アルベルト・レグノは宝石を持って家に帰った
万能人だと言われるアルベルティ氏がファサードを作ったサンタマリアノヴェッラ……は別に通ってなくて、市場の位置にちょっと向いて入り込む。少しを歩いてフィレンツェのほぼ反対側みたいな感じにあるのがここの私のアジトだ。アジトというには普通に設計者、アルベルト・レグノの屋敷なんだけど、でも無数のスペアが眠っているこの大地ところどころの宿がいっぱいあるのと等しいので、やはりその1つ、という感覚ではある。
「ただいま戻りました」
「おっと、それは流石に遅すぎているので、リソくんは眠っていたようだ」
「全然起きてるじゃあないか」
「おかえりなさいませ、レグノの旦那。なんか凄く久しぶりの感覚がしてボケてみました」
そこにいるのは白髪で金色の目、霊のエーテルの適性があるような、この世界の敵性ではあるかも知れない私の客、リソくんだった。
私はドアを閉じ、入りながら言った。
「作戦は完璧だ。普通に洗ってくれた平凡の宝石を種類に。この中でコアを作るぞ」
「それはよかった」
「今まで留守は大丈夫だったか?以前の『毒殺屋敷』の時に流石に急にお仕事でなくなるのはきみの生活のためにも避けたいと思って、事務所の課長に頼んでいたけど」
「なかなか楽しい経験でした。その人の娘さんにけっこう慣れてました」
「それはどういう……そうか」
たぶん「子供を留守にして食べ物だけをあげるとかありえない、食事をさせましょう」と妻さんが言ったんだろうな。ただ信頼できる人だと判断してたのでそこまでは想定範囲だったけど。
「その子、もしかするとあとのお客さんですから。その面ではなかなかいいお時間でした。でも本が見れる時間がなくなるのは確かに避けたいと思いました」
「まあ、私が言うのもなんだが、逆に私だから言えることかもしれない。人とのコミュニケーションが取れることはとても大事だから、いい人たちだと思うから、ずっと家にいたより勉強になったと思う」
「ウチもそう思います。考えてみればこれからどんな大人になろうとしてもお客さんとの関係と社会の回り方は知った方が得だ。そしてそれが平凡の金属細工としてももちろん、非凡のものとしての旦那の助手くんみたいな立場でも大事だと思いましたので」
「そうそう。やはり賢い」
「ふふ」
わたくしたちは荷物を適切においてからすぐ、今一番大事な「実験結果」を確認するために作業室に向かった。
「他の代案も何個かあると思うが、これが通った方がいちばんいいからな」
「旦那のエーテルの感覚ではわからないですか?ほら、金のエーテルで繋がってるでしょう」
「金属の容器が繋がってるだけで、中身は別だから」
「そうか」
わたくしは机の1つのロックを解除して、その中心に潜んでいた「毒液の色を無理やりに引っ張ったもの」を引き出す。
「蓋を開ける」
私のその意思に、金属の瓶は開いて、その中の……
その中の……!!!
「お、紫じゃん」
「おおお!やったぞ」
「そんなに喜ぶことですか」
毒液をリソくんが蘇らせたものが残っているのを見せた!
「これは本当に凄いものだぞ。きみの怪力乱神としての能力は使い切ったエーテルを色まで戻すことができることが判明できた」
「なんかその時は悪魔にもなった感覚で勢いでやっちゃったけど、いけたらしいですね」
「これからどんどんよくなるといい。そして『非凡の毒の紫にしか使えないのではないか』という心配もすぐ確認できる」
「ふむなるほど。そして、この毒液に関してのウチの影はもう、解けてもいいのでしょうか」
「まあ、そうだな。ぜんぜんいい。もともと確認のためのものだったし、逆にこの毒液はいつになっても持っているとやばいものだからだ」
「それはそう。ウチは別に『聖堂がそんなに全力で消そうとしたものをまた作り出したやつ』になりたくありません。破棄することとして承知してます」
このわたくしたちの行動を誰かが未来に記憶を覗いて、蘇らせたファンタジアとして見る事ができるとしたら「それ、ちょっと惜しくないか」と思う人もいるかも知れない。その非凡の毒液は実際強いブキだからだ。
でも、私もけっこう長い人生を送っている自動人形として自信もって言えるけど、「殺せる非凡のチカラ」って、そんなに持っていていいものではないのだ。世の中の考えるべき変数は凄く多様で、その「やっちゃったあとの後始末」のことを考えると、このように持っていてどうなるかわからない危険物はない方がましだからだ。
「うん、ではリソくんの『見えない影の意図を動く術』は想定通りの能力を持っていたことを確認した。この毒液は破棄する」
そう言いながら、わたくしは右手に非凡のものとしての金属のエーテルを集中させて、その金属の瓶のなかのものを無力化した。
「これでここ何日の不安も消えた」
「不安だったんだな」
「当たり前じゃないですか。以前の記憶がぜんぜんない自分、夜空のものとは何なんだろうか、金髪の外国人の人はこの能力を狙ってたのかな……などが混ざっていて実は感情ぐちゃぐちゃだったんです」
「大変だったな……」




