賢者の国はどこ行った?
「賢者の国は、もともとエーテルが多いから、それもちょっと顧慮した方が良くないか」
「それはそうです」
うん、もちろん、賢者の国の生活はこの世界とぜんぜん違う。少年が「ドルイドの国は、穀物の効率が低いから維持が難しい」と言って、それは確かに今の世界ではそうで、(「水」「土」属性のバックアップを貰った方が量は爆上がりする。「木」は、だいたい植物の立場で、治療と維持に集中した特性だ)
もしドルイドの国を立とうとしても、穀物も効率よく生産できず、力仕事が得意ではない人たちが上位に乗っていて、どこから権威が出て、どこから力が出るか。「そんな国はありえない」と言ってどうぜんだ。
でも、「賢者の国」は、なんの理由か、めちゃくちゃエーテルが豊富で、大気と息に濃い溶存エーテル濃度が維持された。ふん。なにかの理由があるはずだが。
「もともとこの星ではなかった可能性もあるんじゃないか」
「ふん、それもありえますかね。実際に山程の質量が空から降りてきた実例が目の前に」
「それはわたくしの事である」
「名は何ですか」
「名はまだない」
まあ、とにかく。(今更だが、わたしがブイオ様をブイオ様と呼ぶのはただ黒いから。そして、「狼の星」というのは名前としての器だけど、それは称号としての名前で、個体の名前ではないらしい)
「その可能性もちょっとありかも知れないです。そして、その国はこの世界に激突して粉々になったんです」
「それはちょっと怖い想像だな」
「まあ、普通は高い所から落ちると壊れますよね」
だから、「師匠」も含めて、無数の人はその事件でいなくなりまして、非凡としての特性を持つ「深紅の悪魔」は、またなんかの理由で「灰色の呪い」に姿を変え、この世界に残っていたとか。
「落下の時はめっちゃ熱が出て、燃えるのだ。もしかするとその「火属性のエーテルの原理」が働いて、「印」を付けられ、「灰」になっただけの事かも知れないな」
新たな仮説だ。たしかに、「悪魔」が消え去る事なく維持していたのが説明できる。行いの影響が残ってる限り、存在は残るのだ。痕跡の形でも、傷跡でも残る。それが術の結果というもの。
でも、
「ふうん、どうでしょうか。もともと「印」は術師の魔術や呪術、他の行為によるもの。つまり、なにかの「望む結果」があってからこそ成立するものではないでしょうか」
「その通り」
「なら、「術師」が必要だ。「空から落ちたら、その最中に熱くなった」は事件性がないから、「燃えて、灰になって、散り散りになって、消える」が正しいのでは?」
「それは確かにそうだ。「空から落とす」の目的はあるとしても、熱には意図が入らないな。ふん、言ってみただけだ」
「まあ、わたしは一旦考えちゃうとずっと考えますから、自分の「粉々になった」はちょっとありえるんじゃないかと思ってますが。今の世界のどこにも残ってないから。ふん。でも、それじゃ、「ドルイドの呪術」として今の世界に残っているのが説明ができないな。人間の術師の形で」
「その「白神女」が「賢者の国」に行ったことがある、でよくないか?」
ブイオ様が助けてくれた。でも、似たようなことは以前から考えたものだ。
「でも「白神女」は、人類文明のすべての過程を共にしたのです。社会から離れたことがありません」
「人の子の寿命は短くて、一部の時期の記憶は空いていてもわからないかもしれない」
「それはそうかもしれないけど。「白神女」が世界を離れて、ちょっと空の「賢者の国」で勉強したかもしれない。まあ、ドルイドの呪術はそれで説明ができるか。
もし「この世界のどこかに、賢者の国があった」場合、「今どこにある?その豊かなエーテルはとこに消えた???」という問題が大きい」
「確かに「そんな膨大なエーテルがすぐ消え去る」ことはありえない。「非凡の体」を持つものとして、大気と息になって散り散りになろうとしても、そのエーテルの質量とエナジーは残ってるもんな。「世界の質量」によって、エーテルが空の「闇」まで飛べるわけでもないしな」
「ぜんぶ消え去るような大魔術のなにかの行いがあるとして、その結果がこの世界?だとか」
「何のために?目的性を感じない。」
やはりこの世界に賢者の国はなかったか。
「「賢者の国」がこの星のどこかにあったしたら、残る可能性がもう一つありますね。そのエーテルはもともとブイオ様の「欠片」みたいに、当たった存在にちからを与えるめっちゃド偉い方から来たものの、その存在が他の世界に引っ越した?」
「ふむ、それもちょっとありえる話だ。ぶにゅぶにゅの大きいものは周りに力を発していて、互いに関係がくっそ悪いと引っ越したりもするのだ」
「まじでございますか」
「うん、食べようとするとか、色々あるんだ」
「本当に市町でそんな話が出ると、焼かれても仕方ない事です」
「上手く避けろよ」




