でも神獣など実存するか?
今日中にはフィレンツェに辿り着きたい。もう歩き始めてから二日目なのだ。
日が暮れる前には都市が見えたらいいな、と思いながら一生懸命に歩く、わたしは桜のドルイド、ステラ・ロサだ。
そして、歩くものの友たちは、いつも、どうでもいい話てある。今の話題は「白神女の神獣」だ。
それがそんなにどうでもいい話かは、わからないけれど、まあ、逆の逆の逆にね、世界に居る事前提で、同然の存在で、珍しいものの話だから、それは普通の日常を過ごす人にとっては非常にどうでもいい話でもある。
「神獣ね、ぶにゅぶにゅの神様の変身では無いとしても、ただの牛では無いのは確かだ」
「ふむ」
「白神女のいつもの旅は、その獣が共にしたのです。白くてめっちゃデカくて、傷一つもなくて神々しい。頭良さそうな牛さんの話を聞いて、わたしは人の子の、「クララ」の時に「うちらの牛さんとはぜんぜん違う」とか思った」
「平凡のものの間を比べるのはあまり喜ばしい行為では無かろう」
「ええ、それは非凡のものも同じですが。それ言ったの確かにわたしの7才あたりだったので、仕方ないのです」
「それはそう」
「村の牛さんはめっちゃ痩せた。だからわたしはわたしの手当てをしてくれるドルイドのばあちゃんに、「へー、では基本的にあんな感じですか」と言ったんだけど、「あれの10倍くらいあるね」とか言ったのです」
「ドルイドも最悪やん。ぜんぜん子供の模範に、学びにならんわ」
「まあ、それくらい普通です」
「それはそう」
わたしの母は、どこの国の貴族の婦人がなんか病気で死んだとか、謀反の罪で捕まえたものが広場で焼かれたとか、そんな話題大好きで。ものを比べるくらい息の様に吸って吐く。そう、人はそれぞれの性格を持つのね。そしてドルイドのばあちゃんは優しかったよ。
「だからわたしは「その牛さん、一回見てみてえなー」とか、考えたんですよね。わたしは基本的に白い子として生まれて、しかも、その中でも体が弱いらしいので。白神女がうちの村に来ない以上、それは叶わない夢だったけど、ちょっとは見たかったんですよね」
「そう」
「そして、「牛さん」の事をずっと考えて、色々の戯言を思いついた。人の話は一つを入れたら、雨の季節のきのこみたいに勝手に増えるものだから」
「普通はそうならん」
「うそ」
「いい事だ、一応非凡の体に混ざった以上、それはおまえにとって取り柄だ」
「そうですか。自分、その話題は母に否定されたのがちょっと子供の頃のショックだったんで、自分のアイデンティティの否定で厳しかったんで。今も怯んでしまうのです。トラウマスイッチというものね。
ともかく、「牛さん」の話を勝手に増やす結果、「森の姫様」の話にもちょっと繋がることになったのです」
「それはどういうことだ?」
「今はわたしも記憶が曖昧で覚えてませんが、とりあえず「牛さんの話題がなかったら、「森の姫様」もなかった」という事です」
「それは同然だろう。みんな「絶対結果」でそうだろ」
「あぶそりざるとってなんですか」
「ただ時間がすぎる事だ」
「当たり前のことカッコつけないでください」
「いや、型物理性の理は、カッコつけたやつが勝つもんだから」




