歩くことは精神をぷにぷににする
今日内にフィレンツェに届くのは難しいと思える。
ブイオ様と「霊属性」について話してたら、また夕になろうとしたのであった。
長いな。夜になったらまた休んで、朝に移動した方がいいであろう。
今回「深紅の悪魔」を倒した里は、まあ、ブイオ様に乗って1時間?2時間?かかって辿ることができたけど、本当に人の速度と狼の速度はレベルが違う。
海を除いて、わたしが移動するには、夜にブイオ様に乗って走るのが一番かも知れない。
わたしもそうしたいのだ。でも、それも今は叶わない事。
方向と位置がわからないね。うん。それは「悪魔が現れたぞ!」の緊急出動の時だ。今は、その印がないから、どっちかに走って行って、ただ迷子になっちゃうかも知れないから、仕方ないね。
早く「方向と位置がわかるドルイドの呪術」を開発する必要があるかも知れない。どうしたら開発ができるか全然わからないけれど。(あとで「天才少年」に会ったら、仕組みとかアイデアとかを聞いてみるか)
ちなみに、夜になって休むと言ったが、わたしはブイオ様の勢いで四六時中行動ができる、無限に歩くことができる桜のドルイドなのだ。でも、夜はちゃんと休む派だ。これには何個かの理由がある。
1つ、精神的に疲れる。もちろん、人間は歩くことに特化した存在であって、遅いが、非常に体力を使えない。「白神女」とその友の神獣もそうだったように、歩いて世界を旅した旅人も多いと聞く。でも、ずっと歩いていくとちょっとまあ、いいや!にもなる。その人たちにも旅は、一気に休まずにできることではなかったはずだ。
2つ、自分の心の核が持たん。精神的に疲れると似て非なる事だ。今まで「クララ」だった時と比べることができないくらい歩いてちょっとわかったことがあって、長く歩くと、人は色んな考えがして、まあ、色んな心の疲れも解消ができる、心を整理する効果もある。そして場合には体の疲れもちょっと和らぐ感じがあるけれど、結局体力は使う。同然だ。それが過ぎると、道を歩いているという自分の状態が静だと感じるようになって、ちょっと病むことになるのだ。自分が溶けるとか散るような曖昧な感覚がするのだ。わたしは「コア」が不安定なので、これはちょっと避けたい。
3つ、もちろん、暗いから歩くことが難しい。実はわたしの頭が光るのは道を照らすにはだいぶ不足であって、「よっしゃ」と力をいれてその光が強くなるのでもない。ただ、余る余分のエーテルが蒸発するだけだ。そして、わたしの視力が凄くいいのも事実だけど、夜道を定めるには難しいね。
そんな感じで、休みだ。今の話題は、やはり「霊属性」というものは、煉獄や深淵みたいなところだけではなく、なぜかこの世界にもちゃんと「エーテル資源」として実存して、魔力の術師みたいな仕組みもできる、わたしの一時的な状態はその結果だったという結論を付けて、周りが完全に闇に染まった。黒だ。
「その「方向わかる術」が早めに必要だな」
完全に夜になって、自分の体を隠す必要も薄くなって、薄い影の狼の星の姿に戻ったブイオ様がそう言った。
「そうです。まあ、術としては、ブイオ様がなんか「目」とか「耳」とか「鼻」とかで、地域がわかるとか。そういうのも便利だと思いますが、できるのでしょう?狼っぽいし、「物語性」を汚さない」
「そうしたい気持ちは山々だが、わたくしは狼というか、狼の形をしてる星だから、この世界の外から来ているから、この世界の色んな情報を見分けることは難しいのだ」
「うんーそっか。」
ブイオ様の狼としての攻撃性がないとか初めて聞いた時は考えてなかったけど、この世界のものではなかったのが理由だったかもしれない。「狼がだいたいできる事」はそんなに出来ないのだ。今思うとなんか「奪われた」感じと共に、「もともとそういうの向いてない」感じもあったんだよね。それも似たような理由だとか。ふむ。力仕事が専門ではないとか、ドルイドでもあるまいし。
まあ、逆に平凡の狼は「星のエーテルの吸収」とかできないから。
その分、カッコよくて神秘なのだ。
星ね。
「そう言えば、星座というのがもともと方向を定めるためのものではないですか?」
「そうだね」
「わたしたち、なんで星とその衛星が、その情報を使ってないのです?」
「知らないからね」
「まあ、そうですが。」
どれがどの星で、どの方向を意味するのか、分かるはずがなかった。
「星」は、世界から見た星の方向がわからない。だから、「型物理性」からの情報を貰うとしても、「星が星座を見る方法を知る事」は不自然だから。そして、わたしは宇宙から来たみたいな「悪魔」との混ざりなんだけど、そいつもこの世界から見る夜空がわかるはずがないのだ。そして、常識とか欠けていたから、「賢者の国」からの記憶だとしても、たぶん知らない。
無知の極みだった。
「仕方ない。次「少年」に会ったら占星術の本を借りよう」
「でも、わたし文字とかわからないし」
「読めないのか…」
「当たり前ですよ。前も言った通り、わたしはただの10才の田舎娘だ。そして「賢者の国」の文字らしいなにかは、今のものと全然違うのです」
「まあ、それでも、「何かの文字が読めた経験」は新しい文字を学ぶにも得になるはずだ」
「肯定的ですね」




