方向が分かる魔術
「まあ、これは225000年間飼い主やって、75000年間信者になったわたしの勝手だ。
そいうはもう死んだのだ。本当に大丈夫だから」
「再現度が高いわ」
つまり、「わいの端末である「白神女」の複製」というものの性質だ。
神様の権限と力で、再現が完璧すぎる。でも本人ではない。でも、本人とそっくりすぎて、元カノとしてちゃんとヤキモチする。
ちゃんと本心で、ちゃんと無視していい。
「こういう全てが宝物なんです、神様」
「そうだ」
白髪の女は両手を広げて馴れ馴れしく笑う。
「茶番はここでいったん締めて、出てきた用事をしますか」
「そうだった。わが充実な端末よ、頼むぞ」
「ええ」
今は、わいは「おうしさん」として75000年間歩いた経験と違いすぎるから
人の子として過ごしたのがそんなに長くなかったから、歩くことに慣れてない。
慣れて無くて、眼も違って、鼻も違って、耳も、尻尾も、羽も、角も違う。
「いや、羽ないやん、牛になんの羽だ」
「「風」の神様に何を言う」
わいは右腕を上げて、綺麗に翼になってる、羽を見せる。
「なんと神々しい」
「まままま」
訳ありで、わいは実はこの星のだいたいの平凡の生き物に変身できるくなっており、それはネズミ、うし、虎、うさぎ、蛇、辰、馬、ひつじ、猿鳥戌亥などを選ばない。
「ムー大陸にはほぼ全部の種を集めたもんね。一応の「保管所」だったのに」
「その生きた保管所が わいだから、散っていた命もちょっとは救われたんじゃないか」
「邪神の勝手だ」
「にゃはは」
ぜんぜん話が進まなかった。
「そうだな。あれね、「ムー大陸」は昼と夜が曖昧な、曖昧故郷だったけど
ここは西ヨーロッパのイタリア半島だからな。太陽がちゃんと上がって暮れる」
「うんうん」
「その時期、神様はただ「にゃはは」言うだけだったし、たぶんこの説明、「牛」の姿の時になってから130回くらいしたと思うけど、定期的に言わないと不安になるのは平凡のものも非凡のものも同じだ」
「そうだね」
ぶにゅぶにゅの神様も同じだ。
「要すると、日差しが太い方向を向けて、樹木はデカくなるんだよな」
「そうなんだ」
確かにエサが多い方向を向ける。それが「焔」の傾向だ。
「そうだぞ。それが四方の基準だ。「東西南北」」
「ああ、ピカピカする奴」
「それが「西」ね。
ともかく、これからは「ドルイドの呪術」ではなくて「古代魔術「木」」の話になるけど、その成長も冬は縮んで、夏は盛れるから、季節によって樹木がデカくなる密度が違う」
「100%理解した」
「サンプルを用意しましょう」
そして彼女は、わいの端末は、「風」のちからを借りて、ひょいひょい、とデカい木を切った。
いや、切ったけど斬られてない。
「保存型・断面取りだな」
そう言って彼女は、木からパピルスを一枚引いた。
「器用だな」
「緑の賢者はこれくらいできるのだ
さあ、もとの方向を維持しましょう。
こっちが明らかにあざが太い。そして、もしこの土地が南半球だったら反対だけど、ここが北半球なら、こちらが南ね。」
「ふむふむ」
「そしてここからは「白神女の知識」だ。
何回も来たことがあるから、周りにフィレンツェがあってピサがあってあれこれ。
あの「斜めの塔」覚えてるか」
「それは覚えてるね」
「そそ、ここはそこの近所なんだ」
「まあ、方向は分かったとして、結局「ここがどこか」はわからないもんだな、「魔術」って」
「それはそう。記録して記憶して地図書いた方が一番なのだ」
「せやろか?」
「方向をわかる術は他にも色々ある
「風」なら風そのものだから、方向を読み取る術もあるし、
平凡のものに変身して、そのマグネットの性質で方向をわかったり
ふつうの平凡の魔力素質ある子が使う「時計」もある
いろいろできるけど、「木」じゃこれが精一杯。
そして、場所だが、いつでもどこでも地図を見ずにここの位置がわかるのはただ情報量が多いのだ。凄く多い」
「うん、情報量がいっぱいなのはそんなに欲しくない。面白くないもんな」
「そうだろう。旅はゆっくりとしたくらいがちょうどいいのだ
とにかく、まず南方向に行った方がいいと申す」
「よかろう、ならわいは牛になろう」
「いや、その時代もう終わったって」
最後のくだりはボケです。漫才に挑戦してます。




