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座標、おおいぬ座のサイファーのこと

「ご馳走様でした」


「ご馳走様。改めまして、ブイオさまは本当になんも食べなくても平気な性質なんですね?」


エンブリオくんが問う。


「うん、そうだな。わたくしはもともと平凡のカラダとしては今もある『狼の星』の、その双星(そうせい)ね?その夜空の見えないところにイドを持っている超大型魔道具みたいなものだと思うといい。別にわたくしが存在を維持するために何かを食べたり休んだりする必要がないと言うことだ」


「奇妙ですね」


「ただその狼の星が砕かれてここまで魂だけが飛んでしまった状態だから、一応亡霊でもあるということだ。もともと死霊術を扱う黒魔術師や霊媒のような系統のエーテルを扱う影だが、またのその影の影しか残ってないのが現状だ。『たぶん影が写すだろう』くらいの微弱な影響力で狼の姿を(うつ)してるだけ」


わたしはちょっと蝋燭の明かりでワンちゃんの頭のような影がするようにした。

それを見てエンブリオくんは頷く。


「うむ。プラトンなのかな」


「洞窟の比喩ね?」


「それはわからないが。

その、わたくしの本体である、今は光度(こうど)が低すぎて夜空で見えない『シリウスのもう1つ』と連絡をするには膨大なエーテルが必要で、平凡の光を使うのではなく影の……(アマウロス)のエーテルを通して喋るとしても、時間がかかる。そして失うエーテルも多いのだ。

それは浪費だから、わたくしはいったん今できることとして『欠片(スターダスト)』を集めて……それを食事の代わりというか、自分自身に付けて積み重ねて大きくなるためにこの子の真名(まな)の影にいるのだと思うといいね」


「なるほど」


「非凡のもののうちに属性が合わないとそうだろう?食べなくても生きる部類、逆に食べすぎて余計に減らす部類。

この子、ステラ・ロサさんはなんかいつのまにか普通に食べてその気力を『花びら』を扱うことに使えるようになってる便利主義の化身だが、

わたくしは元々作られた仕組み、構造がそのような星なので、わたくしの座標が証明(しょうめい)ができるとしたら動ける仕組みになっているんだ」


「だからその計算ができないと止まっちゃうらしいよ。大変だね」


「今もずっとその『狼の星の双星の位置』を数えていると言いましたね」


「そう。それが1番の優先順位だから、以前は話が多少ずさんになったと思うけどもうはっきり言える。わたくしがこの子に武力として頼りがないのはその計算をずっとしてるからだ」


「まあ、はっきり言うのは良いですね。以前、エンブリオくんには『わたしが成長することを見守る存在』とか言っちゃったから」


「確かにブイオさまに関して知ることもあまりなくて、元々エーテルの扱いが今よりは初歩的だったじゃないですか。

その時のドルイドさんもおれを助けてくれて灰色の呪いを打ち消してくれて素敵だったけど、今がもっと成長した感じですよ」


「なにを言ってんだまだ何ヶ月も経ってないのに。そして深紅の悪魔としては本当に短い時間なんだ」


「でもステラ・ロサという名前ではその時点で3週くらいだったんでしょう」


「それはそうだけど」


「なら今までがずっと長い。そして、クララさんとしてもこれからずっと『白神女』のように生きる限り、すぐ追い詰めて10年も20年もずっと生きますから」


そこでブイオさまが言う。


「いや、軽く500年くらいは『スターダスト』を探したいと思うけど」


「単位が長すぎる」


ブイオさまの話に、エンブリオはちょっと笑った。


そのようにわたしたちは、

影に映してわたしたちが考えれるようになるその平凡の光の視覚情報によるものの恣意的な性質とか、

その還元した粒である「ミクロ・アマウロス」というなぞなぞの概念などを言いながら、

普通に喋れる夜を感謝していたのだ……


一方その頃、同じ夜。


そこから歩いても走ってもすぐ辿る、とあるところ……というか魔術ギルド。


その土の堂で、(わたくし)アルベルト・レグノは未だにも終わってない平凡のアルティの支払いを待ちながら、他のチーム長……もう作戦も解散したから普通によそのギルドの事務所長と雑談をした。雑談しながら、メガネくんたちの行政を見ていた。


「長いですな」


「おっ、アルベルト氏がそんな口ぶりは珍しい」


「そか。最近何日ずっと言ってたけど、リソくんを拾ってからは何千年の退屈から活気が沸いていたので、今街中で、すぐに家なのに帰れないのがちょっと。

そして工事は大体監督役だったので、直接なにかをやった気持ちもちょっと薄い」


今回の、いやもう報酬をもらったら「前回の」にのるかも知れない『大魔術」で大変だったのは、出発まえのウリエル氏との計画の方だった。なので、堕落した森のものと戦うのもマギアたち、大きい・重い工事はデュラの人たち、実際の細工は普通にいつものアルティの人力だったから、ぜんぜん非凡の事件に関わった気がしない。平凡の工事の監督役だ。


「はは、何千年ですね」


「それは流石にちょっと盛ったが」


わたくしはそう言いながら笑った。

ふむ、早く魔術ギルドの宝石をもらいたくて、余計にこの時間が長く感じれた。


「魔術師の魔力お仕事は初めて関わりますが」


「普通そうだね」


「俺は非凡使いはめちゃくちゃよくわからないことを言うのかな、急に無理なお仕事させるとどうしよう、と心配してたけど、実際そうだと思うけど『土』の人たちは真面目でよかった気がします」


わたくしは彼の話に頷いた。


「そう。これも何回も言ってるけど、私もこれから良い関係を維持できたら良いな〜と思ってるのだ」

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