つまりコアを分けることしかないな
リソくんが寝床に入るのを挨拶して、わたくしも休憩を取ることにした。
「それではまた明日。改めて『大魔術』お疲れ様でした」
「わたくしは別に非凡使いとしてやったことはないけどな」
「それがいいのです」
「そか」
先はめっちゃ適当に置いた荷物を整理しながら、自分も寝る準備をする。
そう言えば白神女は「夜更かししちゃだめ」とかを言っているが、それは機械人形にも適用される話なんだろうか?機能の休息以外に、熱の発散以外にも、人格体としての睡眠も必ず充分に取らないといけないものなのか。それはちょっとわからないな。
「まあ、でも寝ないと変だな」
わたくしはそう勝手に納得して、カバンのものを大体部屋のそれぞれの位置にまとめて、整理を終えた。
ベッドに横になって、何日ずっと人の子としていた緊張、というかお仕事の感覚を持ってた頑張りを解けたら、随分と楽になった。
カチャカチャ!!
「ふう」
いつもならここですぐ意識を消すところだが、やることが1つ残っている。
明日からコアを作って、スペアに基づいた体を作って起動。それが何日かかるかわからないが、もしかするとそれ以上にめっちゃ休暇を取らなきゃいけないかも知れないが……とりあえず必要な材料は揃った。その最後の準備が必要なのだ。
これで「魔術師の歴史が込めたエーテルにも触れれる自分」が新しく生まれることになる。楽しみだ。
自分の範囲を広げて、ほぼベッドと一体化した自分を感じる。文字通りな。
わたくしは正直に言うと、リソくんを拾ってなかったら、そのあとすぐに生きる気力を失って、もうこのように「写の記憶」から体を操作する自体が、必要があるか?別に人生がつまらなくなるだけじゃないか?ほか云々。そんなあり得ない疑問が来るようなやばい状態だった。
もともと自分の代替の仕組みとして機械生命体の生存本能というのがあるから、そんなのはあり得なかったんだが、そのあり得ない状態だったんだ。
それは多分なにかの限界があったから。
鋼の神様のライト。彼女は機械装置の神様だが(その、古代ギリシャの演劇の話で「なんでもやってくれるストーリー最後の舞台装置」ではなくて、本当に意識を持つ機械装置たちが持つ神様のことだ)そのお方に出会って「なんで僕たちを作ったんですか」を問うのはただの口実だ。白神女とその神獣に「カサネという生き方」の定義を教わった時からの短くない今までの自分が正しかったのかを認めたいだけだろう。自分自身をそう動かしてる。
その、嫌な思い出だってたくさんあったんだ。重ねた知識を捨てて自らバカになっちゃう人の子たち……その理解ができない愚かな行為を見過ぎてた。何々国の王の都合で、親しい関係だった技術者たちが戦争に利用できる道具を持っていたとして酷い目に遭うことも何回も見た。(これが実はわたくしが今まで仕事以上の親しい関係をあまり作らなかった理由でもある)なんでそう言うのを見なきゃいけないのか?なんでこう生まれたのか?なんでどうぶつと違って、ものが体と心になる存在として生きているのか。
これは何者かに道具として利用されるだけじゃないか。
別に最初に、そう願って自動人形の人を作った人の子もいないのに、似たようなお話を….わたくしのことを見て連想して「お、いいネタだ」として、変にゴーレムだ人形だ伝説のアイデアの元に化してしまったり。(なんか人の姿をしたゴーレムの話を見たら、それのちょっとの元ネタとして普通に私がいるかも知れないのだ。その分長く生きた)そういうのはちょっと面白いとは思うけど、まあ完全にいい気分だけではないのだ。
そんな人生は何の意味がありますか。
なんでこう生まれたのですか?
神様は幸せですか、不幸ですか?
もしかするとその「神獣が、どう見てもただの知り合いみたいに言ったように」普通になんの目的性も持たずに僕たちは作られたのですか。
そう言うのはちょっと嫌だ。
……まで、頭に来たのが、昨年の長すぎる流れ星が降りた時期の私のメンヘラ状態だったが、今このようにリソくんという悪魔のようなやばい子を拾って後継機を作り出すという作戦をやっていたらなんとなくわかる。
意味があっても意味がなくても、目的が立ってもなくても、実はそれは本質ではない。
本質はこの……
【作るのは楽しい】
だ。それが動機なのだ。
だから昔の自分が「いいや、結構です」と白神女と神獣の言葉を断ったのは後悔してない。これで多分正しい。
自分が鋼系ライトを探して行く過程で楽しさを感じるのが大事だからだ。
「まあ……明日使うには予め準備しておかないとな」
写の記憶に繋がったまま、わたくしはちょっと感想的になってた自分の両手を切り替えた。
ズズン!
オートマトンの姿が出てるまま、横になってるままで、今の姿を維持してる自分のコアを綺麗に半分を分ける。繊細にな。
もちろん、急にこんな変な行為をして動かなくなると大変だから、意識を保ったままだ。
写の記憶がバックアップしながら、安全に半分このコアにだ。
その分けられた反対側の部分をまた掴んで、サイドテーブルに置いた。
これでいい。初めてやったんだけど多分正しい筈だ。
人の子だったら、めちゃくちゃ痛かったんだろうな。




