正月の1日は特になんも無ェえ
因みにここは周りの聖堂の付近だ。
サンタなんとかであって、多分有名なところだけど、
おれは理系なので、そんなに聖堂や教会に詳しくない。
周りは薄々夜明けが近づいている。時間が結構経ったようで、
「あの…まだ整理ができてないけど」
「うん」
「助けてくれてありがとうございました」
「宜しい」
おれは感謝の礼をして、ドルイドさんは笑った。
「それでですが、おれ、ずっと裸のままだし
家が近いので、一旦戻りたい、です」
そして流石にずっと裸のままじゃ困る。
「そうだな…ならまあ、行こうか。
乗れ」
彼女の側にはくっそデカい狼が居て
戦いにも全然乗れず、影のようで影も薄く
影影の能力者の全身影狼であった。
まじで馬車くらいのサイズ感ある。
「お言葉に甘えて」
おれは彼女のマントを巻いたまま、(なんかちぎった草の匂いがする)狼に乗ろうとして
そういえば、怪物の戦いの最中、この狼の毛皮、鋼かなにかだったのではないか?と疑問を抱きながら
めちゃくちゃ熱いもふもふの
背に座った。
「認識妨害になっているから、見えないと思うよ
それは心配ないな
案内しろ」
くっそデカい狼が街中に入って大丈夫だろうか、という思いにたどり着いたけど、なにかの術があるらしい。
「結構凄い呪術を使います」
「いや、これはこの犬が影が薄いだけだよ」
ただ影が薄い狼だった。
街は街だ。綺麗に備えた道路とブロック
普通過ぎて、これからおれが、どんな魔術師に育っても、あまり変わらなく続くであろうフィレンツェの市町。
正月の一日だとして、特になにもなく
社会がどんどん動き出す朝に
おれは何万年ぶりに家に戻るのであった。