大陸に滞在してた深紅の悪魔と「賢者」の記憶の混ざり」である、
そして、そのものの記憶の混ざりそのものが「灰色の呪い」なんだね。
ムー大陸は、以前からのおれの仮説とも合う。あの「金色の痕跡」を見るに、爆発寸前の巨大な力の方向を覚えると、国全体がそのすぐ、空に飛んじゃったのであろう。
それが上手く収まるのはあまりにも難しい。現実的では無いのだ。
❶そのエーテルをぜんぶ誰かが飲み込むか❷ぜんぶ上手く空に溶けて、どっかに行くか❸ぜんぶのエーテルを安定させて封じる、この三択だ。
どっちも、まあ、「轟のラファエル」はおろか(すみません、ギルド長)教授たちも揃って、ちからを合わせたとしてもできない質量だ。




