心配が過多になるとそれはもはやちょっかいだ
「人の子も含めて、ウヌスはみんな互いの立場を考えていちばん利害得失に合う方向に動くから、別に土の堂の眼鏡くんたちが『あいつは僕たちの代表ではない』とかは言わないと思うけどね」
そのピリピリした感覚で、「なら、その自分の属性の色を超えてしまった人はどうなるの」という悩みになったわたしだったけど、でもまた考えてみると「属性が変わっちゃった」のはそのまんまわたしの半分も「見えない心のエーテル」から「木属性のみどり」になってたので、その個人の立場から来る変化が大変で、わりとウリエルくんが急に土属性の魔術が使えなくなるとか、安全性が落ちるとかはないとも感じたので(先も言った通り、そのような変化には時間が要るのだ。「流行り言葉」のように急に心も体も変わっちゃう深紅の悪魔よりは、人間はもっとゆっくりとね)ただ。ただ、彼が「以前はぜったいしなかったであろう冒険」などをするようになるのが、それがどのような魔術ギルドへの変化をもたらすか、そしてもう1/4を持っている彼を、「土というパート分け」は絶対的に任されている彼がそのような「冒険」に挑むことをどの誰が気を付けることができるのか。そういうがちょっとは険しいと思えた。
デュラでもあるエンブリオくんが心配だった。
「いや、考えすぎか。ウリエル学長はエンブリオくんの話で、小説の話もできて頭がいい子だと聞いたから、しかも『守らなければいけないモルテ家の立場』などもあるようにアストラさんが言ってたから、別に問題は起こさないかもしれないけど。でも、エンブリオくんはその『土の魔術に拡大解釈をした』経験を持つ堂の下で勉強することになるのだから……いっぱん魔術師としての仕事もやるのだから」
「エンブリオ少年に限っては、それは逆に彼の成長には良いと思うよ。彼は四属性だから。土だけじゃないし、柔軟に対応ができる方」
「ふん……」
まあ、それもそうだ。
エンブリオくんはもともとマギアの中でも思考が自由で、自由過ぎてる。一回出会ったドルイドさんとの記憶を刻むために、自分の完全記憶能力を使って「その前の悪夢から」ずっと繰り返して見て、自分の一夜の経験を経験して、「ムー大陸の最後の記憶」のことを自分の頭に刻み込んだ狂人だ。もともとそんなインフルエンザからの夢は覚めたら忘れるし、別に完全の記憶を持つものだとしてもそれをずっと繰り返して見たいと思う?彼はちょっとは独特な性格の子なのだ。(そうするまでにわたしが超絶美少女だったら、まあ仕方がないけど)
しかも、その夢の「ぶにゅぶにゅの神様の立場で、アクアの扱いのような感覚」まで引き出して、自分のエーテルの操作に使ったから、もうわたし以上にムー大陸博士になっているかも知れないほどだ。そんな彼に「土の魔術からちょっと冒険をする」だって、それは彼のマギアとしての安定さになんの悪影響も及ばないかも知れないな。
「そして、おまえがもう彼に贈り物をあげてるから、そのスターダストは彼の心の安定にはすごく働いてくれるから、多分大丈夫だと思うんだ」
それ、関係ある?
「まあ、いったん寝ますか」
わたしは今そこそこやってて、全然意味もなかったであろう「それでも、ラファエル氏がずっとわたしの独り言を盗聴しているかもしれない」状況を心配して話すのも飽きてしまった、まあどうでもいいと思って……ブイオさまのマントを床に置こうとしたのだが……あ、そうだ。
「エンブリオくんがベッド使ってもいいと言ったろう」
「そう。ベッドで寝ればよかったんですね」
蠟燭を消して……視野の一部がずっと焼けてるような感じを閉じながら、ベッドの布団にマントを重ねてなんかズルズルと、ベッドになれてないわたしは横になった。
ちなみに、しばらく一人の部屋になったとしても、毛が落ちたりしないとしても、流石にブイオさまがこの家の中で狼の姿になるのもおかしかったので、ずっと動くマントだ。マントの、動いてる狼の姿の影なのだ。
「それでは、ゆっくり休んで」
「うわ、思った以上200倍ふかふかだ」
わたしはなぜか、普段より使う空間がずっと広くなった気がして、いつもと同じなのに急に部屋がより暗くなった気がして、あえて少年のいない分、腕を頭のうしろにし、天井を見上げた。壁に当たった肘はちょっと冷たいかも。
うん、本当に終わりだ。今日で終わり。
食ったパンの枚数を数えるのも、今更過ぎる、遅すぎにラファエル・ムジカの「盗聴」を気にするのもやめることにした。もっとこう、気にしない人間として生きましょう。大事なネロ様の専属薬師にひどい事でもしますか。
そういうのが、多分「ちょっかい出さない」だろうしね。
じぶんに続くドルイドたちを見て非凡使いの子たちに残そうとした……
白神女の「三つの子供向けの話」の3番目かな。
わたしはわたしの中のわたしをぜんぜん感じないが、たぶんそのわたしは今めちゃくちゃエンブリオくんが恋しくなっている今のこの「イドのわたし」と、ちょっとは違う……
おとこおんなとか、人の肌とか、サラサラしたエンブリオくんの髪とか目とかぜんぜん知らない、気にしない生き物だったから。
そういう超然としたのがわたしには半分、自然でもある。
ステラさんが盗聴されることを気にする部分は『刀語』を思って書きました。作家は10巻だっけ。「だから物語として読みやすいのか」も「忍者こええな」も思いました。




