さくらというものはそんな理由でわたしの称号になったのさ
まだ春は遠く、フィレンツェも遠く、ブイオ様の「欠片」の集めやわたしの物語、「森の姫様」の道は遠い
ある冬の午後
わたしは山道を歩いていた。
山道は基本的に危なっかしい場所なんだ。どうぶつのような感覚も持たず、歩くのは遅い。怪我すると大変な脆い肌と二本しかついてない足を踏めて
毎日を歩いて今日もあるいて明日も歩む、
桜のドルイドであり「白神女」の真似物である、醜くて可愛らしい、そして世界一番の偶像にいつかなって、ドームのでかい場所で活動しても魔女として焼かれない
どうでもいい立場になりたいな、と
でも、そんな活動自体が大事に繋がるのだ、と思っちゃう、人見知りで不器用である「木」属性のエーテルの「古代魔術」の(たぶん)世界唯一の継承者である「深紅の悪魔」と田舎娘の混入のわたし、ステラ・ロサはこれからも山道を歩くのである。
だいたいの読者は「こんなに説明が長くなるものか」と言うと思うけど(あの天才魔術少年も含めてだ。とりあえず、男子はどいつもそいつも強い剣とかに憧れて。魔術師は剣の専門じゃあないだろ?)
速く化け物が出て、そいつの首を取って領主になったり、お美しい姫様と結婚してそのおっととして王国を継承することになったり、そんな話が快速で繋がれることを、水の流れのようにまっすぐ来ることを望むであろう。自分の父はシンプルな英雄の話を好んだので、だからなんか樵にまな板や丸太を得る時にもこれがどんな優れた腕前で切られたものかを自慢したりしたけれど
(古代魔術をちょっと学ぶことになった今はわかる。それは人間の男の子が体に回る「気力」の素質でそんな「強さの憧れ」が正しい男の子が残っていて、その世代の反復。それが人間の現代文明社会の仕組みになってるからだ)
まあ、わたしはわたしが「その姫様」になるけどね。じぶんも…あいまいな、白い「さくら」という正体不明の花を自称して、だから、自分は現実にあるか否かわからないがとりあえずあると想定しているけれど珍しくてその生えてる本拠地に行くことは非常に難しいと思われても同然である花
そんな花がいっぱい咲いている森とかがあって。そんなところを自分が作るかたどり着くか。「奪う」とかでは無くて。正当な感じで。正統な訳で。女王から受け継ぐ感じで「白神女の伝説もいいけど、桜のドルイドという子もいるらしい」みたいな。真似て商売をするギルドのように。王国を作って争いをする国のように。でも物語的にはやさしい感じで。ただ人々がおじいちゃんになっておばあちゃんになってその息子と娘と弟子と同僚も「確かに自分も聞いたことある。桜のドルイドとやらを」になるまでに頑張って続くから。
この物語は長いんですよ。
「そしてそんな独り言の中でわたくしがなんで「影」になってるかぜんぜん説明してないな」
わたしのマントの薄い緑を濃い色に染めている星の狼はちょっとは自分の分量に不満があるように言った。
「そうでした。はい、考えてみたらここは「道路」から近い方なので、見られてもやーだなと思って、ブイオさまはわたしのマントの中です」
「短っ」




